人生への贈り物2010/02/01 22:27

Q:人生で一番エキサイティングな経験は?
A:ジョージ・ハリスンのコンサートで一緒にプレイしたあの晩。

 1950年2月1日生まれ、マイク・キャンベルお誕生日おめでとう!還暦だね!これからもよろしく!

 事あるごとに「ジョージ大好き病」を発露するマイクにとって、1992年4月、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでジョージのコンサートにギタリストとして参加した経験は、人生へのプレゼントの如き大事件だっただろう。
 ジョージのコンサートで、ずっとジョージの隣で、ジョージと一緒に、ジョージの曲をプレイする!さすがにこればかりは、トムでさえ経験していない。本当に、本当に良かったね、マイク。あの時の事を思うと、祝福の気持ちで胸がいっぱいになる。

 ジョージが公衆面の面前で、彼自身のライブとしてプレイした最後でもあるのだが、急遽決まったライブだったらしく、公式な映像や写真があまりない。それだけに、あの晩のことをマイクにゆっくり尋ねてみたい。同じ、ジョージを愛するファンとして。

 写真その1.リハーサル風景

  

 おーい、マイクー…寝起きですか?!まぁ、マイクってけっこう「寝起き」印象がある人だからね(え、私だけ?)。Tシャツは、ボブ・マーリーかな。

 写真その2.本番写真

  

 ジョージは、ロイ・ブキャナン♪マイクは、レノン系のリッケンバッカーだよね。ジャケットは、この時期のマイクにとっての勝負服!"I Won't Back Down" のビデオと同じに見える。

 動画の中では、これなんて、なかなかよく録れている。
 マイク!ジョージに近寄り過ぎ!(トムさんの時はもっと距離取ってるでしょッ!)真後ろに陣取るもんだから、姿が見えないよ。落ち着かないし。ウロウロウロウロ…ニコニコし過ぎ!ジョージをガン見し過ぎ!確か、"Old Brown Shoe" の映像なんかもあると思うけど、それも最初から最後までニコニコニコニコニコニコニコ…

 本当に人生最高の一瞬だったんだよね。おめでとう、マイク。人生への最大のプレゼントの一つが間違いなくこの夜。人間、これほどの経験が一生に一度でもできれば十分かもしれない。

Mighty Quinn2010/02/04 23:52

 今度こそ、オードリーに妨害されることなく、クラウス・フォアマンのドキュメンタリーを見ることができた。

 そもそも、クラウスという素材が良いのだろう。とても良くできた作品だと思った。オリジナルを少しカットしていたらしいが、多少ダレたところも無きにしもあらずだったので、構わないような気がする。
 クラウスが育った家が紹介されたとき、どうやら裕福だったらしい彼の家族との思い出のバックに、ショパンの「幻想即興曲」が流れていたのが、印象的だった。この曲を聞いたのは久しぶりだ。

 どうしても印象に残ってしまうのは、クラウスのジョージに対する愛情の強さだった。ジョージの友人は、誰もが「自分の一番の親友はジョージ」と言うので、クラウスが特別だというわけではない。とにかく、ジョージという人物を映す媒体として、クラウスは滑らかで、美しい像を結ぶ鏡であることは、確かなようだ。クラウス自身のイラストのなかに、「このベースは、ジョージからのプレゼント」とあるのが、いろいろな意味で「らしい」という感じ。
 クラウスという人の厭味の無さは、その実力の確かさ故だろう。「ビートルズ関係者」の中には、あのFABに関係したというだけで、自分も音楽的才能に恵まれていると、変な思い込みをしている人もいる。それをありがたがる、奇妙な聴衆を私は理解できない。ともあれ、クラウスはその点まず優秀な画家であり、デザイナーでなので強い。それでいて、ベーシストとしての実力も、セッションマンとして請われるほどなのだから、推して知るべしである。その上で、ミュージシャンとしては決して浮かれないところが、クラウスのカッコ良いところだろう。
 実際、彼はカッコ良い。控え目なようで、意志が強く、独特なたたずまいをしている。

 番組の中で一番驚いたのは、マンフレッド・マンのくだりだ。無論、この驚きは私の無知に起因している。
 マンフレッド・マンについては、ほぼ何も知らなかった。せいぜい、「クラウスが所属していたバンド」程度である。どういうわけだか、70年代のバンドだと勘違いもしていた。
 そのマンフレッド・マンのヒット曲が、"Mighty Quinn" であることを、初めて知ってしまった。同時に仰天した。私にとってのこの曲は、ディラン以外の、何物でもなかったのである。

 ディランがザ・バンドとともに演奏する"The Mighty Quinn (Quine the Eskimo)" は、私がディランのことが好きになったばかり ― つまり初心者だった時に、最も好きな曲の一つだった。さすがに、オリジナル・アルバム [Self Portrate] で聴いたのではなく、[Greatest Hits Vol. 2] で聴いて、のめりこんでいたのだ。


 言うまでもないが、このジャケット写真の隣には、本来ジョージの姿がある。

 ディランのバージョンが印象的だったので、マンフレッド・マンが "Mighty Quinn" を演奏しているのを見て、とっさに「あの名曲は、絶対にディランが作ったと思い込んでいた!ディランはカバーだったのか!」と早合点してしまった。実際はそうではなく、ディランが作っておきながら当初公式には録音せず、マンフレッド・マンがカバーしたバージョンが先にヒットしたということ。


 クラウスは器用な人で、笛も吹けるらしい。ただし、この映像は口パクだろう。ピッコロの場合、左手だけではDやEは出ない。

 ついでだが、ホリーズもカバーしている。さすがに、コーラス・ワークが美しい。



 ともあれ、突如として私の中でマンフレッド・マンへの興味が盛り上がった。さっそく "Mighty Quinn" の入ったアルバムか、ベスト盤を買おうとHMVに行ってみた。しかし、どうやらその時代アルバムは簡単には手に入らないらしい(ほかの時期のアルバムなら店頭に並んでいるのだが)。
 手ぶらで帰るのもしゃくなので、オードリーのDVDを買って帰ったことは秘密。
 仕方がないので、iTunesで、ベストアルバムを購入した。おそらく、"Mighty Quinn" のヘビーローテーションになるだろう。ディランのソングライティングもさることながら、マンフレッド・マンの演奏の良さも、疑う余地がない。

Superbowl 422010/02/07 23:12

 日本時間明日朝、スーパーボウル44が開催される。去年のハーフタイムショーには興味がなかったが、今年はザ・フーなので、録画しようと思う。ドラマーはザックなのだろうか。期待している。

 スーパーボウルと言えば、何といっても一昨年,2008年のスーパーボウル42。ハーフタイム・ショーはトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズだった。
 当日は会社を休み、朝からテレビの前にスタンバイ。アメフトは良く分からなかったが、TP&HBが出る大イベントを丸ごと楽しみたくて、最初から見始めたのだ。
 さすがに、1stピリオドはルールが分からない。2ndピリオドあたりから、何となく分かってきて、面白くなってきた。
 そしてハーフタイム・ショー!もう椅子になど座っておられず、テレビの目の前に正座!



 まずたった13分のためのセットにびっくり。ハート・ステージに花火がドカーン!で、さらにびっくり。わぁお、トムさんが吹っ飛んだらどうするんだ?!吹っ飛ばないまでも、あのトムさんのキラキラ金髪が焦げたら困る。ほかの5人は焦げてもあまり影響ない。
 "American Girl" を歌うトムさんがガッチガチに緊張しているのが分かって、おかしくなってしまった。たしかに、トムさんはけっこう緊張する性質らしい。一方、マイクが余裕綽々で格好良い。ああ、こういうコンビネーションもTP&HBの良さだね…と、実感した。
 "I won't back down" あたりから、トムさんの動きにやっと余裕が出てきて、"Thank you!" とかも言えたね!緊張していても声はしっかりしているトムさん、いつもの凄腕バンドとともに、いつものエキサイティングなステージ。さらに "Free fallin'" あたりにはると、さらなる余裕…ギターを変えに来たのは、"BUGS" というTシャツを着たバグズ…なんだよね?!それにしても "Free Fallin'" のこの美しさは、どうしたものだろうか。イントロを聞いた聴衆の盛り上がりも凄い。あの空飛ぶ火の玉(花火?)は、私もNYなどで見たような気がするが、記憶が混同しているのだろうか?
 そして、"Runnin' down a dream" マイクとトムさんの「写り込み合戦」が格好良い。もしくは、映画のアクションシーンで2大スターが背中合わせに決めポーズと取っているっぽくて、良いね。

 たったの15分たらずのステージに、物すごい注目が集まり、この上なく華やかで、演奏に対するエネルギーが、この短い時間に凝縮された感じ ― 見終わって、どっと疲れたのは、TP&HB当人たちと同様だろう。

 その後どうしたかと言うと、3rdピリオド、Finalピリオドと続けて見た。しまいには「Go! マニング(弟)!」などと叫びだす始末。
 アメフトは面白いという感想を持った。どこか、野球に似ているような気がする。
 私はサッカーがあまり楽しくない。やれ、わざと蹴っただの、殴っただの、倒しただの、わざとじゃないとか、倒されたふりとか…そういうのが鬱陶しい(レベルの高いリーグの試合を見れば話は別かもしれないが)。その点アメフトはルール的にさわやかなような印象だった。もっとも、あれから2年見ていないので、すっかり忘れているが。
 明日、また面白い試合が見られると良いとおもう。そしてザ・フーの雄姿を…。

Superbowl 442010/02/10 23:48

 休暇こそ取らなかったが、朝の生中継をビデオに録って、スーパーボウルを見た。さすがに、2年ぶりとなるとルールを忘れている。言葉も忘れていて、「クォーター」を「ピリオド」だと思い込んでいた(「ピリオド」はホッケー?)。
 試合は面白かった。後半開始とともに、突如としてセインツの流れとなった鮮やかさが印象的だった(on side kick ? own side kick ? まぁ、追々確認することにする)。
 私の好きそうなスポーツなのだから、普段から見ていればよさそうなものだが、いかんせん野球のように日常的に目にすることが出来ない。大学フットボールでも見られれば、無条件にゲイターズを応援するのだが。F1を夜中に録画して明け方に見るくらいの情熱を傾けられないこともないが、来シーズンが始まるころには、私の頭は野球とF1の終盤で一杯だろう。

 音楽ファンとして肝心の、ハーフタイム・ショー。
 始まるや否や、私はビデオの調子が悪いのかと疑った。画像と音声が数秒単位で合っていないのだ。とっさに、ロジャー・ダルトリーがリップシンク(口パク)をしているのかと思って、真っ青になってしまった。しかし、音声も明らかにおかしい。オーディエンスがこっそり録音したみたいな貧弱な音しかしない。
 結局、日本放送協会によれば「現地テレビ局がそうだった」とのこと。
 テレビの前で待ち構えていたザ・フーのファンの心情を思うと、泣きたくなってしまった。2年前のTP&HBでこれをやられていたら、ほとんど発狂していただろう。録画放映では曲数がカットされることも、予想される。
 「どうせYouTubeで見られるから良いではないか」…という次元の話ではない。凄まじい人数の人が同時にテレビで目撃する ― エド・サリバン・ショーに出演したビートルズを、多くの人が目撃した時のような、「その一瞬の共有」に大きな意味がある。今、まさにこの同じ瞬間に、アメリカでライブをしている姿を体験することこそが、胸のときめきの正体なのだ。  その瞬間のクォリティがあれでは、苦い思い出にならざるを得ないのではないだろうか。
 不謹慎だが、「TP&HBの時にこれをやられなくて良かった」というのが、正直な感想である。



 ロジャー・ダルトリーは髪を伸ばせば良いのにと思う。マイク回しは封印されていたのだろうか。時間が足りないのか。
 わき見ばかりしているようだが、ザック・スターキーの雄姿が良い。彼とてもさすがに「若いのによく頑張っている」などという年齢ではないが、ロジャーとピートという伝説の域に居るロッカーのバックに座って、あの輝きは魅力的だ。
 来年のハーフタイム・ショーは誰になるのだろうか。

 …え?日テレの方?どうしてそれを私に訊くんだ…!
 ええ、こっちも録画しましたとも。見ましたとも。ハーフタイム・ショーは音こそちゃんと合っていたけど、ほぼ無視されていましたとも!

 オードリーの二人が、意外と悪くなかったと思ったのは私だけだろうか。前半は二人ともほとんど黙っており(春日など、素は大人しい性質が出てしまったような気がする)、後半からテンションが上がり、ワァワァ言うようになったものの、コメントはいたって妥当だったような印象…アメフトを知っている人にとってはどうなのだろう。
 NHKの解説者が、ヘラヘラ喋る印象が強かったのも、
オードリーに対する感想に影響しているらしい。

ケルトのリズム2010/02/13 23:59

 2月11日祝日は、半年に一度のアイリッシュ・パブにおけるセッションだった。
 会場に向かう電車内で、シタールを持っている人を目撃した。ケースの形や大きさが明らかにシタール。「チベットに自由を」なんてステッカーにまじって、草月ホールのバックステージ・パスが貼ってあったので、プロかもしれない。

 今回のアイリッシュ・セッションでご一緒させていただいたラインナップは、ギター(2本),フィドル,イーリアンパイプ。このプロの面々と、お稽古仲間であるフルート。しかし、このフルートも、玄人はだしの腕を持っている。そしてティン・ホイッスル(D管)の私。
 今回も懲りずにリールのセット。私は結局「カッコ良い音楽」が好きなのだ。取りつく島もないほどの疾走感に、モール(短調)の組み合わせが好きで、ザ・ボシー・バンドを参考にしつつ、”Farewell to Ireland”, “The Bird in Bush”, “The Longford Tinker” のセットとなった。
 前回にくらべて、各段に演奏は良くなったと思う。ところが、集音用のマイクを忘れてしまい、録音に大失敗。なかなか何もかもは、うまくは行かない。
 次回は8月の予定。おそらく、また性懲りもなくリールのセットを持っていくのだろう。

 テレビでのスポーツ観戦は好きだが、「開会式」のようなセレモニーや、緊張感の無いフィギュアのエキシビションなどには、興味がない。しかし、北米大陸でのオリンピック開会式となると、いつなんどき大物ロッカーが出てくるかわからないので、一応チェックすることにした。
 結果としては、外れ。ブライアン・アダムスも、k.d.ラングも守備範囲外。ジョニ・ミッチェルは音だけで、当人のライブではなかった(しかも、再放送でばっさり切られていた)。

 そんな中、眼をひいたのは「秋のリズム The Rhythm of the Fall」というセクション。カナダに移住した開拓民が秋の収穫を祝うというコンセプトらしい。この開拓民がケルト文化を持っていた― 多くはアイルランド系だろう ―という設定で、ハープから始まって複数のフィドラーが激しいダンスチューンを奏でる。
 それにあわせて、大勢のタップダンサーが踊るのだが、要するにアイリッシュ・ダンスを最大限にショーアップした演出を加えたもの。リバーダンスのさらなる派手版でも表現はあっているだろう。

 ダンサーやフィドラーたちの衣装に、パンクの要素が入っていたが、これは的外れではない。ロックという複合音楽の成立に、間違いなくアイリッシュ系ケルト音楽は大きな役割を果たしているのだ。
 ロックを形成するにいたる音楽には、主にブルース,ゴスペル,ジャズ、そしてカントリーが挙げられるが、カントリーのルーツであり、もっと暗さや鋭さを保持しているアイリッシュ・ミュージックも、一要素として加えるべきだと、私は信じている。ロック好きの私がアイリッシュ・ミュージックを習うのも、これが理由。
 ロックを作り上げた国の人、その子孫たちは、ロックの中に息づくアイルランドの風を、血の中で知っているのではないだろうか。

 蛇足だが、開会式について。どうも一つ一つのセクションが長すぎやしないだろうか。「秋のリズム」も、あれはあれで良いのだが、長い。ほかも長い。k.d.ラングは長すぎる。
 いろいろ盛り込みたいし、しっかりも見せたい、聞かせたい ― 演出・監督の悩みどころなのだろう。

ロックンローラーの青春2010/02/16 21:44

 Cool Dry Placeに、「カントム」のチャプター1、dreamville の後半をアップした。最初のバンド、サンダウナーズからエピックス、マッドクラッチ、マイクやベンモントとの出会い、そしてデモを作ってLAを目指すまで。
 まさに青春真っ最中。

 文章の中に(笑)という表記を使って、「語り手はここで笑った」もしくは、「ここは笑うべきです」という事を示唆するようになったのは、最近20年ほどの傾向なのだろうか。便利な機能だが、文章が軽くなるところが難点で、状況を選ぶ。
 カントムはよくできた自叙伝だが、形式はインタビューであるため、この(笑)[Laugh] が頻繁に登場する。トムが笑った箇所に現れるのだが、その笑いのツボがよく分からないケースもある。
 今回アップした箇所では、「最初のマイクロフォン」の下り。「エレクトロ・ヴォイスの664」でやたらと笑うのだが、どこがツボだったのだろう?
 このマイクが悪名高きオモチャだったのか?その割には、同じものをもう一つ購入しているし、ググってみると、まともなメーカーだ。ちゃんとしたアンプに繋いでいないところがおかしいのか・・・
 まさか、マイクロフォンの略称である「マイク」と、人名の「マイク」が同じ発音ということで、「ぼくにとっての最初のマイク(マイク・キャンベルじゃないよ!笑えよ!)」・・・というオヤジ・ギャグだったらどうしよう・・・(実際、このダジャレは存在するらしい)

 15にして既に相当の働き者ロッカーのトムさん。ビートルズみたいないで立ちで、ゴキゲンになる気持ち、共感する。
 ビートルズっぽいユニフォームを揃えたは良いけど、ジャケットの色がピンク・・・?!春日か?!南部男子がそれで良いのか?しかも、ヒダ付き(つまりフリル)シャツ・・・キンクスってそんな格好だろうか。キンキスは好きだが、ビジュアルはあまりピンとこない。
 エピックスに入って、年上連中のオトナ(?)な生活に目を丸くするのがかわいい。ビートルズ・ハンブルグ時代の、ジョージを彷彿とさせる。本当に見ていただけか?
 マッドクラッチの始まりと、マイクとの出会いの後に、17歳の時にタンパに行く話をするが、これは順番が前後しているだろう。

 ゲインズビルでトップに上り詰めるマッドクラッチは輝いているのと同時に、その地における限界を見極めているあたりが、クレバーなところ。
 南部に蔓延する「似非オールマン・ブラザーズ」のことを、はっきりと「嫌いだ」と断じるところが良い。
 マイクが彼自身のインタビューでまったく同じようなコメントをしているが、これはトムのコメントの影響を受けているのか、二人の考えが完全に一致していたのか ー 恐らく両方だろう。  マッドクラッチ・ファームでビールを飲みながら、二人で「あんなの最悪だよな」と話していたのかもしれない(それでも、トムさんが寝る場所は無い)。

 マイクといえば、私のお気に入りは、トムが「広大な野っ原の中で、一人ポツンと座り込み、誰にともなしにギターを弾いているマイク」を目撃した話。ゲインズビル時代の話なのか、LAに出てからの話なのかは判然としないが(「彼の家の裏に」と言っているのかで、LA以後か?)、とにかく・・・おかしい。
 あのさ、トムさん。その時のマイクに何か悩みでもあったんじゃないの?

 マイクついでだが、インタビュアーが「作った曲をマイクに聴かせたか」と尋ねる下りがある。間違いなく、後に定着するソングライティング・パートナーとしての始まりを探った質問だが、トムの返答は「マイクがバンドに居るときは聞かせた」。自分の曲を「教える段階」の話だと思われ、聞かせた相手としては、ジム・レナハンを強調している。
 さらに言えばこのコメントからは、出会ってからマイクがバンドに定着するまでに少し時間があったような臭いがする。
 実際マイクのコメントでも、トムがバンドに入れと熱心に説得する下りがある。説得どころが、勝手に決めつけてしまっているような気もするが。
   その過程をテレビドラマにでもするなら、フロリダ大学の図書館で働いているマイク(これは本当の話)のところに、場違いな金長髪ロック野郎がやってきて、勢い良く「バンドに入れ、金持ちになれるぞ」と言いつのり、マイクが迷惑するシーンになるのだろう。

 ベンモントがマッドクラッチのライブを見に行く下り(ゲインズビルではなく、わざわざレイク・シティまで出かけている。本人は明言していないが、マッドクラッチのファンだったらしい。これまた、クォリーメンのファンだったジョージに似ている)に出てくる、「ワイアット・アープみたいなタイ」。私は西部劇には疎いのだが、こういうものだろうか。



 ともあれ、この後はLAへマッドクラッチを売り込みに行く下りになり、次章に譲られる。
 試みに数えてみたところ、今回でカントム[Part 1 Life] の半分強を翻訳したことになるようだ。我ながら物好きである。
 しかし、カントムの翻訳はしばらくお休み。資格試験を受けなければならない。以前にも同じ事を言っていたような気がするが、その時は上司が(私ではない)申し込みを忘れて、機会を逃したのである。迷惑な話だ。

ブランディ・ステーション2010/02/21 22:42

 1863年5月上旬、チャンセラーズビルでの大勝後、リーは、派手な負け続けで厭戦感が漂いつつある北部に、さらなる打撃を与え、南部連合に有利な和睦を狙おうとしていた。そのためには、シェナンドア渓谷沿いに大きく北へ回り込み、ニューヨークにまで南部からの脅威を伝えなければならない。
 リーは70000以上の戦力を再編成し、アンティータムの戦いでの敗退以来、再度の北部への積極的侵攻を試みた。チャンセラーズビル付近の樹海を抜け、さらに北西ヴァージニア州カルペパーに軍をすすめた。
 一方、大敗からの挽回を試みる北軍のフッカーは、リーの次の手がどうなるかを模索すると同時に、軍勢の再編にも手をつけた。その一つは、主力騎兵指揮官を、「無能」と言われがちなストーンマンから、アルフレッド・プレザントン少将にかえたことである。

 兵糧や物資が不足しがちな南軍だが、大勝しているうちに戦意を駆って北部へ攻め込まなければならない。そのためにも、騎兵指揮官のスチュアートは、戦闘演習も兼ねた閲兵式を行うことになった。カルペパー北側の最前線、オレンジ-アレクサンドリア鉄道のブランディ・ステーションにおいて、6月5日にそれを挙行した。
 しかしこの時、リーが出席できず、規模を縮小した閲兵式を再度、リー臨席のもと6月7日に行った。これは、派手好きで、見栄坊なスチュアートの評判を、少なからず落とした(もっとも、二回目はリーの要望でもあったようだ。リーは、スチュアートのモチベーションを高める狙いがあったのだろう)。
 北軍騎兵隊のプレザントンは、この閲兵式の情報を耳にすると、ブランディステーション急襲を決心した。

 6月9日早朝、ブランディ・ステーションに駐留していた南軍騎兵は9500。北軍11000の急襲で、南軍騎兵はどっと崩れた。最初の戦闘から離れたところに居たスチュアートは、この時すぐには状況把握ができず、かなり斥候とのやりとりで手間取った。
 騎兵同士の衝突は、通常短時間で終わりがちだが、この時は大規模な人数での衝突であり、スチュアートの配下にある指揮官たちの優秀さもあって、戦闘は異例の長さになった。南軍の中では、リーの長男のルーニー・リーが負傷し、捕虜になっている(後に捕虜交換で南軍に復帰)。
 スチュアートにしてみれば、ここで崩れ切るわけにはいかなかった。彼が任された大規模な騎兵の背後 ― カルペパーには、リーが率いる、歩兵を中心とした主力が控えているのだ。ここで踏ん張らねば、北部侵攻も何もあったものではない。
 結局、日没近くなって ― つまり、10時間以上の戦闘の末、南軍騎兵は大砲の効果的な展開で、プレザントンの北軍を押し戻した。死傷者数は北軍900,南軍500ほどだったが、南軍に都合よく判断して引き分け(無論、スチュアートは「勝った」と報告したが)、気分的には北軍の勝利が大方の見方だった。
 
 さらに重要なのはこの戦いで、これまで圧倒的優位を誇っていた南軍騎兵に対して、北軍騎兵がまともに戦えるということを証明したことだった。スチュアートの副官を務めたヘンリー・マクレラン(ジョン・ぺラムの後任。北軍ポトマック軍司令官だったジョージ・マクレランの従兄弟)は、のちにこう言っている。
 「この戦いにおける計り知れないほど重要な成果は、この戦いが北軍の騎兵を『作った』ということだ。それまで、北軍騎兵は明らかに南軍のそれよりも劣っていた。この日から、指揮官と共に北軍騎兵たちは自信を持ち、これに続く戦場において、猛烈に戦えるようになったのだ。」

Traveling Wilburys Deluxe Book2010/02/26 23:33

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが今週、大きなニュースを発表すると聞いて、ジリジリしているうちにジョージの誕生日を完全に忘れていた。もっとも、ジョージは誕生日がどうもはっきりしないので、どうでも良いような気もするが…

 TP&HBの大ニュース、新譜の発売が決定。タイトルは [MOJO] …なんか、テキトーにつけタイトルに見えなくもないが、とにかく楽しみだ。
 まず1曲 ”Good Enough” をネット上で聴くことができる。これまでのTP&HBには無かったような感じで、ちょっとびっくりする。しかし、ジョージのアルバムにはこういう曲が1曲入っているような印象。エリック・クラプトン調でもある。TP&HBの新譜は、どんな挑戦的な作品になるのか。とても楽しみだ。
 その一方で、夏のツアーは、ちょっと頭が痛い。ほとんどが郊外の野外劇場のため、車を操れない私にはきつい。狙い目であるNYのマディソン・スクェア・ガーデンは日程が悪い。思案のしどころだ。困ったことに、今すこし思考能力の調子が悪い。

 さらに、ネット回線の調子も悪い。以下の記事は二日前に上げようとしたものである。

 はなはだ勝手ではあるが、小塚崇彦くんの、フリー・プログラムの曲を考えてあげた。”While my guiter gently weeps” なんてどうだろう。無論、ヴォーカルをギターソロにして、元々の(クラプトンによる)ギターソロとの、ツイン・ギター・バトルに編曲。開始10秒ほどでクラプトンのソロが飛び込むから、ここで四回転!ヴォーカルが始まってから、またクラプトンのソロが入るところで、コンビネーション・ジャンプ。あ、完璧かも。
 今回、ショートでマイケル・ケイマン(ギターソロは、当初クラプトンの予定だったが、諸事情で某日本人になったらしい)、フリーでジミヘンを持ってきた佐藤コーチ。しかも、娘の佐藤有香コーチも、ジェレミー・アボットにビートルズをあてがったから(ボロボロだったけど)、あり得ない選択ではないと思う。

 ウィルベリーズ豪華本は、12日(金)に届いた。
 存外こじんまりとした本で、拍子ぬけてしまった。CFG並のすさまじい巨大さを想像していただけに。…そう思うと、CFG豪華本はお買い得だったのかもしれない。
 どうやら、入手したジェフ・リンのサインは公表するものらしいので、私もデジカメでパチリ。



 私には、筆致がどうこうというのは、良く分からない。

 資格試験があるので、あまりじっくり読みこむわけにはいかず、時々チラチラ見ているに過ぎない。困ったことに、デザイン的に箱が捨てられない。"Handle with care"って…本当に良いネタがディランのガレージに転がっていたものだ。
 本文の写真の印刷クォリティが本当に豪華。手触りも違う。
 チラっと見た中では、ジョージの発言が聞き捨てならない。「トムは下着もイカしてるし、サスペンダーも格好良いからバンドに入れよう!可愛い(キュート)じゃん!」…ジョージ…英国人のアナタは良いですが、トムさんはシャイで、やや保守的なアメリカ南部人なんですよ!少し手加減してくださいッ!
 確かスティーヴ・フェローニも、クラプトンのパンツのことを、「アンダーウェア」と表現していたような気がする(「極秘事項だけど、黒のボクサーパンツ」だったそうだ)。ジョージ、トムさんのパンツ見たの?!どうやって?!どうやって?!

 どうもTP&HBニュースだの、けしからん本だので、資格試験どころではなくなっている。落ちたら、前回申込忘れた上司と、ジョージのせいにしよう。