Crestfallen2019/02/09 20:39

 どうしてこのアルバムを持っているのか分からない。でも、すごく良いアルバムだったというのが、ザ・ニュー・メンディカンツの [Into the Lime]。
 このバンドが何者なのか、皆目分からないと、このブログの記事にしたら、親切な方が「パーニス・ブラザーズの人のユニットだ」と教えてくださった。

 そのようなわけで、パーニス・ブラザーズのアルバムをいろいろ買ったわけだが、デビューアルバムの一曲目でガツンとやられてしまう。



 イントロのギター、さらにベースを聞いただけで、大好きになってしまう。さらにあの声。特に美声でもないのに、ひどく心に染み入る。なにか、親友のおばあちゃんが亡くなった数ヶ月後に、そのことを話題にしたときの会話のような ―― 普通なんだけど、どかか遠くで、奥深くで、泣きたくなるような ―― そういう密やかな感情のにじむ声だ。
 曲が短いのも良い。美しくて素晴らしいものを見いだして、それをいたずらに引き延ばすのではない、儚くて刹那的な音楽。まともにヴォーカルが入っているのは2分半ほどだが、アウトロのインストロメンタルはいらないのではないかと思うほど、素晴らしい曲だ。

 なんだか、すこし悔しくもある。
 お前なんぞには、こういうギターサウンドの、こういうシンプルで、あきらかにトム・ペティのフォロワーだと分かる曲さえ聴かせておけば、簡単に感動するのだろう ―― そう、看破されているようで、悔しいやら、気恥ずかしいやら。
 でも、実際そうなのだ。事実であるだけに、否定もできず、そうなのだと開き直るしかない。

 アルバムはやや一本調子で、もっとパンチの効いた感じだったら、さらに評価は高いのかもしれない。でも、この冒頭の "Crestfallen" ―― 「意気消沈」というタイトルも良い ―― この曲があるだけで、十分名作の資格があると思うのだ。

 ザ・ニュー・メンディカンツは、パーニース・ブラザーズのほかに、ティーンエイジ・ファンクラブというバンドの人とのスーパーグループとのこと。後者の方は、これから聞くことにする。
 こうして、机上の放置CDが増えてゆく。