Shadows in the Night2015/02/06 21:40

 ボブ・ディランの新譜 [Shadows in the Night] を聴いた。
 今回は、フランク・シナトラのカバー・アルバムという趣向とのこと。

 お恥ずかしいことに、私はシナトラを全く知らない。もちろん、存在は知っているし、べらぼうに歌の上手な人だということも知っている。しかし、彼の曲となると、"My Way" か "New York New York" しか知らない。しかも、それらをフルで聴いたことも、多分ない。
 そんな私が、いきなり世紀のダミ声男でシナトラの曲を聞いても良い物かとも思うが、まぁ、良いことにする。



 やっぱり、ロックンロールでポップな音楽が好きな私には、曲調がちょっと合わない。良い曲、名曲揃いなのだが、ムーディで甘い味付けも同じ。もっと言えば、曲の見分けがつかない。せいぜい、「枯葉」とラフマニノフのピアノ協奏曲が分かる程度。
 それはそれとして、ディランの歌唱は、なかなかのものだった。そもそも、歌の名手の曲だけあって、音域も広いし、音程の動きもダイナミックだが、それなりに器用にこなしている。
 一番良いと思ったのは、一つ一つの言葉を丁寧に、美しく歌おうとする繊細さだ。何を言っているか分からないディランではなく、丁寧に、はっきりと歌うディラン。再発見をしたようでもあり、そうでもないかも知れない。今回の新譜を聴いてから、前作の [Tempest] を聞いてみると、実はディランがやりたかったことは前作からつながっているのかも知れないと思うのだ。
 丁寧に、切々と、優しく、歌い上げるという点で、最近のディランがやりたいことが良く分かる。

 曲の見分けがつかないと言いつつも、最後の "That Old Lucky Sun" はとりわけ良かった。情感豊かで、感動的な編曲。トランペット,ホルン,トロンボーンのサウンドも美しい。

 もともと、最初にこの曲を有名にしたのは、フランキー・レーンだそうだ。
 ともあれ、シナトラを聞いてみる。



 うわぁ!聴くんじゃなかった!
 断然良い!上手い!上手すぎる!バックのホーンセクションまでも格段に良い!ディランの方は歌も、伴奏もおっかなびっくりに聞こえてしまう。
 これはどうなのだろう。ディランを聞いて、シナトラも聞いて欲しいという、ディラン様なりの思いがあるのだろうか。そうだとしたら成功している。

 フランク・シナトラのカバー・アルバムを作り、ディラン様の次はどうなるのだろうか。音域広く、美しい曲を作るも良いけど、それにロック的なノリと勢いの良さも欲しいところだ。

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