AOL Music Sessions2019/09/21 21:45

 2006年にトム・ペティが三枚目のソロ・アルバム[Highway Companion] を発表したとき、AOL Music Sessions というものにハートブレイカーズとして登場して四曲演奏し、インターネットでその動画が配信された。
 私も楽しんだのだが、そういうものを保存するすべを知らなかった。いまでも知らない。
 ともあれ、YouTubeで楽しむことが出来る。これはTP&HBファンとしては是非とも押さえておきたいセッションだ。

 曲目は、[Highway Companion] から三曲と、カバー一曲。新譜の曲をどうライブで演奏するのか、やって見せた最初ではないだろうか。

"Saving Grace"
"Square One"
"The Golden Rose"
"Flirting with Time"
"I Just Wanna Make Love to You"



 "Saving Grace" でしずしずと始まり、トムさんの歌声を堪能できるのが嬉しい。そして、スコットとロンのハンドクラップ。なんだかお互いのかを見てニコニコしているみたいで、楽しい。ベンモントのピアノの連打も格好良い。
 "Square One"は、トムさんとアコースティックギターの相性の良さをしっとりと、たっぷり楽しめる。
 "The Golden Rose"などは、レコーディングではトムさん、マイク、ジェフ・リンだけで作り上げた世界を、見事にハートブレイカーズで再構築させる様子がいい。
 トムさんのソロって、完全にソロではなくて、ハートブレイカーズのひとりが、ちょっとやり方を変えただけのよう。ソロになってもバンドへの愛着と一体感がここまで高い人というのは、なかなかいないのでは。

 私がこのセッションで一番好きなのが、"Flirting with Time" ―― なのに静止画像!惜しいぃぃぃ!
 なんと言っても、エンディングのマイクのソロが最高。レコーディングではまったくなかった、このライブセッション・オリジナルのもので、マイクのクールさ、彼が好きな音楽 ―― 先輩たちのロックンロール、60年代への憧れ、そしてトムさんの音楽を至高のものに仕上げる思いが、あふれ出ている。
 なんでこのエンディングが、レコーディングで行われなかったのか。ものすごくもったいないことをしたのではないだろうか。それとも、マイクはレコーディング時、トムさんの歌こそすべてであって、ギターソロのことをなんとも思っていなかったのだろうか。
 とにかくこのエンディングはTP&HBのパフォーマンスの中でもかなり上位に位置する絶品物だと思う。

 最後は、ブルースのカバー。"I Just Wanna Make Love to You" ―― トムさんがミックばりにマラカスを演奏する姿は、[Mojo] 以降おなじみになったが、この時期では珍しかったか、もしくはれが最初のものだったかもしれない。
 とにかく、トムさんのマラカス振りは、「鶏もも肉みたい」というので、大笑いしたものだ。でも格好良い。

 [Story Tellers] とか、このAOL Session とか、公式になっていないライブ映像、ぜひとも公式に集めて、発売してほしい。いくらでも買うから。