4月1日2010/04/01 20:12

 私は、トラベリング・ウィルベリーズ再結成に参加することになった。名前は勝手にヘッジ・ウィルベリーにされてしまった。生垣…?ハリネズミ(hedge-hog)の方だろうか?

 そもそも、どうして私が選ばれたのか。
 どうやら、ディランが日本公演で私に目をつけたとのこと。平均身長の低い日本人群衆の中で、完全に埋没している私をステージから見て、こいつをウィルベリーズに入れれば、身長で自分が勝るではないかと思ったらしい。そういう比較で良いのか。
 
 とにかく、私は有無を言わさずウィルベリーズに徴集された。

 ウィルベリーの義務として、変な派手柄のスニーカーを支給される。履きたくないが、ディランも無言で履いているので拒否できない。どうやら、第3期ウィルベリーズは、ディランがリーダーらしい。
 (比較的)年が近いので、とりあえずトムに接近して、私は何をすれば良いのかと尋ねると、冷蔵庫を磨いてくれと言われた。磨いて叩けば良い音がするらしい。トムはそのあと、ディランとアメリカ人にしかわからない謎の言語で話し込んでしまったので、意思疎通ができないでいる。
 ジェフに目を転じると、バーミンガム訛りがひどすぎて、これまた意思疎通ができない。しかも、段差に躓いて転んだらしく、サングラスを破損して目を回している。どうしよう。

 困っていると、ウィルベリーズのローディでもあるバグズが、助け舟を出してくれた。「とりあえず、写真でも撮ってよ」と、巨大なポラロイドカメラを渡された。これ、80年代のシロモノでしょ。使えるの?
 仕方がないので、自前のデジカメを取り出したら、突然マイクが出現して(どうやらウィルベリーズに入る気満々らしい)、カメラをしげしげと眺める。カメラがあまりにも気に入ったようなので貸したら、ペットのミニブタの写真を600枚も撮ってきた。

 そういえば、庭の植え込みにさっきから眼鏡の太ったおじさんが隠れている。あれって、エリック・クラプトンじゃないかなぁ。
 案の定、不審者が居ると通報されて、警官が来た。ディランが警官に、「ウィルベリーズに入らないか」と声をかけている。これって、街頭で「自衛隊に入りませんか?」みたいなものだろうか。
 そのうち、ウィルベリーズが東京スカパラ以上の大編成になりそうだ。

Bob Dylan × チロルチョコ2010/04/03 23:40



   今回のボブ・ディラン日本ツアーで、私が珍しくグッズ売り場に並んで購入したもの。それは「Bob Dylan × チロルチョコ」。
 ディランのアルバム、50タイトルをパッケージにデザインしたチロルチョコセットである。ソニーがディラン側に制作許可をもらい、箱の裏面にはディランのロゴも入れることができたそうだ。
 CDケースっぽいプラスチックケース二つに分かれて詰まっている姿は、なかなか良くできている。こういう物は、いかにも日本人がうまく作りそう。

 さらに凝っていることに、パッケージの側面の三方に、デザインされているアルバム収録曲から、歌詞の一部がプリントされている。せっかくなので、これらの歌詞がどの曲なのかを確認し、リストにした。Cool Dry Placeに、ここに載せた以外の写真とともにアップしたので、興味がある方は参照してほしい。
 ネットの検索機能で簡単に曲が分かるケースがほとんどだったが、残念ながら [The Bootleg Series Vol. 1-3] と、[Live 1966] の二作品が、どの曲の歌詞なのかが分からなかった。もしかしたら、歌詞ではないのかもしれない。さらに検索すれば分かるのかもしれないが。わかった方がいらしたら、教えて下さい。



 良くできているので、なかなか食べられないでいる。問題は、このチョコレートを食べた後の包み紙をどうするかということ。捨てるのはもったいないが、取っておいた所でどうすれば良いのやら。手先の器用な人ならきれいに保存するのだろうが、私にはそういう技量がない。
 今回のこの企画、ディランのアルバムタイトルが、ライブやコンピレーションなどを合わせた数が50であるというこのタイミングが、重要と思われる。
 一緒に買ったMayuさんと指折り数えてみたところ、TP&HBは [Mojo] を入れればちょうど25タイトルになった。これなら、箱一つ分のセットができるではないか(この場合、TPのソロ作品は当然含む)。やってくれたら、10セットくらい買うんだけどな。

The Pirate Song2010/04/06 23:03

 最近、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズが、集中的にテレビで放映されている。
 基本的にこの手の映画にはあまり興味がないが、シリーズ三作目にはキース・リチャーズがゲスト出演しているはずだ。吹き替えで日本語を話すキースは見たいので、週末にテレビをつけてみた。
 前作がどうだかは知らないが、このシリーズ三作目、びっくりするほと面白くない。とにかく構成が崩壊しているし、脚本も瓦解している。あまりにもグダグダとまとまらずに流れすぎて、いったい何の話をしたいのか分からない映画になっている。それでも、私は耐えた。キースのためだ。キースの出番が終わったら、即刻テレビを消そうと心に決めて、私は耐えた。「ポストマン」のトムさんだって、さんざん耐えた後にしか出てこないじゃないか。
 話の流れとしては、海賊たちの会議が招集されるから、そこにキースが現れるに違いない。私はあまりの退屈さに意識を失いそうになりながらも、その場面を待った。そして、そろそろ「会議」という事になりそうだ思ったら…!

 「この続きは次週!お楽しみに!」

 次週、私にその気力が残っているだろうか?とにかく、YouTubeで見れば良いとか、そういう問題ではない。
 ショックのあまり、ジョージに癒しを求める。

 エリック・アイドルが、パイソンのテレビシリーズ後に、ニール・イネスと組んで制作したBBCの「ラットランド・ウィークエンド・テレビジョン」。この番組からあの「ラトルズ」が誕生するのだから、なかなか侮れない。そろそろDVD化してほしい。
 この番組に、エリックの親友ジョージが出演している。



 "My Sweet Lord" が始まるのかと思いきや、なぜか「海賊になりたいな、BBCにも出演したいな♪」などと変な歌を歌いだすジョージ。金ピカ衣装が異様に似合うエリックが苦情を言いに来るが、結局ジョージのペースに飲まれて、そのまま大団円。足を上げて踊っているエリックのスタイルの良さが、現在と違いすぎて悲しくなる。
 パイソンでも海賊のネタは多いし、「宝島」のジョン・シルバーもおなじみのキャラクターだ。英米文化における海賊の存在は、日本における忍者みたいなものだろうか?

Boys on the Side2010/04/09 23:44

 ウィルベリーズ・ファンであれば、"You Got It" という曲は「準ウィルベリー楽曲」と言えるだろう。
 ロイ・オービソン最後のアルバム、[Mystery Girl] に収録されているこの名曲は、ジェフ・リン,ロイ・オービソン,トム・ペティの共作。この三人がそろって楽しく曲作りをする風景は、心温まるものがある。

 無論、ロイのオリジナルは最高なのだが、そのカバーである、ボニー・レイット版の "You Got It" も捨てがたい。歌声もサウンドも良い。ミュージック・ビデオで、一瞬(いや、一瞬が二回)映るベンモント・テンチを探すのも楽しみだ。
 そもそもレイット・バージョンの "You Got It" は、映画 [Boys on the Side] のサントラとして録音された。したがって、このビデオにも映画のシーンや、主演の女優三人が登場する。



 私は急に、この『ボーイズ・オン・ザ・サイド』という映画が見たくなった。ミュージックビデオの断片を見る限りは、「パイレーツ・オブ・カリビアンIII」のような、収拾のつかない脚本ではなかろう(どうも後遺症が…)。
 主題は、女の友情であるところは、予想がついていた。そして映画紹介には、「ロード・ムービー」とある。

 さて。実際に鑑賞してみると。
 確かに、主題は「女の友情」。さらに、もう一つの感情がプラスα。そして、ロード・ムービーであるのは途中までで、結局は「生と死」という、ありがちだが究極の主題だった。要するに、泣ける映画。
 かと言って、「一番好きな映画」になるほどではないし、誰にでもお勧めしたくなるような物でもない。しかし、見て良かったという結論には達することができる。世間一般的に、映画が供給するのは夢や希望であるのと同時に、人生はつらく、思い通りには行かず、悲しみと縁が切れず、妥協と自己嫌悪がつきまとう ― そういう面でもある。別に後者の方が好きというわけではないが、この『ボーイズ・オン・ザ・サイド』という映画は、そういう面を見据えた作品だった。
 かと言って、『デッドマン・ウォーキング』のように、「良い映画だけど二度と見たくない」などと思わせるほどの暗い映画ではなく、そこはやはりウーピー・ゴールドバーグを使った時点で「勝って」いる。

 ネタばれはどうかと思うのであまり詳しくは書かないが、音楽的には非常にお勧め。やはり、"You Got It" が良い。映画では、ウーピー版が聴ける。そして泣ける。歌詞の良さが際立つようなところで歌われる。
 この映画で、 "You Got It" は女の友情の主題歌だった。そういえば、オリジナルも男の友情の産物だ。それを思うと、この曲のめぐりあわせは、当然の帰結という気がしてくる。

楽屋でお茶を2010/04/12 23:30

 Cool Dry Placeにカントムこと、"Conversations with Tom Petty" のうち、パート1の最終章、"joe"をアップした。
 まったく、ポメラというのは優れ物で、重宝している。ヒットしたため、ディスプレイが少し大きなアップグレード・バージョンや、お手軽バージョンなどもでているらしい。ポメラ愛用者のことを、「ポメラー」とか「ポメラニアン」とか言うらしいが、私は前者の方が好きだ。

 今回は、いくつかの論争をはらむような話題をもたらしたアルバム、[The Last DJ] のころの話。トム自身はそれほど重大なことを発言したつもりはない…とは言っているものの、「ボブ・ディランに褒められた♪」と嬉々としているのを見ると、どうも鵜呑みにはできない。
 ラジオを取り巻く現状に関して話題に上った「クリア・チャンネル」というのは、アメリカの多数のラジオ局を束ねる巨大メディアだそうだ。数年前のディクシー・チックスの騒動や、911後の放送自粛(禁止?)曲目リストの存在などが、記憶に新しい。

 最近の話題なので、ちょっと油断するとまたノロケが始まりそうな臭いがして、女子ファンとしては油断できない。しかし、ポール・ゾロがライブ,ツアーの裏側を質問してくれたので、助かった。
 本番前はものすごく緊張して、独りになる必要のあるトムさんが可愛い。ハーブ・ティーなんて飲んじゃって。どうも喫煙とは矛盾する行動に思えるのだが…
 ツアー中は、規則正しい生活を送っている模様。3時からサウンドチェックとは、良い事を知った。アンコールが常に1回切りなのは、次の移動もあるかららしい。アンコールにおまけで応えてもらえないのはさみしい反面、きちんと割り切って、規則正しい進行を心がけることによって、年を取ってからも、長いツアーを続けることを可能にしていると思うと、納得できる。ディランの省エネ・パフォーマンスを見ると、なおさらそう思う。
 延々と即興を続ける似非オールマン・ブラザーズが嫌いだと断言するこのバンドの人が言うと、「アンコールは1回、その時に一番盛り上がる」というのも、実に説得力がある。私もその場しのぎの盛り上がりとか、引き伸ばしはあまり好きな方ではないので、TP&HBの方針には賛成。
 一方、マイクがけっこうセットリストに口をはさむ事に関して、トムとマイクの発言が完全一致していておかしかった。結局は歌う当人が決めるというのも納得の行く話で、何よりもトムさんが歌う、その音楽が大好きなマイクも、OKなのだろう。

 英語に関しては、今更ながら私は専門家ではないので、いろいろ困っている。「ハマグリ(clam)みたいにハッピー」って、どんな表現だろう?そういえば、ジョージは "Mystical One" で、「柳の木みたいにゴキゲン」と歌っていた。
 自分で好きな曲を流すラジオ番組の楽しみについては、よく聞くけど普通の辞書には載っていない言葉 "guilty pleasure" を使っている。今回は「うしろめたい」と訳したが、「褒められたもんじゃないけど、自分は好きなもの」とか、「変わり者扱いされるかもしれないけど、好き」とか、「自分にしかわからない喜び」とか、そういう意味だろうか。
 さらに、好きな曲をPCのファイルに入れて、それを「一緒にぶっ続けで流す」という表現で、"segue" という言葉が出てくる。これも、私の電子辞書には載っていなかった。発音をカタカナで表わすと、「セグウェィ」とか、「シーグエ」とか言うらしい。あの「夢の乗り物・セグウェイ」のネーミングも、この言葉からきている。
 もともとはイタリア語の「seguete:次に続く,次の」という言葉で、英語では滑らかに持続する様子を表現するらしい。自前のイタリア語の辞書を見たら(いわゆる「緑色のアレ」)、学生の時に引いたらしき線があった。

 最後に一言。トムさん、せっかく守ってくれるボディガードさんを、「ゴリラ」呼ばわりしちゃだめですよ。いざって時に、助けてもらえませんよ。

戦場はゲティスバーグ2010/04/15 21:34

 歴史と言う物は、後の世になって眺めれば、起きた出来事は起こるべくして起こり、その場所も必然的にそこに定まったように見える。出来事の結果も、条件や環境が導く、必然として実を結ぶ。だから私はいわゆる「陰謀説」のようなものは信じないし(本能寺の変は、誰かが光秀を操った結果だなんてまったく思わない)、歴史における大まかな運命を信じることにしている。
 細かな所が多少違っていても、歴史はなるようになる。たとえジャンヌ・ダルクが登場しなくても、百年戦争はフランスの勝利で終わっただろうし、1957年7月6日にジョンとポールが出会わず、ビートルズが結成されなくても、同じような誰かがビートルズと同じような役割を果たしただろう。

 前置きが長くなった。とにかく、1863年7月1日、ペンシルベニア州ゲティスバーグで、それまで距離を取りながら北上していた南北両軍の戦闘が始まった。
 これは歴史の必然であり、ゲティスバーグはその戦いの地として相応しい場所なのだが、南軍のリーにとっては、やや意外だったかもしれない。もし、北軍の東側をぐるりと回っているスチュアートの騎兵が、もっと早くリーの本体と接触し、北軍の動きを知らせていたら、リーはゲティスバーグこそ、その地だともっと早く確信しただろう。そして、行軍の動きを速め、いち早く全軍をゲティスバーグに集結していただろう。
 しかし、スチュアートは南北両軍がヴァージニア州を抜けて、ペンシルベニア州に入っても、リーの元へは戻ってきていなかった。現実としては、まずA.P.ヒルの第三軍が先行し、後からロングストリートの第一軍、ユーエルの第二軍は北へ迂回していた。

 一方、北軍ポトマック軍司令官に就任したばかりのミードにしても、やおら張り切って全軍を挙げた一大決戦を展開しようとしていた訳ではない。いつかはリーと遭遇することを予想しつつも、ソロリソロリと軍を北上させていた。
 やがて、北軍の先行部隊だったビュフォードの騎兵が、6月30日の午後に、ゲティスバーグの町で南軍の一部と接触した。物資不足気味の南軍兵士が、靴を求めて来たところだった ― と、言うのが定説である。南軍側は、A.P.ヒル率いる第三軍の先行部隊が、最初にゲティスバーグに到着した。この先行部隊同士は、翌7月1日の早朝から、激しい戦闘を開始した。

 北軍ではビュフォードの後方から、レノルズの歩兵が到着したが、南軍の優勢で戦闘は推移した。後方で報告を受けた南軍のリーは、このゲティスバーグが決戦の地になるのかどうか、まだ判断しかねていた。こういう時、より現場に近い部隊の指揮官の判断力が物を言う。この場合、南軍でその状況に立ったのは、第二軍を率いるのユーエルだった。第二軍は、北の迂回路から、ゲティスバーグに進んでおり、北軍は西から(南軍・ヒルの第三軍)と、北から(南軍・ユーエルの第二軍)の挟みうちに遭った。これによって、リーも全軍に進撃を命令。明確に、ゲティスバーグが決戦場と思い定めたのは、この時だろう。
 北軍は大部分が未だ戦場に到着せず、少将であるレノルズが戦死するほどの大苦戦だった。やがて、ゲティスバーグ南の丘― セメテリー・ヒルまで追いやられたのである。
 7月1日の夕方、ユーエルの第二軍では、さらに攻撃を仕掛けてセメテリー・ヒルを落とすかどうかで、議論があったらしい。リーの指示はない。ただ、大原則として「すべての軍が集結するまで、全面的な戦闘はしない」という指示が生きていた。この時点で、まだロングストリートの第一軍は到着していない。ユーエルは、戦闘停止を決定した。

 このユーエルが直面した7月1日夕方の状況は、はたしてリーが戒める「全面的な戦闘」だったのだろうか?21世紀を生きる私たちにしてみれば、答えは否だろう。北軍のミードがゲティスバーグに到着したのは、夜になってからだった。
 私たちには、「もし南軍第二軍を率いるのがユーエルではなく、ストーンウォール・ジャクソンだったら?」と想像することもできる。彼だった、多少のリスクを覚悟しつつも、自分の判断で(もしくは運命を信じる性質のジャクソンらしい行動として)、セメテリー・ヒルへ攻撃を仕掛けていたかもしれない。
 とにかく、現実はそうはならなかった。北軍は命拾いをした形になる。戦死したレノルズに代わって指揮をとったハンコック少将が夜のうちに、軍の立て直しに成功し、さらに北軍本体が、ゲティスバーグに到着しつつあった。

Throat Coat2010/04/18 22:56

 先月受けた資格試験は、無事に合格した。何せ、本来は去年の12月に受けるはずだったものだ。落ちたらシャレにならない。もっとも、落ちたらウィルベリーズ本のせい…でもあったかもしれない。

 先日翻訳してCool Dry Placeにアップした [Conversations with Tom Petty] の中では、トムのライブ前準備について語られた。
 そこに登場したのが、喉のために飲むハーブティー。トラディショナル・メディシナルズ社の「スロート・コート」…
 かつて、好きなアーチストがインタビューの中で飲んでいたブランドの紅茶を探し、血眼になっている人がいて、「よくやるよ」と半ば呆れつつも感心したことがある。よもや、自分がそのパターンにはまろうとは思わなかった。つまり、この「スロート・コート」を本気で探し始めたのだ。


 これがトムさんが飲んでいる「スロート・コート」。エルム(ニレの木)エキス入り。16袋入り。

 近所の輸入食料品屋で、簡単にその名前を見つけた。ところが、名前のある棚はからっぽ。店員さんによると、売り切れとのこと。その店員さんの様子が、「ああ、これね…」と言う感じ。どうも、日本の人気歌手もやはり愛用していると発言したらしく、同じものを求めるファンと、私も同類とみなされたらしい。いや、確かに同類なのだが…でも、こっちはトムさんでありまして…!

 めぼしい輸入食料品取扱店を数件確認したところで、お目当ての「スロート・コート」が手に入った。1000円弱。通信販売ならもっと安いだろうし、アメリカではメジャーなブランドなので、もっともっと安い。

 

 パッケージを見比べると分かるが、私が入手したものとトムさんが愛飲しているものは、微妙に違う。私が買ったのは、「レモン・エキナシア」入り。エルムエキスは入っていないかもしれない。まぁ、いいや。本物はアメリカで探そう。

 さっそく試飲。そもそも、私はふだんからハーブティーを飲む習慣がない。お茶が好きで、日本茶やミルク・砂糖を入れた紅茶をよく飲むのだが。なんでも、ハーブティを上手飲むには、10~15分蒸らすために蓋つきのマグが必要とのこと。そこで超安物をゲット。
 さて、お味は…あまッ!!これ、甘い!お砂糖も入っていないのに、けっこう甘い!男の人とかは、苦手かも…?匂いは、京都銘菓「(生)八橋」を彷彿とさせる。
 肝心の喉への効果は…良く分からない。何せ喉を使う人ではないので。べつに特に喉に問題があったわけではないし。トムさんと同じ(いや、厳密には同じではないが)お茶を飲むのが目的なので、これで良いのだ。

 ところで、このハーブ。アメリカではほぼ薬扱いされているらしい。「スロート・コート」の場合、以下のような注意がある。

腎臓、もしくは肝臓機能障害、高血圧、心臓病の方は、使用しないでください。
低カリウム血症、ホルモン療法、利尿剤、MAO抑制剤などを摂取されている方は、ご使用になる前に医師にご相談ください。
一日の摂取目安は3~6回。長期連用は控え、6か月以内にとどめること。


 …トムさん、肝臓とか…高血圧とか…大丈夫?ツアーも長丁場だし…。まぁ、若いころはもっとヘンなクスリが身近だったことを思うと、至って健康的なお話だが。

Boosh on DVD2010/04/22 22:08

 日本のTP&HBファン・パーティがマイク・キャンベルへのメール・インタビューに成功し、そのことが米国TP&HB公式サイトでもアナウンスされたり。前記事の写真を見れば、私がTP&HBの新アイテムDVDを入手,鑑賞したことは一目瞭然だったり。書くべきことは色々あるのだが、やはり私の義務として、今日はこの記事を書かねば。

 2010年4月21日、とうとう英国のコメディドラマ、The Mighty Booshの日本盤DVDが、「マイティ・ブーシュ」として発売開始となった。まずは、ファースト・シーズンの、Vol.1 と、Vol.2。当ブログでは、2010年1月6日と、2010年1月18日に取り上げた。
 フジテレビNEXTで放映された時も感動したが、HMVにブーシュのDVDがずらっと並べられているのを見たら、感激のあまり、泣きそうになった…。本当に、この日が来たんだなと思うと、不思議な気持ちすらする。



 ブリティッシュ・コメディ好きなら、必見のホットなアイテム。そして音楽ファンにもとっても見どころ満載なので、お勧め。
 来月にはシーズン2の発売が予定されている。いずれ、シーズン3も出るのだろうか。目下、本国では映画制作が進んでいる。クリエイターがストーンズの大ファンであるため、「ミック・ジャガーに出てほしい!」などとコメントしている。ジョニー・デップとの、ミックをめぐる争奪戦となりそうだ。

 音楽ファンのために、短いけど大好きなネタのシーンを投下!
 シーズン1、第7話「エレクトロ」のワンシーンから。動物園に来た女の子と意気投合してバンドを始めることにしたヴィンス(ノエル・フィールデイング)。呆れたハワード(ジュリアン・バラット)は、ヴィンスが以前、友人のリロイと結成して失敗したバンドの話を持ち出しすのだが、そのバンドと言うが…!



アヤシゲ翻訳
ハワード:信じられん。お前が?
ヴィンス:そう。
ハワード:お前なんて、俺が知る限り一番音楽的センスがない奴だぞ。
ヴィンス:かもね。音楽の問題じゃない。俺のこのルックスが大事なんだよ。
ハワード:用心しろよ。
ヴィンス:なんで?
ハワード:この前の事があるだろう。お前がリロイとやるってバンドで大騒ぎしてさ。
ヴィンス:うん。
ハワード:そう、「グラム・フォーク」バンドとか言って。
ヴィンス:うん…ちょっと新しすぎて、誰もついて来れなかったんだな。グラムロックとフォークの融合にさ。
ハワード:誰があんなものについて行くか。

(画面、切り替わって、サイモン&ガーファンクルの“Scarborough Fair”を歌う、キッスのようなメイクと頭髪の二人組が登場。)
ヴィンス&リロイ:♪スカボローの市場に行くのかい パセリにセージ、ローズマリーにタイム 
            彼女は僕のことを覚えていてくれるだろうか 彼女は僕が心から愛した人だった♪
ヴィンス:野郎ども!俺らのイカしたプレイを聞きやがれー!


 あまりにも単純にアホ過ぎる。それが良い。
 グラム・フォークの二人が着ているのは、アラン・セーター。クランシー・ブラザーズがよく着ていた。
 ギターのリロイを演じているのは、ブーシュ・ボーイズ(クリエイター二人,ジュリアンとノエルのことをそう呼ぶ)の友人、オリー・ラルフェ。彼はブリティッシュ・フォーク・バンドのラルフェ・バンドで活躍している。このラルフェ・バンドというのもかなり良いので、いつかこのブログにも記事を書くだろう。

チャイコフスキーの生涯2010/04/25 22:08

 コメディ記事続き。
 ブーシュが並んだ店の棚には、関連作品として、ブリティッシュ・コメディが並んでおり、その中でもやはりモンティ・パイソンは外せない存在になっている。
 パイソンと音楽と言うネタはいくらでもあるが、私が好きなのは「チャイコフスキーの生涯」と言うドキュメンタリー。このドキュメンタリーは、「明るい農村」という番組の特集トピックという謎の扱いを受けており、悲愴をバックに羊がひたすら群れていたりする。
 さらに、映画評論家が間違って紛れ込み(ジョン・クリーズ)、チャイコフスキーを大きさでのみ分析し(グレアム・チャップマン)、分解できる人形でチャイコフスキーを語る(テリー・ジョーンズ)。一番まともな解説をしていた奴も、なぜか美容師(マイケル・ペイリン)。パイソンにおいて、美容師は十中八九オカマである。
 一番面白かったコメントは、司会者(エリック・アイドル)の「チャイコフスキー。彼は悩める魂の発露を音楽に求めた偉大なる存在か。もしくは、ただの音楽好きなオカマか。」…チャイコフスキー・ファンが聞いたら卒倒しそうだが、私は大好きだ。確かに、チャイコフスキーには同性愛説がある。
 そして、最後に「世界的に有名なスヴァトスラフ・リヒテルによる、協奏曲第一番の演奏。演奏しながら、三つの南京錠を外し、麻袋から脱出します!」



 最初に見たときは、死ぬほど笑った。あまりのバカバカしさに。
 ちなみに、本物のリヒテルはこちら(1915~1997)。20世紀最大のピアニストの一人で、晩年はヤマハのピアノを愛用したことでも知られている。



 さらに、このスケッチを再現した人が居る。どこかの学校の、ハロウィーンの出し物らしい。なかなかの力作で、これまた結構。


Knockin' on Heaven's Door2010/04/29 22:42

 私には、音楽や映画をレンタルするという習慣がない。そもそも、映画をそれほど見る方でもない。数少ない鑑賞映画は、DVDを購入してということが多い。買ってしまった以上、良い映画であってほしい。その意味で、「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」は大当たりの映画だった。

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア Knockin' on Heaven's Door

 タイトルこそ英語だが、1997年のドイツ映画。監督はトーマス・ヤーン。主演の一人である、ティル・シュヴァイガーは、監督と共同で脚本と、制作を担当している。

 ツッパって無茶ばかりするマーチンと、小市民的でお人好しのルディ。見ず知らずの二人は、それぞれ脳腫瘍と骨肉腫で余命わずかと宣告され、病院の同室に入れられる。やけになって二人でテキーラを飲むうちに、ルディは海を見たことがないと言い出す。すると、マーチンが言う。「今、天国じゃみんなが海の話をするんだぜ。でも、お前は見たことがないからのけものだ。」…
 死ぬ前に一度、海を見るために二人は病院でベンツSL230ベイビー・ブルーを盗み、走り出す。ところがこの車は、とあるギャングの車。さらに二人は、お尋ね者として警察にも追われる身に。こうして、海を目指す男二人と、ギャング、警察の逃走・追跡劇が始まる…

 登場人物二人の名前 ― マーチン・ブレストは映画「ミッドナイト・ラン」の監督から、そしてルディ・ウーリッツァーは、映画「パット・ギャレット&ビリー・ザ・キッド」(ディランが出演,主題歌 "Knockin' on Heaven's door" を提供)の脚本家から、それぞれ名前を取られている。これれらの事実からも、この映画がどんな作品かが、いくらか語れるだろう。
 基本的に、かなり良くできたコメディ。スティック・スラップであり、マヌケな味わいがあり、全てが憎めない素敵なコメディだ。特にマーチンとルディを追うギャングのコンビが面白い。とことん抜けているくせに、腹いせにやたらと銃をぶっ放す。銃と言えば、警察(ポリツァイ!)もすっとぼけていて最高。
 一番似ている映画を探すとすると、「ブルース・ブラザーズ」が良いかもしれない。使われている音楽も格好良いものばかり。「エルヴィス」が重要なファクターになるところが、なかなか上手い。さらにカーアクションも抜かりがない。



 やはり印象的なのは、マーチンとルディの関係。この二人は余命わずかという状況で出会い、それぞれに「海を見る」という以外に定めた「叶えたい望み」 ― 一方は泣ける望みで、もう一方は笑える望み ― を叶えるために大暴走を繰り広げる。
 最初はマーチンが一方的にルディを引っ張っていくのだが、やがて二人の人格はまるで融け合うように重なっていく。次第に露わになっていく、マーチンの弱さ、ルディの強さ、そして二人に共通する優しさが二人を結び、友情なんてありきたりの名前では表現できない絆となっていく。それがコメディで展開していくのだから、悲しいのやら可笑しいのやら。
 私が好きなのは、救急車のシーン。


 なんだかもう、音楽とか、絶妙な間とか、とにかく最高。

 映画の序盤でマーチンが口にした言葉を、ルディが終盤に繰り返すのだが、それもかなりグっと来た。そしてラストシーン。このラストシーンだけでも何度も繰り返して見てしまう。
 映画のタイトルにもなっているディランの "Knockin' on Heaven's Door" は、ゼーリッヒ(Selig)というドイツのバンドがカバーしている。このバンドはいわゆる「グランジ」というジャンルらしく、ルックスを含めて私の好みではない。しかし、この "Knockin' on Heaven's Door" のカバーは最高。特に、リフレインに入る前に、たっぷり5小節取るところがすばらしい。iTunesで一曲買いしたのだが、通常版よりも、映画で使われた長いバージョンが良い。ギターソロが秀逸。

 ともあれ、コメディと、ロードムービーと、格好良い音楽と、男の友情が好きな人にはお勧めの、名作映画。
 私が持っているDVDは、日本語の字幕しかついていないのだが ― 吹き替えも欲しい。それから、ドイツ語の字幕も欲しい。気になるセリフとか、実際にはどう言っているのか興味がある。
 この映画リメイクした日本映画があるそうだ。主演は長瀬智也と、福田麻由子。主人公ををイケメン青年と、美少女にしてしまった時点で、もう駄目なような気がするのだが。イイ歳した男二人がやらかすから、面白いんじゃないか…。