The Rolling Stones: Pre-show Rituals2018/06/02 22:21

 ツアー中のザ・ローリング・ストーンズは、二人の誕生日を迎えた。
 まず、ロニー。1947年6月1日生まれ。そしてチャーリー。1941年6月2日生まれ。おめでとう!

 実のところ、今回のツアーについては、ちょっと狙っていた。UK のどこか良さそうな所で見たいと真面目に思っていたのだ。
 しかし、予想していたよりツアーの時期が早く、しかもどこもかしこもサッカー・スタジアムときている。私のスケジュールも合わないし、やはりアリーナ程度で見たい。
 遠く極東から指をくわえて見守っている。
 いや、無理を押してでも見に行くべきなのかも知れない。一方で、世界のどこかで彼らが生きていて、誰かの前でライブをやってくれるだけでも、それでも良い気がする。

 ツアーの開始を告げる動画で、ミックとチャーリーが、ライブ前の「儀式」について語っている。やっぱりストーンズは格好良い。



 ミックはいい。
 チャーリーが最高!

 I usually play Duke Ellington, and then I go into Keith, who plays Little Richard, usually.
 私はいつも、デューク・エリントンをかける。そしてキースのところへ行く。彼はいつもリトル・リチャードをかけている。


 愛するジャズを聴き、キースのもとへ行く…
 何と言うべきか ― 荘厳なようで、ごく自然なようで。ああ、やっぱりロックンロール・バンドはロックンロール・バンドで、仲の良い少年たちがそのまま、今もバンドをやっているのだということが分かる。
 キースとチャーリーの信頼関係もまた、ストーンズを象徴している。いつの来日公演だったか、チャーリーの紹介の時に、キースがチャーリーの後ろに回って、頭にキスしていた。

 マイペースに、でも情熱的に。ロックを、そして格好良い人生を生きる人々を、熱狂させながら。ザ・ローリング・ストーンズはゆく。良いツアーにしてほしい。

All Along the Watchtower2018/06/07 21:07

 もし、ジョージに会えたとして、何か彼に訊くとしたら。このとき、ディランと何を話していたのか、訊いてみたい。



 1988年ロックンロール・ホール・オブ・フェイムで式典でのディランの様子は、「ジョージがやっとの思いで楽屋から引っ張り出し、ステージ上でも、かろうじてジョージの存在だけがディランを支えている」― かのようだ。
 演奏が始まってもしばらく、ディラン待ち。ジョージがかなり長く話しこみ、彼が歌い出して初めて、やっとディラン様が発声するのだから、みんな本当にヒヤヒヤしただろう。居並ぶ大物ミュージシャン達が、揃いも揃って不安そうな顔をしているのが笑える。一人、「ジョージがいるから大丈夫」という顔をしているのは、リンゴだけ。
 ありがとう、ジョージ!あなたがいなかったら、どうなっていたことか!
 ジョージだって周りの色んな人を見たり、絡んだりしたいのだが、ディラン様の「ジョージを独占したい熱視線」が、とどまるところを知らない。ディラン様、ジョージはみんなのジョージであって、ディラン様だけのジョージじゃないんです!

 "All Along the Watchtower" という曲は、言うまでもなくディランを代表する名曲の一つだろう。ロックンロールとしてかなり完成度が高く、詩もクール。
 私は特に最後の、"And the wind began to howl" が好きだ。乾いた、冷たい風が吹き抜けてゆく音まで感じられるような、臨場感がある。

 Wikipedia によると、旧約聖書,イザヤ書, 第21章に登場する「見張り台 watchtower」にインスパイアされたのだという。聖書ではバビロンの陥落を知らせる使者が、この "watchtower" から見えるということになっているが、ディランの詩の内容とは、ほとんど関連していない。

 2013年11月28日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでディランを見た時、アンコールの一曲が、 "All Along the Watchtower" だった。
 この時ばかりは、ホール全体が沸き立ち、熱気が空間に溢れたことを思い出す。

一生の不覚!2018/06/10 20:08

 スポーツ中継などを除くと、好きなテレビ番組は、タモリ倶楽部、ブラタモリ、しごとの基礎英語、地球ドラマチック、ドキュランドへようこそ。
 タモリ倶楽部は毎回録画を欠かさないのだが、どう言うわけだか先週、録画をしそこねた。これが一生の不覚!なんと空耳アワーで、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの曲が取り上げられたのだという!
 しかも、"You got lucky" なんて超メジャー曲で!



 You put a hand on my cheek / And then you turn your eye...

 これが、「夕暮れの街 あんなに酔ったんよ、あ~」に聞こえるという!
 確かに聞こえる。実のところ、私もだいぶ以前から「夕暮れの街」は聞こえると思っていた。しかし、タモリ倶楽部に投稿するには、その後まで思いつかなければならないだろう。
 それにしても、なんたる失態!こんな時に録画をし損ねるなんて!南無三!

英雄故事 / 変臉2018/06/13 20:44

 ジャッキー・チェンには、「ジャッキー・チェンのテーマ」という、曲があるものだとばかり思っていた。「モンキーズのテーマ」みたいな。
 物知りな人によると、私が「ジャッキー・チェンのテーマ」だと思っていた曲は、「ポリス・ストーリー」(1985年)という映画のテーマ曲だそうだ。
 そうなんだ!



 歌詞は全く分からないが、謎の中毒性がある…

 中国語の歌の、謎の中毒性で思い出した。
 3月に仕事で中国の成都へ行ったとき、ディナー・パーティで伝統芸能のパフォーマンスがいくつかあり、その一つが四川省伝統の「変面」だった。京劇に似ているが、仮面を素早く変える芸が有名。
 このパフォーマンス中、ずっと妙にテンションの高い曲が流れまくって、面白かった。ものすごく耳につく。私はてっきり、この曲は適当な歌謡曲か何かだと思い込んでいたのだが、実は「変臉」というタイトルの、変面賛歌だったのだ。
 動画サイトで「変面」を検索すると、どの変面パフォーマンスも、片っ端からこの曲を使っている。一体、オリジナルの伝統的・変面舞台はどんな音楽を使っていたのか、皆目分からないのだが、なんだかもう、これで良いような気がしてきた。(良くないだろう…)
 前置きのスロー・パートがやけに長い。やたらと引っぱる。そしてアップテンポになると、テンション・マーックス!!
 ビェンビェンビェンビェンビェンビェンビェンビェン、カンカカーン!



 ビェンビェンビェンビェンビェンビェンビェンビェン、ビェンビェン!
 どうせなら、実際に仮面を変える動画を貼れば良さそうな物だが、この大袈裟な歌詞も存分に味わいたい。
 テンション高すぎ、絶妙で巧み、イキでロマンチック!褒めちぎりすぎだが、いっそここまでやってくれた方が気持ちが良い。さぁ、もう耳につき、頭の中でグルグル回り始める …
  ビェンビェンビェンビェンビェンビェンビェンビェン、カンカカーン!

Rolling Stones plane2018/06/16 20:24

 基本的に、フットボール(サッカー)に興味がない。
 だが、大規模で高レベルな世界的大会となれば、それなりにニュースも入ってくる。とりあえず、応援する国を定めておく。
 まず、ポーランド。いま、ショパン弾いてるから。選手は全然知らないけど。
 それから、アイスランド。こちらは話題のダークホース。もはやダークホースでもないかも知れない。

 そして、急遽加わったのが、アルゼンチン。
 応援する理由など、まったくなかったのだが、衝撃的なニュースが入ってきたのだ。
 アルゼンチン代表が、ザ・ローリング・ストーンズのプライベート・ジェットでロシア入りしたというのだ。

サッカーアルゼンチン代表、ローリング・ストーンズのプライヴェート・ジェットでロシア入りしたことが明らかに

 一体なにがどうして、こういう事になったのだろうか。
 そう、誰もが知っている、ミック・ジャガーの呪い!ワールド・カップで、ミックが応援する国は負けるという有名な呪いをものともせず、ストーンズ・ジェットで乗り込んだその勇気は賞賛に値する。

 2016年、ストーンズは南米ツアーを行っており、当然アルゼンチンでも大規模な会場でライブをした。
 これはオーディエンス録画だが、雰囲気は良く分かる。なんだがもう、凄い。

Wish You Were Here2018/06/19 21:11

 十年ほど前、ある習い事をしていた。複数の講師について習っていたのだが、その中に一人、数ヶ月間だけついていた、ある「先生」がいた。いま思うと、「先生」とは言え年下だったような気がする。

 とにかく、その「先生」とは、どこか気が合ったようだ。習い事そっちのけで、よくとりとめもないお喋りをしていた。
 そうこうしていれば、当然、私は音楽が好きで、特にロックンロール好きで、トム・ペティが好きなのだという話になる。
 「先生」はニューヨークに住んでいたことがあり、トム・ペティのことも知っていた。「トム・ペティ?!」と笑いだす。何がおかしいのだ。
 「先生」も音楽が好きで、「プログレッシブ・ロックは?ピンク・フロイドとか」と水を向けてきた。私はにべもなく「興味がない」と言った。長い音楽はクラシックで十分だ。
 しかし、「先生」も食い下がる。これだけは、きっと気に入るはずだ、ぜひ試しに聴いてみろと言って、"Wish You Were Here" というタイトルをメモした。
 私は試しに聴いてみて、そしてiTunesで一曲買いした。気に入ったのだ。



 次に「先生」に会った時、気に入った、良い曲だと言ったら、「やった!」と言って、ガッツポーズをしていた。

 「先生」に習っていたのは、ごく短い期間だった。疾うの昔、ほんの一時期だけの、顔見知り。でも、すごく印象的で、音楽やニューヨークの話をするの時の楽しさや、その顔かたちは良く覚えている。
 でも、十年も経ち、あの「先生」は今、一体、世界のどこで何をしているのか、知るよすがもない。なにしろ、名前すらちゃんと覚えていない。
 ただ、いま思うと ― ああ、あれは、「友達」だったのだと、いまさらながら思う。
 最後に別れた時の姿を、いまでも鮮明に思い出す。何気ない「先生」との「さようなら」だったが、あれは確かに、「友達」との別れだったのだ。

When They Were FAB2018/06/23 20:12

 ポールが新譜を出すとかで、メディアへの露出が増えている。そんな中で、ビートルズ時代の、ジョージに関するコメントがあった。

ポール・マッカートニー、いかにジョージの強気な態度がビートルズを助けてくれていたかを語る

 翻訳では「強気な態度」、「僕はこんなことやりたくないよ!」 ― となっているが、原文を見ると、もっときつい。

Paul McCartney explains how George Harrison’s expletive-filled rants benefitted The Beatles

 ジョージのこういうところも好きだ。
 そもそも、彼はバンドでは一番の年下だ。しかし、ジョージはいつも臆することなく、意志を伝える。強情で頑固とも言えるかも知れない。基本は正直で誠実。シニカルでひにくれ者、ユーモアとジョークを愛するジョージの、こういう根本的な強さが、多くの人を惹きつけるのではないだろうか。
 リンゴの病気のため、ジミー・ニコルが代役を務めたとき、リンゴでなければツアーに行きたくないと言って、「大人たち」を困らせたジョージ。人への愛情にも強い意志がある。

 ジョージがポールのこのコメントを聞いたら、何と言うだろうか。きっと、シニカルにまぜっかえしたのではないだろうか。

Johnny B. Goode2018/06/26 21:44

 チャック・ベリーの名曲 "Johnny B. Goode" について、この曲はてっきり、"Roll Over Beethoven" よりも先に世に出たのだと思い込んでいた。
実際は、"Roll Over Beethoven" が先で1956年。"Johnny B. Goode" は二年後の1958年だ。

 まずは、オリジナル。チャック・ベリー。



 オリジナルを改めて聴いてみると、意外と演奏がヨレている。ベリーの有名なギターのみならず、ドラムも、ピアノも良い感じにヨレている。
 実は、このヨレ具合が、ロック少年達の心を捕らえたのかも知れない。

 カバーは色々あるが、白眉はジミ・ヘンドリックスだ。これはさすがに、格好良いの一言。ロックンロールは十年でここまで来てしまった。ここまで来てしまえば、二十七で命を取られるというものだろう。



 私の守備範囲ではないが、面白くて、笑い転げていたのがジューダス・プリースト。なんだ、こりゃ。楽しくていいと思う。



 最後に、1986年3月15日のチャリティ・コンサート、[Heart Beat 86]。



 ジョージとジェフ・リンがいつ知り合いになったのか知らないのだが、1986年3月よりも以前なのだろうか。このコンサートでは既に友達のように見える。
 このコンサートは公式ソフトになっているのだろうか。ELOファン、ウィルベリーズ・ファンにはたまらないコンサートだ。その最後を飾る "Johnny B. Goode" こそが、ロックンロール少年たちの締めにふさわしい。