Going to a Go-Go (Album)2013/01/03 20:35

 モータウンのアルバムを聴き始め、まずはスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ、スティーヴィー・ワンダー、ジャクソン5の三者が集まりつつあり、さらにマーヴィン・ゲイ、スプリームスと続く流れ。

 そんな中でも、やはりスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズが一番好きだということいには変化がない。曲としては、"The tears of a clown" が一番好きだというのは、記事にしたとおり。
 では、アルバムはと言うと、[Going to a Go-Go] が群を抜いている。まず、アルバム・ジャケットからして、とても格好良い。



 アルバム収録曲はどれも名曲揃い。なんと言っても、アルバム・タイトルになっている、"Going to a Go-Go" は、ストーンズのカバーでも有名な名曲だ。



 お恥ずかしい話、私はもモータウンを意識して聴き始める最近まで、この曲はストーンズのオリジナルだと思い込んでいた。



 "Going to a Go-Go" も無論名曲だが、私としては、"My Girl Has Gone" を推したい。この曲はモータウンによくあるベスト版やコンピレーション盤にも入って居らず、アルバムで初めて聴いたのだが、ひどく感動的で驚いてしまった。



 シンプルで美しく、切なくなるような、それでいて重くもなく、軟弱でもない。私がロックに感じている美しさや格好良さが、このモータウンの曲でも再現されている。私にとって、"My Girl Has Gone" は "The Tears of a Clown" と双璧を成している。
 ぜひとも、わがモータウンの師マーティン先生にも、この曲の感想をお伺いしたいところ。
 ちなみに、マーティンのモータウン・アルバム、[Made to Measure]にはスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの曲が2曲入っているが、一曲はもちろん "The Tears of a Clown"、もう一曲はアルバム [Going to a Go-Go] の収録曲である、"Ooo Baby, baby"。彼のこのアルバムに関する感想も、お伺いしたいところ。

LennoNYC2013/01/06 20:56

 長い休暇の間、どこへも出かけず、もっぱら録りだめしていた海外ドラマなどのテレビ番組や、映画を見るのに費やしていた。

 その中で、最後まで見ずにおいていたのが、ジョン・レノンの70年代とニューヨーク,アメリカでの活動を追った作品、「ジョン・レノン,ニューヨーク LennoNYC」だ。元々は、[American Masters] という、テレビ向けのドキュメンタリー・シリーズの一作品である。
 なぜ最後まで見ずにおいていたのかと言えば、ジョンのビートルズ以降の活動に対する、私の評価が高くないから。音楽的にも、スタイル的にも。



 小野洋子との出会いや、ビートルズ解散前後の経緯、イングランドで作った [Imagine] などは全く登場しない。ジョンと小野洋子がニューヨークに拠点を移したところからドキュメンタリーは始まる。
 私はジョンが米国政府から目をつけられ、「迫害」されていたという「陰謀」の被害者だという話には、あまり興味がなかった。この作品では、泥沼化するベトナム戦争と、それに対する反戦運動。運動にのめり込み、影響力の片鱗を見せるジョン・レノン ― 当局としては、無視できないという状況がよく描かれていた。それは決して大袈裟な「陰謀」騒ぎではなく、ジョンだけの問題ではなく、さらにジョン・レノンの価値を高めるものでもない。そういう時代の、そういう人々だったのだ。
 反戦運動、政治活動を叫ぶジョン・レノンの「音楽」はこき下ろさる。さすがにこの下りは、「そりゃそうだ…」という、従来の感想がそのままだった。
 あの最高のソングライターであったジョンの才能は姿を消し、演奏から美しさも失せてしまっている。一番の問題は、小野洋子という、音楽的な要素がまったくない存在。ポール・マッカートニーをパートナーに選び、ビートルズとして最高の音楽を作りあげた、あのジョン・レノンの音楽的価値判断の崩壊…私には、目も、耳も背けたくなるジョン・レノンがいる。
 しかも、絶大と思われていたジョンの影響力の限界と、音楽の力という幻想の現実まで突きつけられる。音楽で出来上がっているジョンが潰されるのは、当然だろう。結局、ジョンには政治活動は合わなかったということを、ドキュメンタリーは証明したのかも知れない。

 ドキュメンタリーは、小野洋子との別居、LAへの移住(失われた週末)、酒(と、ドラッグ)に溺れる、自堕落な生活へと推移する。
 LA時代の証言者として、ジム・ケルトナーとクラウス・フォアマンが登場するのだが、慣れぬ異国で古い同郷の馴染みに巡り会ったような感覚がした。この不思議な安心感。それまでは、東部の運動家や、政治メッセージが第一の見知らぬミュージシャンばかりがジョンを囲んでいて、見ているこっちの居心地が悪かったのだ。
 LAで荒れるジョンを、迎えに来てくれと頼まれた小野洋子の返答が、痛快で好きだ。
「今まで、私がジョンを独占していると非難してきたのに、今になって困ったから、迎えに来てくれって、なにそれ?!」
 …おっしゃる通りです。

 小野洋子は、悪い人ではないのだ。たぶん。強く、個性を重んじる、才能豊かな人なのだろう。ただ、音楽的才能は無い。前衛芸術は、私にはよく分からない。少なくとも、ロックンロール・ミュージックの音楽価値基準に照らすと、彼女の「作品」は非音楽的で、受け入れ難い。
 ジョン・レノンのファンとしては、そういう「非音楽的」な小野洋子の作品を、自分の作品と同等に評価してしまうジョン・レノンは、さらに受け入れ難いのだ。しかし、ファンはファン。ジョンを否定するわけにも行かない。そうすると、小野洋子を攻撃することになってしまう。
 ファンにとっても、小野洋子にとっても不幸な結果。ジョンにかなりの責任があると思われる一方、小野洋子も、自分の「作品」はジョン・レノンの音楽世界を客観的に判断する中には、どうしても入ってこないとは、考えてくれない。要するに、分かってくれない。その「どうしようもなさ」が二重構造になっている。もっと大きな次元での価値判断ができれば、ジョンの音楽も、彼女の音楽も同じカテゴリーで価値判断できるのかも知れないが、そこまで高度な感覚は残念ながら持っていない。

 せっかく House Husband 期を終え、"Starting Over" や、"Woman" のような名曲を生み出したジョンだが、その不思議な音楽価値判断は、[Double Fantasy] でも再現されてしまった。
 ドキュメンタリーは建設的で、健康的な1980年のジョンを幸せに描く。一方で、私の彼に対する失望感は、その死で払拭されることなく、終わってしまう。他人であり、ただのファンである私にとって、ジョン・レノンの最大の悲劇は、この点なのかも知れない。

 レコーディング中のジョンの声や、デモ音源、そして効果的な音楽の使い方など、よく出来ていたと思う。ぞっとするような小野洋子の音の時は、ウクレレの練習をしてやり過ごす。
 DVDなどのソフトはいらないけど、一度は見ておくと良い作品だった。

むかしの写真2013/01/09 21:28

 ビートルズの未公開写真が、英国で競売に掛けられるというニュースがあった。

ビートルズ未公開写真が英国で競売

 あれほど写真が知られているバンドだけに、未公開とは言え、さほど目新しい物ではないだろうが…。
 赤いリッケンバッカーを手にするジョージ…も、もしやこの写真の別バージョン?!



 世のスクール水着マニアを驚喜させたこのショットが、さらに面白いことになっていたら、私も入札するかも。
 もしくは、これくらい素敵なポールの写真だと面白い。



 写真というものは、良い物だが、やっかいなものでもある。昔のどうしようもない写真を、いつまでも引っ張り出されたりして、迷惑した経験は、誰にでもあるだろう。
 トムさんにも、こんな時代があったりする。



 あー、これはモテない!絶対モテない!一般によく知られているハイスクール時代の写真より、酷い。この中途半端な顔!これは絶対に、目の前で最後の焼きそばパンをとられた顔だね。
 こういうものを見ると、トムさんにとって、ロックンロールの存在にどれほど救われたか、はかり知れない。ドン・フェルダーに「反っ歯」とか言われても、やっぱり長髪でギターを引っ担いで、ふんぞりかえっている方が格好良いに決まっている。

 学生時代の、写真というものは本当に、本当にやっかいだ。下手に犯罪なぞすると、卒業アルバムの写真を出される。
 そのようなわけで、犯罪者ではないけれど、セレブなので晒されているハイスクール写真。

 トム・ハンクス。



 この髪型はい、一応何かを目指していたのだろうか。ヒッピー路線?何たる毛髪の量!見ようによっては、19世紀っぽいかも知れない。リストとか。シューマンとか。(ショパンとは言わない)

 お次。スティーヴン・タイラー。



 どうしよう。

 言葉を失う。

 そもそも、スティーヴン・タイラーっていう時点で、何かイロイロ突っ込むべきところがある。
 それにしても、娘にそっくりだ。どうしよう。ベネディクト・カンバーバッチが、スティーヴンの娘とデートしていたって話を聞いたような、聞かないような…
 本当に、スティーヴンこそ、トムさんよりもスティーヴンこそ!ロックンロールがあって、良かったね。

Traffic / Weather Reports2013/01/12 13:03

 いつもお世話になっている、日本のトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ・ファン・コミュニティ、Heartbreaker's Japan Party は、毎月メールマガジン Depot Street を配信してくれる。
 これが、硬軟織り交ぜた素敵な情報が満載で、とても楽しい。現在、配信数は228通と、メルマガとしては決して多くはないだろうが、なんといっても1999年から始まり、すでに169号に達しているという、継続性が素晴らしい。しかも内容が毎回充実しているのだから、スタッフさんには、とても頭の下がる思いがする。
 ちょっとでも、TP&HBが良いな、と思ったら、ぜひともこちらから配信申し込みを。最新号では、2月23日のオフ会案内もされているので、この機会にぜひ。

Depot Street に申し込もう!

 さて、最新1月号で一番面白かった記事は、シンシナティのTV局が流した、交通情報。



 道路に大きな木が倒れている(Tree Fallin' !) ので、通れません…というレポートなのだが、面白すぎる。この大熱唱。10秒ぐらいで、誰かが大爆笑しているのが聞こえる。
 こういうアホっぽくて下らないネタ、大好き。このBob Herzog というアナウンサー、毎回この手のお馬鹿をやるらしい。

 テレビでレポートと言えば、もう一つはお天気レポート。
 あのジョン・レノンがお天気キャスターをつとめたことがある。1975年のことだそうだ。



 こんなお天気キャスターの言うことは、とりあえず信じないで傘を持って出かけた方が良いんじゃないかな。

 こちらは、ごく最近。アメリカ南部のテレビだろうか。ジョン・レノンのそっくりさん…?が、登場してお天気キャスターをつとめる。



 このジョン・レノン、実はそっくりさんとはちょっと違う。Liverpool Legends という、その世界では有名なビートルズ・コピーバンドの、ジョン役の人だそうだ。しゃべり方までは、さすがに似ないらしい。
 どちらにしても、ジョンにお天気の話をされても、やはり信用できない。

 私が一番好きなお天気レポートはこれ。
 ドイツの朝のニュース番組における、お天気キャスターの女性。笑いが止まらなくなる。



 さぁ、お天気…となった時に、誤って他のニュースキャスターが映ってしまい、さらにその人が居眠りをしていた…のが、この女性のツボにはまってしまった。必死に笑いをこらえ、途中でなんどか持ち直そうとするが、時既に遅し。
 この動画を見ると、なんだか幸せな気持ちになれる。

This Old Heart of Mine2013/01/15 22:02

 The Supremes もしくは、Diana Ross & The Supremes というのは、日本語表記するときに「シュープリームス」が良いのか、「スプリームス」なのか、いやそれなら「スプリームズ」の方が良いのか、とにかくよく分からない。日本盤のアルバムを買うと、「シュープリームス」と書いてあるので、これに従うことにしているが、実際に口に出して発音するときは、「スプリームス」と言っている。

 ロックでもそうだが、基本的に男声が好きな私は、シュープリームス購入はモータウン買いの第二段階となっていた。
 まずは、[Where Did Our Love Go]。ごく最近、[The Supremes A' Go-Go] と、[Let the Sunshine In] を購入。三者目は、ダイアナ・ロス&ザ・シュープリームス名義になっている。
 有名な "You Can't Hurry Love" 目当てで買ったような [The Supremes A' Go-Go] だが、驚いたのは、"This Old Heart of Mine" のカバーが収録されてていたこと。
 無知というものは恐ろしいもので、私はこの曲をロッド・スチュワートが オリジナルだと思っていた。実際はもちろん、ロッドの方がカバーであり、オリジナルはアイズレー・ブラザーズ。モータウンである。
 「オリジナル」と言うと、ロックの世界ではアーチスト自らがソングライティングをしているのが普通だが、モータウンの場合、ライターはモータウンの職人である場合も多く、"This Old Heart of Mine" もこのケースにあたる。

 まずは、アイズレー・ブラザーズから。



 いかにもモータウンと言った感じの、いわゆる「ノリノリ」というもの。格好良い。アイズレー・ブラザーズのアルバムも早く欲しくなってきた。
 そしてこちらが、シュープリームス。



 アイズレー・ブラザーズと同じノリで、元気で楽しい雰囲気。
 それに対して、ロッドのバージョンというのはとてもしっとりとしていて、味わい深い。どういうわけか、この1976年のアルバム収録バージョンが、YouTubeで見つからない。私にとって、[Atlantic Crossing] はロッドの中でトップクラスには位置しないアルバムではあるが、この曲は、ロッドの良さが非常に良く出ていて好きだ。
 後年、ロッドはロナルド・アイズレーとのデュエットで "ThisOld Heart of Mine" を採録しているが、こちらはちっとも良くない(YouTubeにはよくヒットする)。

 面白いと思ったカバーは、ゾンビーズのもの。
 いかにも60年代UK, マージービート、きらきらしたギターに、ソリッドなロック、ゾンビーズならではの格好良いキーボードがイカしている。

ユークを弾くなら2013/01/19 22:34

 ロック好きなら、撥弦楽器だ!…という一念発起と、買ったまま放置されていたマーティン・フリーマン君(マーチンのウクレレ)を生かすべく、ウクレレを習い始めて8ヶ月あまり。弾けているような、それほど弾けていないような。上を見れば切りが無く、私が楽器を習う時の常として、どうしようもなく下手のような気がしている。
 そうは言っても、課題はこなしている。順番に並べてみると…

Moon River
Danny Boy (Londonderry Air)
Daydream Believer
Smile
Gaota de Ipanema (イパネマの娘)
Autumn Leaves (枯葉)
Silent Night(きよしこの夜)
Ave Maria (バッハ-グノー)
Every Breath You Take (見つめていたい)
If I Needed Someone (恋をするなら)

 難しくて印象的だったのは、「枯葉」。
 音楽ジャンルとしても、私の守備外ということもあるし、英米系のポップスとはコードが全く異なる。他の曲を練習しているときも、継続して弾くと良いとのこと。

 そしていよいよ、ビートルズを弾こう!…となったときに、間髪入れずに「If I needed someone! 」と叫ぶ私。先生はあまりビートルズにはピンと来ていないようで、ユーク用の譜面も手元にない。とりあえず、ギター用の譜面を参考にして、コードの練習だけを、宿題ということになった。コードに [A on G] とある。初心者である(つもり)の私のために、先生は「ここはAで良いです」とアドバイスしてくださった。
 さぁ、私もこれでジョージ・ハリスン!ユークでロックで、ウィルベリー一族の仲間入り!…と、張り切って、宿題に取り組む。そもそも、ギター用の譜面なので、コード程度しか確認できないのだが…なんだか違う。私が求めるジョージの "If I Needed Someone" に聞こえない!なぜだ?私が求めるあの格好良い、 "If I Needed Someone" は、これだ…!



 マーティンを抱えて四苦八苦しても、なんだか良く分からない。仕方がないので、譜面を持ってピアノの前へ。この時点で、既にギター・ユーク弾きとしては堕落している。でも、これは時間の節約にはなる。ピアノというのは、実に楽で便利な楽器で、弾いてみればすぐに分かった。
 [A on G] で割愛した "G" の音が重要だったのだ。調がA Dur…もとい、Aメジャーの場合(調性や音名はドイツ式のほうが断然慣れている。小学生のうちにすり込まれているので仕方がない)、Gにはシャープがつき、これが導音となって調性上非常に重要な働きをするのだが、この "If I Needed Someone" のAメロでは G をGのまま響かせることが重要なのだ。
 ピアノでそれが分かると、クラシック人間の悲しさで、譜面に書きとめたくなる。五線譜つきのタブ譜で。やはりギター・ユーク弾きとしては失格。ともあれ、私は "If I Needed Someone" らしきものを譜面に書き始めたのだが、五線譜はともかく、タブ譜に苦労する。理屈は分かっているが、慣れていないのだ。
 そして、冒頭9小節で力尽きる。

 そのような経緯を先生に説明し、譜面を見てもらうと、これは面白い試みだということになった。つまり、私はコードをストロークで弾きつつ、リフも、メロディも表現しようとしていたらしい。ピアノ人間の長所なのか短所なのか、一人でどの役割もいっぺんに出来ると思っているらしい。ギターやユークはそこまで器用な楽器ではなかった。
 当たり前だが、バンドに複数のギタリストという構成が多いのは、リズムギタリストがコードを刻み、リードギタリストが印象的なリフやメロディを弾いて、はじめてあの格好良いロックサウンドになるからだろう。コードがしっかりしているからこそ、音楽の性格は決まるわけで、ジョン・レノンやトム・ペティのリズムギタリストとしての偉大な功績に敬意を抱かずにはいられなかった。そういえば、私の好きなシスター・ヘイゼルには、リズムギタリストが二人いる。
 逆に、最後にライブで見たエリック・クラプトンのバンドは、リズムギターがほぼ不在状態で、酷いというのが私の感想だった。クラプトンはあれでも平気なのだろうかと非常に不可解だったのだが、彼は若い頃にリズムギタリスト不在のバンドをやっていたという事も、影響しているのだろうか。それにしても、あれはいただけない。

 先生はコードを直し、継続的なストロークを弾きつつ、メロディを織り込む方法を研究して下さった。実はこれ、非常に難しいらしい。
 これまでは、ユークでメロディを弾きながら、時々飾りのようにコードを織り込むという奏法で練習していた。私は絶望的に歌が下手なため、当然の流れだろう。
 そして、ここに来てストロークでコードを弾きつつ、メロディも一緒に弾きたいと言う。"If I Needed Someone" は、そうでないと "If I Needed Someone" に聞こえないのだ。AメロからBメロへ、研究と練習はさらに続く。
 さて、私は "If I Needed Someone" を研究・編曲してソロでユーク・プレイヤーとして弾けるようになるのだろうか?

Bunny and the Bull2013/01/22 22:39

 [Bunny and the Bull] は、2009年のUK映画。監督はポール・キング。
 キングは私が好きなコメディ、ザ・マイティ・ブーシュの監督で、この映画では脚本も担当している。ブーシュのスピン・オフ作品ではないかと思うほど、雰囲気がそっくりで、ジャンルとしてはコメディに分類される。
 主演は、エドワード・ホッグと、サイモン・ファーナビー。前者は「もうひとりのシェイクスピア Anonymous」でロバート・セシルを演じるなど、実力派のいかにもな俳優さん。後者は、ブーシュや他の作品でもおなじみのコメディアン。他の出演者には、ジュリアン・バラットと、ノエル・フィールディングほか、いわゆるブーシュでおなじみの面々が揃っている。
 音楽はこれまた、ブーシュでおなじみのラルフェ・バンド。

 スティーヴン・ターンブル(ホッグ)は、神経症気味で収集癖があり、さらにあるトラウマを抱え、何ヶ月もフラットから一歩も外に出られずに引きこもり生活を送っている。
 ある日、室内の様々なものから、去年、親友のバニー(ファーナビー)と一緒に行った、ヨーロッパ旅行を回想し始める。
 お気楽で、無神経で、ギャンブル狂で、色魔のバニーのペースに巻き込まれ、いちいちイカれた騒ぎに巻き込まれるスティーヴン。ポーランドで、エロイーザというスペイン娘と意気投合。三人で彼女の故郷へ向かう。スティーヴンはエロイーザに好意を持つが、手の早いバニーに先を越される。
 旅の回想、もしくは幻覚、夢とトラウマに悩まされ、スティーヴンは引きこもりから抜け出すことが出来ない。やがて、旅の回想はスペインにたどりつく。旅の結末は?そしてスティーヴンのトラウマとは?




 私はこの作品を、ブーシュの関連作品として見た。もちろん、関連作品であり、コメディだ。宣伝もブーシュ関連であることを強調しているし、実際に画面の雰囲気もまさにブーシュ。ロード・ムービーなのに、ロード・ムービーのお約束は全く守られず、ほとんど全てがサイケでポップで、息の詰まるような密室セットの中、もしくはアニメーションの中で、ファンタジックに展開する。ギャグもシュールでオフビートで、ブーシュとの違いはアダルト向けなところくらい。
 このまま、ブーシュと同じく、シュールでパンキッシュなヘンテコ・コメディとして終わるのかと思ったら…

 完全に騙されていた!本当に、本当に全く完全に騙された!
 映画の冒頭から85分間、間違いなくブーシュ・ワールドが絶好調だったのに、最後の10分間でひっくり返されてしまった!
 ここからは、完全にネタバレ。ネタバレなので、見たくない人は飛ばしていただきたい。もっとも、こんなマニアックで、日本未公開で、日本語版も出ていない作品の需要がそうそうあるとは思えないが…とにかく、ネタバレである。

 実はこの映画、ブーシュ系のファンタジック・コメディであると同時に、「喪失と再生の物語」だったのだ。
 行き着いたスペインで、バニーが事故死してしまうのである(かなりアホな事故)。スティーヴンは彼を助けられなかったことをずっと後悔していたし、バニーの直接の死因が自分の名前(ターンブル)に重なっていることもあって、バニーの死がトラウマとなり、引きこもり生活を送っていたのだ。
 バニーの死の場面で、突然ロケ撮影した画像に切りかわる(ここまで、85分!)― つまり、旅の回想も、スティーヴンの幻覚だったというわけ。道理で変な作り物全開のセットで撮影されるわけだ。さんざん登場した「部屋に現れるバニー」は幽霊、もしくはやはりスティーヴンの幻覚。セットからロケに切り替わるなり、「現実に起きた事件と、スティーヴンの悲しみと、現状」が表現されるという手法だったのだ。…完全にやられた!

 親友を失った悲しみに暮れ、「ごめん」と謝るスティーヴンを、バニー(の幽霊?幻覚?)は励まし、せめてスペインのエロイーザに電話くらいしろよと提案する。スティーヴンは電話をかけ、部屋を片付け、部屋から出て行こうとする。
 「良い旅を」とスティーヴンを送り出すバニー。「寂しくなるよ」というスティーヴンに、バニーは、いかにも彼らしい最後の頼みを言い残す。スティーヴンが明るい外へ一歩踏み出し、振り返ると、もうバニーの姿はない…
 なんだ、このいかにもな「喪失と再生の物語」のお約束は!不覚にも感動してしまった!Booshのくせに生意気だ!

 そして、この感動のラストで流れるのが、ラブ(サイケデリックで、フォーキーなアーサー・リーのバンド)の、"Alone Again Or"。



 美しく流れ出るイントロのアコースティック・ギターで、胸が一杯になってしまった。こういう曲は、正真正銘フォーク・ロックが得意とするところ、ラブという選択もニクい。実はアーサー・リーは、ザ・マイティ・ブーシュに登場する有名なキャラクター,ルディのモデルの一人なので(もう一人のモデルは、ジミ・ヘンドリックス)そういう関連もあるかも知れない。
 さらに、間奏の印象的なスペイン風編曲とトランペットソロは、スティーヴンが再びスペインへ向かったことを暗示している。

 まったく予想もしてない展開で映画が終わり、しかも感動してしまった。これでUKから輸入したDVDが2.5ポンド(400円以下?)だというのだから、かなり得した気分だ。

アトランタ陥落2013/01/25 23:11

 1864年7月の下旬まで、北軍の西部戦線司令官シャーマンは、アトランタを落とすべく、南軍のフッドと「陣取り合戦」を繰り返していた。即ち、前進して多くの陣地を取った方が勝ち。北軍が勝ち続ければ、自ずと南部最大の都市アトランタが落ちるという寸法である。
 しかし、実際には一進一退でアトランタを一気に攻め落とすことは出来なかった。小規模な衝突のたびに南北両軍は同じくらいの損害を出し、即ち基礎体力の弱い南軍の方が明らかに劣勢に立たされてたのだが、かといって大きなアトランタを完全に包囲することもできない。

 シャーマンは、アトランタへの補給路となる鉄道網の攻撃に出た。鉄道網を寸断すれば、人口の多いアトランタは早い内に干上がってしまい、軍隊を養うことが出来なくなる。即ち、フッドはアトランタを放棄せざるを得なくなると言う寸法だ。
 手始めとして7月28日、アトランタの西,エズラ教会付近で、両軍が激突した。フッドも西側鉄道網の防衛の重要性を知っており、南軍は多いに戦ったが、結局は北軍に敗れるに至った。

 シャーマンは同時にアトランタの南側で鉄道破壊を目論んだようだが、これは失敗し、北軍司令官の一人、ジョージ・ストーンマンが捕虜になった。
 ここで私はびっくりしてしまった。ストーンマンがこんな所で捕虜になっていて良いのだろうか?彼は翌年、東部戦線におけるのリッチモンド陥落前に、ダンヴィル鉄道を破壊していなければいけないはず。以前にも、記事にした(2009年8月30日参照)。そうでないと、ザ・バンドの名曲が成立しない。
 なんでも、ストーンマンは捕虜生活三ヶ月で、解放されたそうだ。捕虜交換という制度で北軍の戦線に復帰し、その後東部戦線に戻ったとのこと。

 その後も、フッドは兵力,火力に物を言わせて、8月いっぱいアトランタを囲む鉄道網を攻撃し続けた。南軍も、ウィーラーの騎兵隊を北へ回して背後を攪乱しようとしたが、多勢に無勢で、あまり効果はなかったようだ。
 8月末、とうとう北軍はアトランタ市街の側まで迫り、南軍は持ちこたえられなくなった。9月1日、フッドはアトランタからの撤退を決定。アトランタは陥落した。
 大規模な市街戦にはならなかったが、南軍が引き上げる前に軍施設や物資を燃やしたため、アトランタ市内の所々で火災が発生した。有名な映画「風と共に去りぬ」の印象的な火災シーンは、この時の様子を表したものだ。

 しかし、私にとって「風と共に去りぬ」で印象的なアトランタ陥落のシーンは、火災ではなく、「駅」のシーンだった。駅と言っても、すでに鉄道網が破壊され尽くされ、交通機関というよりは、人の集まるところになっている。
 スカーレットは、出産しようとしているメラニーのために、医者を呼びに行くが、時まさに、アトランタが陥落するタイミングだった。駅に医者を探しに来たスカーレットが見たのは、おびただしい負傷兵の姿…
 映画全体を通しても、私にはこのシーンが強烈だった。カメラワークが素晴らしく、ボロボロになってはためく南部連合旗が印象的だ。

DON'T come easy2013/01/28 22:29

 シュープリームスのアルバム [The Supremes A' Go-Go] は日本盤を買った。最近はほとんど解説という物を読まないが、なぜかなんとなく眺めていた。
 その中で、大ヒット曲 "You Can't Hurry Love" の歌詞について、"Love don't come easy" は、"Love dosen't come easy" ではないのか?…という指摘があった。



 英語というのは、私にとって永遠の課題である。頑張っているつもりだが、どうにもハードルは高いままだ。指摘されるまで、この文法上の誤りにまったく気付かなかった。私ならこんな誤りは簡単にやるだろうし、人がやっても違和感を感じない。直後の "It's a game of give and take" と続くので、"don't" は明らかに間違っている。
 どうやら、この "dosen't" であるべきところを "don't" とする歌詞や言い回しは、よくあるらしい。確かに、語呂はあきらかに "don't" の方が良い。リズムカルで、メロディに完璧にのってる。

 同様の詞は、リンゴの "It Don't Come Easy" にも登場する。登場どころか、タイトルになっている。



 これも確かに "dosen't" では歌にならない。
 もう一つ、こちらはビートルズで。"Ticket to Ride"。この曲を一体何回聞いただろうか。全くこの "She don't care" には気付かなかった。



 要はネイティヴ・スピーカーで、なおかつ優れた詩人であれば、多少の文法上の誤りは許容されると言うこと。私には到底 ― 日本語においても、たどり着けない境地である。
 最後に、The IT Crowd (邦題「ハイッ!こちらIT課」)の、ロイとモス。 "We don't need no education... / オレらに教育なんていらなくなくな~い?" と歌っているロイに、モスが「要るね。ダブル・ネガティブだ。」とツッコミを入れる。はい、ごもっとも。ちなみに、モスを演じているリチャード・アヨエイドは、ケンブリッジ大学出身。

便利な仕掛け2013/01/31 22:33

 F1は現在、シーズンオフ。とは言え、レースが行われていないと言うだけで、マシンの開発、テストなどは先シーズンが終わると同時に始まっている。

 先シーズン、大活躍した小林可夢偉だが、結局スポンサーがつかず、今シーズンのシートは確保できなかった。なぜ彼ほどのドライバーにスポンサーがつかないのか。いろいろあるだろうが、彼の信念に関わる所にも原因があるのかも知れない。
 私はF1の複雑さが好きだし、いろいろな国の人々が関わっているところが好きだ。だから日本人、日本メーカー、日本チームにこだわる気は無いが、やはり少し寂しい。

 新マシン発表は、ロータスがいち早く行い、そのステアリングの写真が話題になっている。オートスポーツWebが詳しく解説しているので、引用させてもらおう。



MUTE:昨年のアブダビGPで、キミ・ライコネンがチームに「放っておいてくれ。自分のやっていることは分かっている」と返答したのは有名な話。『MUTE』は「音を消す」意味なので、このボタンを押せば無線交信をシャットアウトできる?

ICE CREAM:ライコネンがフェラーリ在籍時代にマレーシアGPの赤旗中断中にアイスを食べていたのに起因か。押せばいつでもアイスが食べられる?

SAT NAV:『SAT NAV』は「サテライト・ナビゲーション」のこと。昨年のブラジルGPでコースアウトした際、サービスロードを走り、あげく“迷子”となったライコネン向け?

SMILE:ふだんからあんまり愛想のないライコネン向け? 

TWEET:押せばいつでもTwitterに投稿できる?

JENSON:編集部を悩ませたのがこのボタン。ジェン村・ボタン?

BANANA:トップ走行中にぜひ使いたいボタン。押せばバナナの皮が出てくるかもしれない。

LIKE:ロータスのFacebookにもぜひ「いいね!」を。

DEPROY ANGRY BIRDS:『DEPROY』は、アプリ等をネットからダウンロードするの意。ロータスのパートナーでもあるゲーム、アングリーバードをぜひ一度お試しを。

(電話マークに)MUM: 困った時にはママに電話するのがいいかも?

JUMP: F1マシンは飛ばれると困りますが……昨年のベルギーGPで宙を舞ったロメイン・グロージャンへの皮肉?

NAP MODE:こちらも分かりづらいボタン。『NAP』は居眠り、仮眠等の意味。どのモードがあるのだろうか?

COLD / VERY COLD / ICE COLD:冷え具合を調節できる? “アイスマン”ライコネンならばICE COLDがオススメか。

OPEN GATE:こちらも昨年のブラジルGPでの“迷子”から来ているものか。ダイアル操作でゲートが開けば、ライコネンもコースに復帰できた?

FINISHING POSITION: 1から12(もう少しある?)まで選択可能。当然1がベストなポジション。

TRANSLATE(ANTI-MUMBLE): 訳すと、モゴモゴしゃべる相手用翻訳ダイアル。これもライコネン向けか。


 「ジェンソン」というからには、ジェンソン・バトンを見たら押すのだろう。ミサイル発射されるとか。「NAP」は、いつぞやのレースが赤旗かなにかで中断している間、キミが余裕をかまして昼寝をしていたネタだろう。
 私が好きなのは、「バナナ」。欧州人はバナナが大好き。それから、「ママに電話」!最後に、「フィニッシュ順位」…それは欲しい!
 この手のジョークは大好き。キミ・ライコネンというネタ満載のF1ドライバーがいるチームならでは。

 ジョージがエリック・クラプトンと来日公演をすると言うことになったとき、日本のテレビ番組に出演して、インタビューに答えていた。イングランドのリハーサルスタジオでのインタビューだったのだが、途中でギターを持ち出してきた。
 クラプトンのストラトキャスターのヘッドには、彼がタバコを挟んだ焼け焦げがついており、ジョージがそれをからかうのだがあ、ついでに彼は、
「ぼくのギターの裏側には、サンドイッチがしまえるんだ!」
…という謎のジョークを言っていた。ついでに、「芝刈り」とか、「肥料」とかのボタンもつければ良いと思う。