Duquesne Whistle by Dylan2012/09/01 21:31

 まずは、面白いテレビ番組の紹介から。
 きょう、Eテレの「地球ドラマチック」で放映した、BBC制作の「ガラクタオーケストラの挑戦 ~チャイコフスキー 序曲「1812年」~ 」[Scrapheap Orchestra] ― 指揮者チャールズ・ヘイズルウッドが、リーダーとなり、ガラクタ,廃棄物から楽器を作り、それをBBCコンサート・オーケストラが演奏するという挑戦。しかも、曲目はチャイコフスキーの序曲「1812年」、本番はBBCプロムナード・コンサートで、場所は当然ロイヤル・アルバート・ホール。

 すっかり制作方法が確立し、お高い値段がつくクラシックの楽器を、一転ガラクタから作る苦心、でも楽器職人としての血が騒ぎ、これが中々立派なモノに仕上がってゆく。楽器というものの根本的な構造についても、考えさせる。管楽器の場合は多分に演奏者の体(呼吸器官)が楽器の延長としてその役割を多く担うが、弦となると楽器そのものに頼る部分が大きく、難しくなるようだ。
 さらに、プロの演奏家のプライドとして、どんな楽器でも弾きこなしてやろうとする演奏者たち ― かなり感動的で爽やかな番組だった。

 演奏のまずさをすぐに楽器のせいにしたり、いたずらに楽器を買いあさって自分の努力は二の次だったり ― そんな陥りやすい状況を反省せずにはいられない。
 Eテレで再放送の予定あり。9月10日(月)[(日)深夜] 午前0時00分~0時44分。一見の価値あり!

 さて、本題。
 ボブ・ディランの新譜 [Tempest] の発売が、9月11日に迫っている。最近のインタビューによると、この新譜のタイトルと、シェイクスピアの作品は、無関係だそうだ。ディラン様曰く、「むこうは、[The Tempest] で、こっちは、ただの[Tempest] ―」 ごもっとも…。
 この新譜から、ミュージック・ビデオが配信されてきた。曲名は "Duquesne Whistle" …何と読むのかと悩んだが、どうやら「デュケイン・ホイッスル」らしい。そうか、「CSI:マイアミ」のカリーと同じ名前ね。この場合は、地名だろう。



 意外と言ってはどうかと思うが…しかし!これは良い!最近のディランは、レトロな響きが多いのだが、これもそういう一曲。しかも、かなりアップテンポではっちゃけた感じで良い。どうやら、最近のディラン様は楽しいらしい。
 ビデオのストーリーは、どう見てもストーカーなお兄ちゃんが、しょうもないことをして、しょうもない目に遭う話…らしい。

 変なお仲間とノシノシ歩くディラン様。最後にお兄ちゃんを助けてくれるのかと思ったら…オチに大爆笑した。私も仲間に入れて下さい。ノシノシ歩くから。
 ちょっと、モンティ・パイソンの「ザ・ビショップ!」に似ているかも。ノシノシ歩いて、しかもあまり役に立たない。

What Becomes of the Brokenhearted2012/09/05 22:34

 最近、モータウン・ミュージックにはまっている。
 そもそも、ジョージ・ハリスンがスモーキー・ロビンソンの大ファンということで、せめてスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズくらいは聴こうかとは思っていたし、そのベスト版くらいは購入していた。
 その程度の認識だったのに、ここに来て、DVDこそ2タイトルにとどまっているものの、CDは10枚以上買い込むに至り、まだまだ買う気でいるのは、2012年7月15日の記事 Martin Freeman Goes to Motownのせいだ。
 その詳細はそのうちまた、記事にするとして…

 最近、特にヘヴィ・ローテーションで聴いているのが、映画「永遠のモータウン Standing in the shadow of Motown」のライブシーンに登場,サウンドトラックにも収録された、"What Becomes of the Brokenhearted" 、歌はジョーン・オズボーン,バンドはザ・ファンクブラザーズである。



 最初にこのシーンを映画で見たときは、衝撃的なほど鳥肌が立った。良いとか、素晴らしいとかではない。凄まじい曲の良さ、凄まじい熱唱ぶり、凄まじいパフォーマンスの迫力に圧倒された。
 歌詞の内容が、ひどく悲しいのも良い。私は悲しい音楽が好きだ。最初は比較的淡々と歌い進んでいたジョーンだが、しだいに切羽詰まったような、絶唱になってゆく。それに無理がなくて、余裕があるのに、聴く方には余裕を与えない、胸がいっぱいになる、感動することしかできなくなる ― 
 私は、ジョージの "Isn't it a pity" や、TP&HBの "Echo" のような、切なさがどんどん重なって、押しつぶされそうなくらい悲しくて、そのくせ力強くて感動的な曲に弱い。

 不思議なことに、この曲の構造はやや中途半端だ。しっかりとした「構成」が好きな私にしてみると、サビは二小節か四小節足りないように思える。そこを、かなり微妙な転調で無理に終わらせている感があるのだ。
 しかし、この宙ぶらりんな感じを、逆に先へ進めてゆく ― 前につんのめらせるような推進力にしている。不安定な転調もおなじ働きをしているのだろう。ジョーンとファンク・ブラザーズの演奏は、その推進力を目一杯使い、最後にコーダを引き延ばし、壮大に締めくくるところが、最高に格好良い。

 オリジナルは、1966年のジミー・ラフィン。もちろん、良いと思う…が、先にジョーン・オズボーンを聴いてしまうと物足りない。



 本来は、オリジナルの薄味な演奏の方が良いのかも知れない。しかし、基本的にロックの切なさやその上でのダイナミックさに慣れている私には、どうしてもジョーンの方が圧倒的に良く思われてしまう。
 この曲は多くのカバーバージョンを生み出しているそうだが、YouTubeでいろいろ聴いてみる限り、どれもジョーンには及ばない。ロッド・スチュワートは良い線かもしれないが…ロッドならもっと凄く良くできそうだと思ってしまう。こういう懐メロをサラリと歌っているだけのロッドはどうも退屈だ。
 ジョー・コッカーのバージョンもあり、これはかなり期待したのだが、どうも年代的な状況(1998年)もあってか、期待はずれだった。

 モータウンにはまったとは言うものの、少なくともジョーン・オズボーンの 、"What Becomes of the Brokenhearted" は、ロック的な耳で聞いているようだ。いや、今更、ロック的な耳以外でポップスを聴くこと自体が、無理なのか。

Martin Freeman: Made to Measure2012/09/08 21:57

 自分にとって新しいジャンルの音楽を聞き始めようと思ったら、何から聞けば良いのか。私にとってのモータウンが、その対象である。
 音楽に詳しい友人には、マーヴィン・ゲイのアルバムと、映画「永遠のモータウン」とそのサントラを勧められた。自分が好きなアーチストが勧めるモータウンという手もある。その方面で行くと、ジョージがスモーキー・ロビンソンのファンなので、これも購入する。

 ミュージシャンではないけれど、馴染みの俳優であるマーティン・フリーマンがモータウンのファンあることは、何度か記事にしたとおりだ。
 そのマーティンが、お気に入り,聞いて欲しい20曲を選び、コンピレーション・アルバムにしたのが、2006年発売の[Made to Measure] である。「おあつらえ向け,オーダーメイド」という意味。



 新品ではもう手に入らない。そこで、曲目リストを元に、iTunes (USA)から1曲ずつ購入し、ジャケットもネットで手に入れてiPodで楽しんでいた。しかし、やはり現物の盤が欲しくなって中古で入手したところ、インナーが面白かった。マーティンによる全20曲の解説が載っているのだ。
 これはモータウンの勉強がてら、全文を翻訳したので、Cool Dry Place にアップした。マーティンの豊かな音楽知識や、独特の語り口、何と言っても音楽オタクっぷりが面白い。

 まず曲目は、ジャクソン5の "I want you back" や、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの "The Tears of a Clown" など、モータウンの中でもとびきりの有名ヒット曲から、iTunes のリストでもかなり下の方まで行かなければ見つけられないほど、非常にマイナーな曲まで、かなりバラエティに富んでいる。
 1971年生まれのマーティンがモータウンを聴くようになった頃に、彼の姉の友人二人(男子)からもらった、編集カセットテープの話が面白い。どうやらこの二人、マーテインに布教して、成功したようだ。
 レコードショップでレアな盤を手に入れた喜びなど、実に可愛らしい。ロンドンのJB's Recordsは、Hanway Street 大英博物館の近くだ。もっと早く知っていれば、絶対に行ったのに。残念。

 どうやら、マーテインの音楽好きはかなり広範囲かつ深いらしく、出てくるミュージシャンの名前が軒並み私には分からない。何度もググることになった。
 そんな中で、"It's a Shame" のソングライターの名前を、微妙に間違えたようだ。マーティンが間違えたのか、編集者が間違えたのかは分からない。ともあれ、R&Bのアーチストと、80年代ティーン・アイドルを間違えるのは、止めてほしい。しばらく何が何だか分からなかった。

 とても興味深かったのは、ブレンダ・ハロウェイの "You Made Me So Happy" に関するコメント。音楽産業の商業性に言及している。
 莫大な利益を得るビジネスを、「金儲け主義」という言葉を使って非難するのは、私たちにとって簡単だし、格好良い事だ。しかし、20世紀におけるポップスの隆盛は、このビジネスとしての音楽,もっと直裁に言えば「金儲け主義」がもたらした。ただ芸術だけを無欲に追求していたら、私たちはポップスの喜びを享受していなかっただろう。
 マーティンもその点に「肯定的」な思いを述べている。彼はいかにもUK人らしいシニカルなところがあり、このコメントもそういう面と、音楽に対する真摯な思いが同居していて面白い。

 マーティンが特に好きなのは、マーヴィン・ゲイ,スティーヴィー・ワンダー,そしてスモーキー・ロビンソンだ。私はスモーキーにはまった。モータウンはベスト版ばかりで、なかなかオリジナル・アルバムは手に入りにくい。まだまだこれからだ。
 ジャクソン5 の良さも、このアルバムで認識した。映像無し,ただ純粋に音だけで聞いたのは初めてで、いたく感動した。声変わり以降,大人になって踊るマイケル・ジャクソンには興味は湧かないのだが、ジャクソン5のアルバム,最初の2作品は早速購入した。

 素晴らしき先導役になってくれたマーティン・フリーマンに感謝。そして、お誕生日おめでとう。翻訳アップが今日になったのは、偶然。

Bob Dylan / Tempest2012/09/11 23:26

 楽しみにしていた、ディラン様の新譜 [Tempest] の発売日。昨日にはAmazonから発送のお知らせが来ていたので、帰宅すればアルバムが届いているという手はず。

 しかし、今朝、あさ一番からどうしても聞きたくて仕方が無い。早朝6時。
 「そもそも、盤が届くことになっているんだから、半日くらい我慢すれば良いじゃ無いか」というまっとうな理屈は、私には通じないのだ。

 こんな時こそ、ダウンロードだ!早速 iTunes Store のUSに乗り込む。6時半。ドル(のギフト・カード)なら、たんまり持っている!はっはっはー!金ならあるぞ!さぁ、ディラン様の新譜をよこせ!
 Oh, dear!なーんてこった!アメリカはまだ10日なので、発売になっていない!

 ふふーん、Far East Mania をなめちゃいけない。こちとら、日本に住んでいるんだ!極東はとっくに11日だもんね!日本の iTunes は割高だが、ディラン様の新譜の前では、小さな事だ!
 さぁ、ディラン様の新譜を…なぬぅ?!まだ発売になっていないだとぉ?9月12日?!なんじゃぁ、そりゃ!ゆるさん!ディラン様をどなたと心得る!

 あったま来たので、UKに走る。こっちにもID作ってあるもんね!ざまぁ見ろ、iTunes US & JPめ!食事のまずい国に未だに後れを取るとはな!見ろ、UKではもう発売になっている!なになに、値段は…7ポンドだな!よぉし、分かった!あーっと、ちょっと待て!ポンドが3ポンドしかない。あれ、なんでだろ?[Sherlock] 買ったっけ?その前に[The Mighty Boosh] だったかも?
 待て待て、慌てるな、こういうときにフットワーク軽く買い物が出来るのが、ネットの良いところだ。ちょっと待っててくれ、iTunes UK!ミュージック・ギフト・カードのショッピングサイトで、ちょっくらポンド買ってくる!
 よしよし、このサイトで、ポンドをしこたま買うのだ…「ただいま、ポンドの取り扱いを停止しております」…?!
 なにぃ?!なんだと、どういうつもりだ!これは陰謀だ!私にディラン様を聞かせまいとする、巨大犯罪組織の仕業に違いない!おのれ、モリアーティ!犯罪界のナポレオンめ!お前なんかバーツの上から突き落としてやる!

 時間切れ。7時。身支度をして仕事へ向かう。
 帰宅してみると、届いていた。ディラン様の新譜、[Tempest]。



 サウンドとしては、ここ十年ほどのディランの踏襲。60年代や70年代のように、いきなりガツンとやられるような強烈さはないが、何度か聞いている内に、だんだん染みこむように好きになってくる感じ。

 特に良かったのは、冒頭の "Duquense Whistle"。軽快で良い。
 短い曲だけど、"Long and Wasted Yeards"。リフの下降音階がウィルベリーズっぽい。今のところ、一番好きな曲かも知れない。
 ややロック寄りの "Pay in Blood" も良い。間奏で、一瞬だけ転調するところが格好良い。
 ブルースっぽい曲が続く中、"Tempest" はフィドルなどもフィーチャーされて、アイリッシュの民謡っぽい。そしてそれが13分も続く!このあたりはいかにもディラン様。

 最後は、すでにかなり話題になっていた、ジョン・レノンを歌った、"Roll on John" 。かなり具体的な表現でジョンのことを歌っている。彼のゆかりの地名や、彼のバンド名、曲名など。
 ディランというと、あれで意外とジョンとのつながりって具体性のある話がそれほど伝わっていないのだけど(むしろ、ジョージとの友情の方が有名)、やはりジョンには深い思い入れがあるようだ。歌詞は、泣ける。

I pray the lord my soul to keep
In the forest of the night
Cover him over and let him sleep
Shine your light, move it on, you burn so bright, roll on John

海軍兵学校,リチャード三世,フッド2012/09/16 21:47

 歴史の話を三つ。

 今、日本経済新聞に連載されている「私の履歴書」は、新日本製鐵の名誉会長,今井敬さんだ。
 これによると、今井さんは昭和20年、海軍兵学校最後の入校である第78期生であるとのこと。この時、試験の志望者は20000人あまり、合格者は約4000人だった。 ― これを読んだ私は、ぶっ飛んでしまった。これは何かの間違いではないだろうか?
 明治海軍の少佐だった曾祖父の経歴を調べる上で、当然海軍兵学校は登場する。明治25年入校の第23期生は、応募数574名、合格者は曾祖父を含めて20名だった。確かに、この年の入学者は少ない。その周辺の年次で言えば、有名な秋山真之の第17期は88名だし、曾祖父の後数年も、せいぜい30人から、50人程度だ。
 明治と昭和では状況が隔絶しているとはいえ、いくらなんでも、将官候補生が4000人はおかしい。私は本気でこの記述は誤りだと思った。
 そこで確認したのだが ― 恐ろしいことに、本当に第78期生は4048人だったのだ。昭和16年入校の70期生が300人強で、その後は1000人,2000人と膨らんでゆき、最後は4000人…
 言葉では言い尽くせない、どうしようもない気分。本当に、戦争なんてするもんじゃない。

 イングランドからのニュース。レスター市の駐車場で、15世紀の国王リチャード三世の可能性のある人骨が、発掘されたのこと。カナダ在住の遠い血縁(リチャードの姉の女系子孫)と、DNA比較を行うそうだ。
 リチャード三世は、1485年、ボスワースの戦いでリッチモンド伯爵ヘンリー・テューダー(ヘンリー七世)との戦いで敗死。グレイ・フライヤーズ・アベイに葬られたが、後の宗教改革でアベイが破壊されたため、墓が無いとされていた。今回、レスター大学の主導で発掘された現場は、そのアベイの跡地とのこと。

 リチャード三世は、シェイクスピアの戯曲などで、容姿醜悪、残忍で冷酷、幼いプリンスたち(甥)を殺害して王位についた悪の権化、悪人王として知られている。シェイクスピアがそのように作りあげたわけではなく、彼が参照した二次資料や、テューダー朝の当時、一般に信じられていたリチャード像から、戯曲を作りあげた。シェイクスピアの悪人リチャードは、これはこれで非常に魅力的ではある。
 一方、ジョセフィン・ティの小説「時の娘」にもなっているとおり、リチャードの実像はそうではない、彼の名誉は回復されるべきである ― という立場を取る人も多い。テイは、プリンスたちを殺害したのはリチャードではないとしているし、彼は決して、容姿醜悪でもなければ、悪の権化でななかったとする。要するに、彼は論争の的なのだ。

 ちなみに私は、シェイクスピアの作品も好きだが、同時にジョセフィン・テイの側 ― つまり、リチャード擁護派である。リカーディアンとまでは行かないが。

 YouTubeには、レスター大学の記者会見の模様があがっている。居並ぶレスター大学の先生二人が、揃って「リチャード」だ。



 同時に女性の遺体も発見されたようで、「こちらはリチャード三世ではないと思います。」ええ、そうでしょうね。私個人としては、遺骨がリチャードであってほしいような、ほしくないような、複雑な気分がする。
 リチャード三世については、秋津羽さんによる、素晴らしいサイトがある。私も毎日チェックしている。このリチャードでの盛り上がりついでに、歴史好きにはぜひご覧いただきたい。
白い猪亭 真実のリチャードを探して White Boar - Looking for Real Richard -

 本当は、南北戦争の記事でケネソー山・ピーチツリー川のことを書こうと思っていた。そんなところで、歴史のネタが重なったので、次に回す。
 ケネソー山,ピーチツリー川となると、南軍の将軍ジョン・ベル・フッドが登場する。実年齢の割には、ひどく年寄りだと思われがちなこの人物。1830年生まれなので、ジェブ・スチュアートとは三歳しか離れていないし、アトランタ方面戦役の1864年も、まだ34歳でしかなかった。
 このフッドが登場する映画として、トミー・リー・ジョーンズ(宇宙人ではない)主演の、"In The Electric Mist" という作品がある。薬物を盛られた主人公が見る夢に、フッドが登場するのだが、それを演じるのが、あのリヴォン・ヘルムなのだ。

In The Electric Mist

 2008年の映画なので、リヴォンは68歳。実際のフッドが南北戦争に参加したのは三十代前半で、戦後は軍人をやめ、49歳で死去している。よほど実年齢と軍人としてのイメージ年齢がかけ離れた人らしい。

それゆけ、タックスマン!2012/09/19 21:27

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの公式HPでは、今日からこの夏の北米,欧州ツアーの様子を動画で紹介する企画が始まった模様。もっとも、TP&HBのバンドそのものというよりは、会場や観客の様子がメインのようだが、それでも楽しみ。
 まずは、6月22日のワイト島フェスティバルから。

 WHAT S SUMMER ! - VOL.1 - THE ISLE OF WIGHT FESTIVAL

 うわぁ、やっぱり野外フェスは…無理!…!あんなどろどろのところ、絶対に無理!しかも凄まじい人の数…。やっぱりライブは、ちゃんとした箱で見たい。
さらに、RAHや、ゲストの様子なども出てきてくれると嬉しい。

 日本語のニュース記事にもなっているが、Celebrity NetWorth という、セレブ関係のニュースサイトが、「世界で一番リッチなリード・シンガー 84人」なるものを発表した。

The Richest Lead Singers in the World

 1位は、当然ポール。推定資産、8億ドル…約640億円なり。まぁ…ポールだから。別に驚かない。ポールだし。そこはポールでしょ。2位のボノだって6億ドルなのだから。…いや、ボノの6億に驚くべきなのか。
 その後は、エルトン・ジョンや、ミックなど、予想のつくひとが並ぶ。ミックやエルトンはもっと金額が高くても良さそうだが、ソングライティングは共作になっているせいだろうか。その点、ポールだって大多数の代表曲は共作曲。やはりビートルズは凄い。

 トムさんは、意外に低く、7600万ドル。約60億円強で、39位。これだってご立派なものだが、彼より上の名前を見ると、トムさんの位置と金額が意外なのだ。
 他の面々がどのような環境なのかについては詳しくないが、トムさん一人について考えるとしたら、まず代表的なヒット曲の多くが、マイクとの(曲によってはジェフ・リン)共作というところがあるかも知れない。
 それから、ツアー収益が意外に多くないとも考えられる。ライブツアーというのは、かなり稼げるらしい。クラプトンなどは、大規模なツアーの影響が大きいのではないだろうか。
 ハートブレイカーズの場合、あのクラスのトップ・バンドにしてはチケットはやや安めだし、ツアーは二年か三年に一度。全米50カ所、数万人規模の箱をSold Outにする実力はあるのだから、もっとチケットを高くして、年がら年中ツアーをしていれば、もっと上に食い込みそうだ。
 さらに、これが意外に真実かも知れないが…リードシンガーのフロント・マンの割に、取り分はあまり多くない…と言うか、バンドメンバーへの配分が多いのではないだろうか。どうもハートブレイカーズのちょっとゆるい最近の雰囲気を見ると、そんな気がする。ファンとしては、それなら歓迎だ。

 さらに意外だったのが、ディラン様の順位。35位、8000万ドル。そんなものだろうか。曲はほとんど一人で作っているし、年がら年中ツアーしているし、ハートブレイカーズのようなバンドの一員でもないのに、そんなものだろうか?
 ライブのチケットだって、先年の日本公演ではなかなか気合いの入った金額だったと思うのだが。あまり大きな会場を使わないところも影響しているのだろうか。
 新譜の売り上げなどは…どうなのだろう。私は当然のように買うので良く分からない。

 ともあれ、しょせんは大金持ち同士、高次元でのどんぐりの背比べである。これくらい金持ちだと、60億だろうが、640億だろうが、あまり変わらないのかも知れない。

 ついでに、「世界で一番リッチなドラマー 31人」というのもある。

The 30 Richest Drummers in the World

 リンゴー!リンゴなんだ!それはちょっと予想していなかった!うわぁ、ビートルズって…怖い…。続くは、フィル・コリンズ,デイヴ・グロール,チャーリー・ワッツ。なるほど。
 最後の31人目は、ミック・フリートウッドだった。850万ドル。なんだか可愛い金額に思えてきた。

 おセレブミュージシャンには、これからもどんどん稼ぎ、さらに仕事のやる気をかき立てられ、良い作品を作り、じゃんじゃん納税していただきたい。

緊急!この曲は何?!(マーティンからの出題だ!)+解決した!2012/09/22 21:49

9月23日追記

 本件、コメントをいただき、解決しました!BBCにしてやられました…。回っている盤と、音が別だったとは!詳しくはコメント欄をご覧下さいませ♪
 正解は、ジャズ・フルート奏者,ハービー・マンによる、"Comin' home baby" でした。

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 緊急 ―  というのは、嘘。ここ数ヶ月、悩んでいるはなし。

 英国の俳優マーティン・フリーマンがモータウン・ファンであることがきっかけになって、私も最近モータウンを聴き始めたというのは、何度か記事にしたとおり。
 こっちにはまるっきり知識がないので、人が勧めるものを素直に入手して聞くことにしている。そこで、当然マーティンがお勧めしている ― そして、彼が聞いているモータウンも、参考にしている。

 そこで、音楽に詳しい皆さんにお尋ねします。
 この動画の冒頭で、マーティンがかけるレコードの曲は、ズバリ誰の、何?!



 このほんの数秒のイントロのみ!
 目を皿のようにしてラベルを見極めようとするのだが、分かるのは黄色の ― つまり、モータウン(タムラ?)であること。それ以外は謎。歌い出しもないので、歌手も不明。
 マーティンが好きそうなアーチストのアルバムの一曲目をいくつか確認したのだが、分からない。モータウンは、コンピレーションやら、ベストやらが多く、必ずしもオリジナル・アルバムの冒頭とは限らない。

 さぁ!この曲にピンときたら110番…もとい、NI ぶちへお知らせを!当記事にコメントを下さっても良いし、Cool Dry Place のトップにある、メルアドにメールを下さっても、構いません。ぜひとも、教えて下さい!
 こういうのって、分かる人は何の苦も無く、すぐ分かるんだろうなぁ…

 このマーティン・フリーマンの動画は、BBCが制作した、[Who do you think you are] という番組で、数人の有名人が、自分のルーツを探るという趣向。
 マーティンの場合、第二次世界大戦中に亡くなった、自分の祖父について調査するために、国防省に問い合わせたり、直接出向いたりしている。曾祖父の経歴を調べるために、防衛省に出向いた私と同じ事をしているので、笑ってしまった。
 この番組、いろいろ面白い。マーティンの私服がすごくオシャレだったり、兄弟の名前がベネディクトやティムだったり、お母さんがマーティンの生き写しだったり、家で使っているマグカップが、ドラマの現場で使っていたものだったり…

 日本時間月曜日の朝、アメリカではエミー賞の授賞式。マーティンが出演していた例のドラマも、べらぼうな数の部門でノミネートされている。
 スコセッシ監督のジョージ映画も、四部門でノミネートされているので、注目だ。

Jeff Lynne / Mercy Mercy2012/09/25 21:01

 明日は、ジェフ・リン久々のアルバム、[Long Wave] の発売日。
 これを前に、オフィシャルのミュージック・ビデオ [Mercy Mercy] が発表され、すでに話題沸騰だ。



 この、ポールが "Coming Up" のビデオで披露した、「全員、わたしがやらせていただきます」というビデオの手法、時々見かける。ポール以前にも誰かやっているのだろうか。
 さすがに、ポールのように、器用なキャラ分けはしていないが、面白い。最初にジェフが登場して、「やぁ、ジェフ」「よう、ジェフ…」とやるところは、モンティ・パイソンの「ブルース」にそっくりで笑ってしまった…。(なぜかオーストラリアの大学の哲学の先生は全員ブルースで、新入りのマイケルも「まぎらわしいから」という理由で、ブルースにしてしまう。なぜかホモ禁止。)

 ドラムの隣りには、ウィルベリーズ・グレッチが置いてあるが、やはり一番の注目は、エレキ・ジェフが抱えている、青くて格好良いギター、マイク・キャンベルモデルの、デューセンバーグだろう。
 このギターが出たのは、確か2008年スーパーボウルの少し前だったと思う。発表から大して時間も経たないうちに、目にしたのがこちらの写真。



 お買い上げ(?)ありがとうございます。
 この格好良いギター、私も欲しい!あまり大きな楽器には見えないのだが…。
 ギター大好き男子達にも大人気のモデル。有名どころでは、こんな人も。パール・ジャムのエディ・ヴェダー。彼はTP&HBの大ファンだ。



 ジョー・ウォルシュも、ソロ・アルバム発売の時に発表されたインタビュー内で、最近お気に入りのギターとして、デューセンバーグのマイク・キャンベル・モデルを上げていた。彼がこのギターを抱えている写真を探していたのだがない。
 そうこうしているうちに、YouTubeで見つけた動画。マイク・キャンベル・モデルではないが、おなじくデューセンバーグのギターを使っている。ヘッドの、"D" マークが目印。
 そして共演者は…そう、みんなのお友達!

Ain't No Mountain High Enough2012/09/28 21:49

 そろそろ、カテゴリーに "Motowon" を設けようかどうしようか、迷っている。今はモータウンに熱を上げているから良いが、すぐに飽きてしまったらどうしよう。変なところで小心者だったりする。

 最近、目にする国際ロジスティックス会社DHLテレビ・コマーシャルでは、モータウンの名曲 "Ain't No Mountain High Enough" のカバーバーションが使われている。



 こういう映像を見ると、ニューヨークに行きたくなる。
 ちなみに、DHLとは、創業者であるドイツ人三名の頭文字だそうだ。そのうちの一名は、飛行機事故で亡くなっているとのこと。皮肉だ。
 DHLにはお世話になった。ロンドンのフォートゥナム&メイソンで大量の紅茶を買い込み、DHLで郵送したのだが、私が帰国して自宅に到着すると、同時に黄色いトラックも到着していた。実は前日にも来ていたらしく、不在票があった。「差出人:Piccadilly様」になっていた。それは、差出人ではなくて、住所ですよ。

 "Ain't No Moundain High Enough" のオリジナルは、もちろん1967年、マーヴィン・ゲイと、タミー・テレルのデュエット。



 モータウンはロックと違って、ベスト版ばかりでオリジナル・アルバムが手に入りにくい…と、そこが不満なのだが、さすがにマーヴィンは別格で、タミーとのデュエット・アルバムも三枚組+ボーナストラックの豪華版で手に入った。このデュエットがマーヴィンの醍醐味かどうかは分からないが、とても良いと思う。

 これほどの名曲となると、カバーも多いのだが、私の印象に強く残っているのは、映画「永遠のモータウン Standing in the Shadow mo Motown」での、モンテル・ジョーダンと、チャカ・カーン。最後のコーラスも格好良い。
 この動画は、最後が切れているのが残念。この後の "Dancing in the street" もまた素晴らしい。



 変わったところでは、映画「天使にラブソングを2 Sistre Act2」のエンディング。高校生達と、ブラザー・シスター、そしてもちろんウーピー・ゴールドバーグのカバー。