目指すウクレレ2013/04/30 21:05

 どういう事情かは割愛するが、とにかく私が目指すウクレレはそうじゃない ― と説明する必要に追われている。
 何度も言うが、私はハワイアンに興味がない。もっと言えば、ハワイという土地にもほとんど興味がない。確かにジョージはハワイを愛していたが、とにかくそっちじゃない。
 ギターの代理として(体が小さく、さらに手が極小なので)弾いているのであって、ロック、フォークロック、もしくはアイリッシュが弾きたいのだ。
 イメージできない人も居るだろうが、何と言っても、トム・ペティはこの格好良いロックンロールを、ジョージから習ったウクレレで作曲している!もの凄く季節外れ!髪が短い!



 少し前の記事でも話題にした、このおじさんのウクレレによる "Here Comes the Sun" がとても素晴らしい。



 いつかはこれをやりたいのだと先生に言ってみた。
 ストラップと、ピックを使用。Low Gは張っていない。よしよし、私はLow G を張らない派。先生はじぃっとこの動画に見入り、
「うぅ~む、これは…なかなか老獪な…かなりの手練れと見た…」
 なぜか剣豪みたいな話になってきた。そうでござるか。
 先生もよくよく観察して、分析が必要とのこと。私が弾けるようになるのは、いつになるやら。
 今はとりあえず、"I Will" に挑んでいる。ポールはやはり良い作曲家だと思う。

 アイリッシュにも挑んでみたい。スローなエアーも良いが、いつかはダンス・チューンを弾きたい。
 探してみると、どういうわけか、"Irish Washerwoman" を弾いている人が多い。私もこの曲はホイッスルで吹いてお馴染み。このお兄さんなどは中々イカしている。



 でも、ジグ(6/8 もしくは9/8拍子)が限界で、リール(超早い4/4拍子)は無理なのだろうか。いくつか、リールをウクレレで弾いている動画もあるが、だいたいはスロー気味で、さらにホーンパイプのように跳ねている。
 やはりリールはホイッスルで極めるべきか。

Victims of Irish Music2013/03/29 21:46

 Poitinの演奏する “Congress Reel” が格好よかったので、音をとって自分でも吹いたという話の続き。
 この曲の収録アルバムはあるだろうかと検索しているうちに、こう言うものがヒットした。

Marc Gunn’s Irish & Celtic Music Podcast Presents
Victims of Irish Music




 どうやら色々なアイリッシュ・ミュージックが収録されているオムニバスアルバムらしく、曲目を見るとお馴染みの名前が並んでいる。つまりは、基本的にトラディショナルらしい。
 CD盤はなかなか手に入りにくいようなので、iTunes で購入した。

 良いもの、イマイチのもの、色々詰まっているが、なかなか聴きごたえのある内容なので、アイリッシュ・トラッド・ミュージック好きにはお勧めだ。”Victims” というのは、「被害者たち」という意味だが、ここでは「とりこ」とか、「ぞっこん」とか言う意味合いだろう。

1. Cooley's Reel / Sporting Paddy / Toss the Feathers
 ゆったりとしたテンポのリール。フルートは、指での装飾奏法ではなく、タンギングを多用している。ちょっと拙く聞こえる。”Toss the Feathers” の 最後のフレーズは、わざと細切れにしているようだけど、これはダサい。

2. Sleeping Under the Tables / Musical Priest / Salamanc  ( Kennedy's Kitchen )
 始まりはテンポの緩いリールから。こちらのホイッスルはタンギングをほとんどせず、指を使っており、とても上手い。2曲めからテンボアップかなり格好良い。とくに高音部の軽やかさが良い。サラマンカは、私が知っている節回しとは大分違うけど、良いアレンジだ。

3. Lannigan's Ball / Rambling Pitchfork / Tar Road Sligo ( Cady Finlayson )
 ギターソロが格好良いジグ。6弦ならではの幅広い音域で豊かな厚みを奏でている。。二曲目はフィドルソロ。テンポは緩やで、のどかな雰囲気。3曲目もお馴染みの曲だ。

4. Staten Island Hornpipe / Morpeth Rant ( Jolly Rogues )
 恐らく、音色からしてブズーキのホーンパイプ。あまり跳ねないのでリールに聞こえる。後半は正真正銘のリールだろう。

5. Gneeveguilla Reel / Drag Her Round the Road / The Golden Keyboar ( Arabesque )
 指での装飾を多様したフルートがメインのリール。伴奏は、ギターのみで静かな雰囲気。1曲目の最後のフレーズを短く切るのはイマイチ格好良くない。

6. Boys from Blue Hill / Cherish the Ladies ( Bow Triplets )
 お馴染みのホーンパイプ。アコーディオンとバウロン、ギターで、ほのぼの系の演奏。これも跳ねが小さい。ジグをつなげるのだが、三連がちょっとつまづくのも味の内か。

7. Princess Royale ( Thomas "Doc" Grauzer )
 美しいハーブのソロ。テンポか゛揺れるのも味になっている。

8. Chicago Trippin Up the Stairs ( Boston Blackthorne )
 フィドルがメインのジグ。ツインフィドルが格好良い。ちょっと突っかかるようなリズム。後半はおなじみのジグ

9. Rocky Road to Brenham ( Celtic Stone )
 ピアノとハンマーダルシマー、ブズーキ、フルートのポルカに聞こえる。ほとんどクラシックのノリで、アイリッシュトラッドにはちょっと聞こえないかも。

10. Geordie Lad / The Good Old Way ( Vicki Swan)
 雅楽の音取のような不思議なイントロ。フルートのエアから少しずつテンポアップして行き、最後は明るく爽やかなリールになるのが格好良い。

11. Old Grey Cat ( Marc Gunn )
 冗談のようなホイッスルのソロ。最初から最後までタンギングで押し通し、指での装飾奏法はもの凄く字余り的なリズムで、鋭さが皆無。かなりダサい。どうもわざとダサく演奏しているようだ。ダサさもここまでくると堂々としていて潔い。演奏者の Marc Gunn はこのアルバムのタイトルになっている人だが、いつもこういう奏法なのだろうか?

12. Congress Reel ( Poitin )
 私も吹きたくなるほど、格好良いリール。ただし、ホイッスルのタンギングの多様は少し格好悪く、ダサい。もっと、指での装飾奏法をふんだんに取り入れれば、完璧に格好良くなるはず。アンサンブルの素晴らしさは格別。掛け声もイカしている。

13. Road to Lisdonvarna / Morrison's Jig ( Vince Conaway )
 ハンマーダルシマーが格好良く鳴り響く、お馴染みのジグのセット。こういうものを聞くと、その新しい楽器がやりたくなる。

14. Polkas and Slides ( The Tea Merchants )
 フィドルのポルカからスライド(12/8拍子)への変わり目が、バシッときまっているところが格好良い。

15. Banks of Spey / High Road to Linton ( Highland Fling )
 フィドルによるエア(ゆったりとした歌の曲)。エアだが、リズムは威勢が良い。もっと「ゆったり&しっとり」でもよさそう。後半はスローリールっぽい。

16. Campbell's Farewell to Red Gap / Newcastle ( Bedlam Bards )
 かなりカントリー調なポルカ。ここまで来ると、私が求めるアイリッシュではない。聞いていて、楽しいけれど。

17. Skylark / Humours of Tulla / Lucy Campbell's ( Culann's Hounds)
 リールのセット。最初の曲では、フィドルの半音使いが印象的。曲が変わると、イーリアンパイプが加わる。お馴染みの “Lucy Campbell’s” の最後に、三連譜を入れ込む奏法がかなり格好良く、やってみたい。全体的には、かなりモダンなアレンジで、ルナサに近い感じがする。

The Bachelor Party2013/02/10 20:29

 明日、アイリッシュ・セッションの本番があるため、ここ数日、必死に練習し続けている。おかげで手が痛い。
 この週末は、徹底的に練習に集中するはずが、リチャード3世ドキュメンタリーなど公開されるという、嬉しい妨害も入る。

 ともあれ、まともな記事を書く余裕無し。
 特に集中的に練習しているのが、このリールのセット。



 以前にも記事にしたが、映画「シャーロック・ホームズ」の二作目で聞いて、格好良いと思っていた曲。
 前半は、"The Congress Reel" という有名な曲だが、後半の曲名は誰に聞いても未だに分からない。自分では勝手に、"The Bachelor Party" と呼んでいる。映画のシーンが、ワトソンのバチェラー・パーティだったから。
 とりあえず目指すテンポまで引っ張り上げることは出来た。レッスンの過程で、奏法なども格好良い方へ変えるなど、練習の出来としては満足している。
 本番がうまく行くかどうかは、また別問題。私は本番に弱い。ほかにも数曲、ジグやリールの課題があったので、明日は忙しくなりそう。

Rock's New Glimmer Twins2013/02/03 21:56

======!!告知!!==========
 2月5日(火)21時から WOWOWライブにて放映
ミュージックスタイルWORLD ザ・チーフタンズ結成50周年記念ライブ

 私も見に行った、去年11月オーチャードホールでのライブ映像。一応、演奏そのものはノーカットとの情報。レディ・チーフタンズもしっかり放映されて欲しい。お見逃し無く。
==============================

 2月1日に、マイク・キャンベルが63歳のお誕生日を迎えた。おめでとうございます!
 最近、ますます自由に、活発にご活躍のご様子。自慢のギターコレクションを解説付きで紹介してくれたり、独自のライブを開いたり、ファンをスタジオにご招待したり、それをとても楽しそうにやっている姿がとても素敵だ。
 独自の活動も素晴らしいが、やはりマイクがトムさんの相棒であるという確固たる事実があり、その安心感がマイクの活動の充実感を支えているのではないだろうか。よそで楽しくやっていても、いざトムさんが何かしますとなったら、ちゃんと隣りに居てくれるマイク。なんだか二人が羨ましい。

 そんなベスト・パートナー、メイツなトムさんとマイク。1987年の雑誌,Music Connectionで、こんな表紙になっていた。



 若い。お二人揃って若い。この頃の容姿が一番好きかも知れない。
 キャプションには、 "Rock's New Glimmer Twins" とある。「グリマー・ツインズ」とは、ザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーと、キース・リチャーズのこと。
 確かに、ミックとキースは、トムさんとマイクによく似ている。先輩達の方がよほどメチャクチャでやんちゃで大喧嘩満載のコンビだが、その一方で、絶対に離れようとしない、ソングライティング・パートナーでもある、二人が居ないとバンドが成り立たない、仕事にならない…そういう関係性ではそっくりだ。若い(比較の問題)二人は、いくらか大人しいし、60年代流の無茶もしなければ、非難合戦もしない。ファンとしては、安心感がある。
 この1987年のキャプションは、なかなか良い表現をしている。

 1999年には、Guitar Playerでこんな表紙になっている。



 トムさんは調子が優れない頃だが、私はこの頃のお二人もかなり好き。[Echo]という暗いアルバムが好きなせいもあるが、かなりキツイ状況にあったトムさんを、しっかりマイクがフォローしてくれていたことがよく分かるような気がして、好きなのだ。

 そして、2006年。ハートブレイカーズのデビュー30周年には、こうなった。



 この7年で、一体この二人に何が起きたのかと思わせる表紙だが…仲の良さは相変わらずとも思わせる。この雑誌の表紙にはもうひとバージョンあって、二人で頭をつきあわせているどアップ写真なのだが、私はこちらのほうが好きだ。

 これからも、末永く、良いコンビでいてください。くれぐれも、椰子の木から落ちたり、変な暴露本など出さないように。…出さないな。

The Chieftains in Orchard Hall2012/11/23 22:20

 モダン・アイリッシュ・トラッドバンドの雄,ザ・チーフタンズが結成50周年を迎え、来日した。
 私はこのバンドを「チーフンズ」と発音しているが、「チーフンズ」というのが一般な表記らしい。
 今回の来日公演はいくつか行われるが、私は11月22日のオーチャード・ホールを選んだ。場所が良いというのもあるが、主な理由は、オーケストラや、私が特に興味のないミュージシャンとのジョイントは極力避けて、チーフテンズを存分に楽しみたかったからだ。



 印象的だったのは、リーダーのパディ・モローニ。いいお歳だが、若々しくMCをこなし、バンドを引っぱり、ゲストを紹介し、コンサート全体をまとめる。レコーディングはもちろん、長いチーフテンズの活動を引っぱり、チーフテンズそのものを常に作り続けている。パディの存在そのものが、チーフテンズと言っても過言ではないだろう。
 イーリアン・パイプは重みを持ち、ティン・ホイッスルは軽やかで自由。いい加減なのではなく、律儀でありながら軽快。ああいうホイッスルが吹きたい。
曲の構成にも工夫がこらされていて、飽きさせない。ストーンズの “Jampin’ Jack Flash” のリフを挿入するなど、茶目っ気も発揮していた。

 そして、本物の伝説たる、フルートのマット・モロイ。私としては、ザ・ボシー・バンドのメンバーとしての印象が強い。
 横笛というものはあれほど、どっしりとした音を出すものだろうか。フルートなど持っていないかのように、マットという人物そのものが楽器で、生まれた時から、楽器として生きているような印象だった。横笛は音が不安定という概念は、当てはまらない。

 とりわけ格好良い!…という存在だったのは、フィドラーのカナダ人,ジョン・ピラツキ。長く細い脚のイカしたお兄さん。格好良くフィドルを弾いていたと思ったら、楽器を置いてすっと立ち上がり、もの凄いステップダンスを披露した。しかも兄弟のネイサンもステップダンサー。
 フィドルを素晴らしく弾けるというだけでも十分格好良いのに、凄いステップダンスもこなす。どちらが彼にとってメインかも良く分からない。

 和太鼓との共演などは私にとっては無くても構わなかったが、悪くもなかった。ハイランド(スコティッシュ)・バグパイプの登場も、それなりに楽しい。
 そして最後に登場した、レディ・チーフタンズ。日本の女性アイリッシュ・ミューシャンたちが結成したトリビュート・バンドだ。結成から日が浅く、どうなるのだろうかと思っていたら、めでたく本家のステージに呼ばれた。私もなんとなく出るだろうという、予感がしていた。客席にメンバーの姿がなかったので。

 格好良い演奏と、楽しい雰囲気。オーチャード・ホールでのコンサートの模様は、来年2月、WOWOWで放映予定だそうだ。どこまで放映するかは分からないが、とにかく楽しみだ。

The Chieftains / Irish Trad の50年2012/11/02 23:37

 アイリッシュ・トラッド・バンドの雄,ザ・チーフテンズ今月下旬に来日し、ツアーを行う。今年は、結成50周年だそうだ。
 コンサートをさらに楽しむために、チーフテンズを中心として、1950年代に伝統音楽復興のムーブメントが始まり、21世紀に至るアイルランド・ケルト音楽の歩みを解説する講演会があったので、聞きに行った。

 内容はとても面白かったと思う。復興運動以前の状況、いかに復興運動が展開し、チーフテンズが誕生し、さらに60年代,70年代へとさらなる発展をとげ、80年代に大きな曲がり角を迎え、さらに大きな「ケルト」としての文化圏熱の発生 ― そして、90年代に「ケルトの虎」と呼ばれた経済発展と共に迎える、一種の「バブル」状態、そして現在 ―
 なるほど、単にアイリッシュ・トラディショナル・ミュージックと言って私は愛好したり、演奏したりしているが、意外と新しいムーブメントの中の音楽のファンであり、現在に至るまでの様々な「揺れ」の中の、一部が好きなのだと納得した。
 たくさん知らないことも教えてもらえた。ギリシャの民族楽器であるブズーキが、なぜアイリッシュ・トラッド・バンドでよく使われているのか疑問だったのだが、その点も解決した。

 内容はそれなりに良かったと思うのだが、いかんせん講師の方のプレゼンが上手くなかった。トークを主体として展開する講演なのに、話すのが苦手な方のようだし、配布されたレジメもかなりイマイチ。たぶん、こう言った講演形式の活動に慣れていらっしゃらないのだろう。
 かなり期待して出かけたので、その点は残念。

 改めて思うのは、やはり私はボシー・バンドの演奏が好きなのだということ。
 ものすごく精緻で端正、そのくせ土臭さを失わず、アップテンポの曲は怒涛のように突き進む感じが好きだ。



 アイリッシュ・トラッドに関しては、私は圧倒的に器楽が好き。このボシー・バンドの傾向に近い良いバンドがあったら、ぜひとも教えて欲しい。

 一方、チーフテンズ。最近は、様々なミュージシャンとのコラボレーションにも熱心で、最新アルバム [Voice of Ages] でも顕著だ。ディランの中でも大好きな曲、"When the ship comes in" なども登場。



 今回のアルバムはそれほどでもないが、他ジャンルとの共演にも熱心。物によっては、カントリーや、ブルーグラス、はてはジャズとのコラボレーションなどもある。
 正直いって、私はこの手のコラボが苦手だ。なんだか互いの一番エッジの効いた部分を削がれてしまうような感じで、入れ込めない。特に、カントリーやブルーグラスは、それらが苦手だからこそ(私の趣味としては、少し明るすぎる)、アイリッシュ・トラッドへ向かったのであって、そちらにアプローチして欲しくないという気持ちがある。
 やはりいかにもトラッドな楽曲を、トラッドなアプローチでありながら、格好良くキメてくれてくれるのが良い。このリールのように。

The Chieftains "The Dublin Reels"

伶楽舎 / C.W. Nicol2012/06/02 23:11

 この木曜日と金曜日は、連続して演奏会に出かけた。

 まずは5月31日木曜日、四谷区民ホールにて、伶楽舎の雅楽コンサート。「散手と貴徳 ~管絃で聴く、番舞を観る~」



 「散手(さんじゅ)」も「貴徳(きとく)」も、太食調(たいしきちょう)の舞楽として有名で、組み合わせて一セットとされている。双方とも、面をかけ、大きな鉾を持って舞うので、非常に舞としては良くにている。しかし、「散手」は唐楽(とうがく。中国系)で、演奏に笙が入っていかにも雅楽といった感じのゴージャスな響きがするのに対し、「貴徳」は高麗楽(こまがく。朝鮮半島系)で、笙は入らず、カラっとした響きを持っている。
 さて、舞楽として双方とも有名だが、どういう訳だか「管絃」(舞なし。琵琶と箏が加わる)での演奏は記録にすら残っていないのだという。しかし、一部ながら弦の譜が残されており、最初は「管絃」も演奏されていたのではないだろうか ― という、面白い考察から、今回の演奏プログラムになったとのこと。
 こういう創造的で、でも突飛ではなく、あくまでも古典の良さを再現しようとするプログラムは良い。テーマもはっきりしているし、比較しやすい演奏で、飽きさせない。演奏会の後半に華麗な舞楽を鑑賞できるのもとても良かった。

 なぜ、「散手」も「貴徳」も、舞楽としては名曲として有名なのに、「管絃」としての演奏は廃れたのか。伶楽舎の結論は「よくわからない」とのことだったが、私は伶楽舎の再現演奏を聴いて、とても単純なことではないかと思った。
 即ち、双方とも舞楽に比べると、管絃は物足りなく、音楽としての面白みに欠けているような気がするのだ。特に「貴徳」に対してそういう感想を持った。
 なにせ、雅楽の歴史は長い。その長い期間に、「イマイチな曲」は廃れ、「名曲」だけが残っていくというのは当然だろう。そもそも、記録方法が限られていた古代,中世は、本当に「名曲」と認識された音楽しか、記録されなかったのかも知れない。
 「散手」と、「貴徳」は、舞楽が名作なだけに後生に伝えられたが、どちらかが、もしくは双方とも、管絃は特に演奏するに値せず ― という淘汰の波にのまれ、運命を共にしたのかも知れない。

 伶楽舎の次回の雅楽コンサートは、12月。「天上の音楽、地上の楽 (源博雅をめぐって)」と題する予定。出ました、博雅三位。何年か前、各メディアで「陰陽師」がはやったことがあるが、それで彼に興味を持った方には、良いかも知れない。
 私は「陰陽師」を全く受け付けなかったが…。

 6月1日金曜日は、C.W ニコルさんのレクチャーコンサート「C・Wニコルの世界 - 語り継ぎたい物語、歌い継ぎたい音楽」
 レクチャー・コンサートというわけで、C.W. ニコルさんの活動を紹介するDVDと、それに関するお話、そして自身の思い出と、それにまつわる歌を披露してくれた。
 ニコルさんの自然に関する活動は、ここでは割愛する。当人の著作や、メッセージに直接触れる方が良いだろう。

 歌は、ニコルさん自作の、日本語と英語の曲や、スコットランドやアイルランド、ウェールズと言った、ケルト民族に伝わるトラディショナル・ソングなど。いずれも素朴で、でも吸引力のある素晴らしい演奏だった。
 特に印象深かったのは、ニコルさんが作った "Swim away (Salmon Song)"。カナダの少数民族の人々と鮭が遡上してくる川を渡った体験を元に作ったもので、その少数民族の間でおおいに人気を博したと言う。
 そして、ロックファンの私には、やはりトラディショナルの "Wild monuntain thyme" と、"Oh Shenandoah"。前者はザ・バーズ、後者はディランの演奏でお馴染みだ。

 ニコルさんのレクチャー・コンサートで実感したのは、彼のプレゼンテーション能力の高さだ。何を人に伝えるにしても、根拠と自信は努力と積み重ねで獲得し、それをいかに伝えるかには、また別の才能が必要になる。ただ素朴な歌を歌うだけではない、自分の考えもまるごと、人に伝えようとするという作業は、誰にでも簡単にできることではないだろう。
 人にはそれぞれ、自分の意見があり、その正義感が強い物になればなるほど、他者との衝突は激しく、互いを傷つけるものになる。しかし、それでいちいち争っていたのでは、一体なぜ人間には、発達した思考力、叡智が備わっているのか分からない。
 そういう、人間の難しさと、可能性を感じたコンサートだった。

無印BGM 17 / C.W. Nicol2012/05/27 19:52

 ロックのルーツを求めて、アイルランドのトラディショナル音楽を愛好するようになって、ずいぶん経つが、CDなどはあまり多くは持っていない。聴くよりは、演奏する方に重心を置いているからだろう。

 人に勧められるほど知らないアイリッシュ・ミュージックのCDだが、無印良品のBGMシリーズのアイルランド音楽は良い。
 BGM4 は、2009年2月11日に紹介済み。そしてこのたび、BGM 17が再びアイルランド音楽となった。



 曲目はいたって伝統的で、素朴な選択。演奏は主にハープ,アコーディオン,フィドル,そしてヴォーカル。フルートやホイッスルは少ない。私は笛吹きなので、ちょっと残念などと言っていたら、「笛吹きにとってのカラオケになるから良いのだ!」と、先生が凄まじくポジティブなことをおっしゃっていた。
 演奏もとても素朴で、正当派。私はイマドキの凝ったプロデューシングが苦手なので、こういう飾らない演奏が嬉しい。
 14の曲目は、エアからリール,ジグ,ホーンパイプなど、多岐にわたっているが、ややスロウな曲が多めか。なにせオシャレな生活用品店のBGMなので仕方がない。
 この充実した内容で、価格は1050円と、非常にお買い得。かなりお勧め。お店になければ、取り寄せてもらおう。

 今週の金曜日 ― 2012年6月1日金曜日、夜19時より、新宿の住友ビルの朝日カルチャーセンターにて、C.W ニコルさんのレクチャーコンサート「C・Wニコルの世界 - 語り継ぎたい物語、歌い継ぎたい音楽」が開かれる。こちらもおすすめ。

 私はネイチャー系の話題には縁が無いが、やはりケルト民族の音楽とその世界には触れてみたい。一緒に演奏する方々も、日本においては一流の面々。
 平日ではあるが、ロックのルーツと、なぜか日本人の心にぴったりくるケルトの音楽、豊かなお話を味わってみてほしい。

The Congress Reel2012/04/19 22:27

 ガイ・リッチー監督,ロバート・ダウニー・ジュニアとジュード・ロウ主演の映画「シャーロック・ホームズ」のシリーズでは、いくらか音楽的なこだわりが見られる。
 中でも、アイルランド系の音楽の使い方が面白かった。
 そもそもロンドンが主な舞台である「ホームズ物」にアイルランド音楽がどう関係するのかと言うと、特になさそうだ。原作で音楽というと大抵クラシック。アイリッシュ・ミュージックは、監督の趣味なのだろう。無理にこじつけるとしたら、"Sherlock" という変わったファーストネームは、アイルランド系のファミリーネームから拝借しているという説がある(「ヴェニスの商人」のシャイロックから来ているという説もあるが…)。

 私が特に心惹かれたのは、リールのセット。明日結婚式というドクター・ワトスンのバチェラー・パーティで、ホームズが殺し屋と大乱闘を演じる時に流れる。
 リールというのは、四分の四拍子で、猛烈な速さのダンス・チューンである。私はアイリッシュ・ミュージックであるティン・ホイッスルを習っているが、セッションなどではいつもリールに挑戦することにしている。

 映画で使われのは、Poitin というバンドの演奏による、"The Congress Reel"。これはかなり格好良い。アイリッシュに特に興味が無い人でも、グっとくるのではないだろうか。



 もともと、映画のサウンドトラックとして録音されたものではないとのこと。
 "Poitin" というバンド名は「ポイティン」と読めるが、どうやら「ポイティーン」が近いらしい。アイルランド語で言う何らかのお酒の名称だとか、パブの名前からきているとか、詳しいことは良く分からない。
 とにかく、この演奏は格好良い。楽器編成は、おそらくティン・ホイッスルに、フィドル、バウロン(太鼓)、ギター、コンサーティーナ(アコーディオン)だと思われる。
 その猛烈な速さときたらべらぼうで、♩=240以上はある。1小節に1秒かからない。こうなると四拍子でリズムを取るのは無理で、だいたい二拍子で取っている。

 曲のタイトルは、"The Congress Reel" となっているが、どうやら前半の曲のタイトルがこれにあたるようだ。"The Congress Reel" の楽譜なら検索してすぐに見つかるのだが、後半の曲が分からない。調べてもよく分からず、面倒になったので、聴音した。
 この場合の「聴音」とは、自分の耳で音を取り、楽譜にすること。学生時代、この聴音の成績が最悪でかなり苦労したが、こういう単純な曲ならどうにかなる。
 そういう訳で、夏にかけてこの曲を猛烈な速さで吹けるように、練習することにした。


 もし、「その楽譜欲しい!」という方がいらしたら、当ブログの親サイトCool Dry Placeを参照して、私にメールを下さい。PDFファイルを差し上げます。
 ただし、この楽譜はあくまでも「メモ」です。アイリッシュ・ミュージックは基本的には譜面にはたよらず、覚えたうえで自由にバリエーションを加える物です。楽譜は最低限のメロディラインをメモったにすぎず、Poitinのように格好良く吹くには、装飾音などを格好良加える必要があります。
 それから、残念ながら私の手書きの楽譜です。楽譜ソフトは持っていないので。自分でやる方の音楽は、徹底的にアナログなのです。手書き譜に慣れていない人には、ちょっと読みにくいと思います。基本、悪筆な私にしては頑張って綺麗に書いたつもりですけどね。

Farewell to Liverpool2012/02/11 22:50

** 告知 **
 コメントが書き込み不可になっていることを、すっかり忘れてました!解除しました。コメントOKです。

 今日は、半年に一度のアイリッシュ・パブでのアイリッシュ・セッションだった。今回は大した準備もせず、気軽に出かけたのだが、リール・セットのリードに呼ばれてしまい、ちょっと焦った。それでもまぁ…そこそこ吹いたかな。

 私がアイルランド音楽のティン・ホイッスルを習い始めた初期のころに覚えた曲のなかに、"Farewell to Liverpool" という曲がある。曲は "Danny Boy" によく似た美しい曲で、「リヴァプール」という土地への思い入れもあって、好きな曲の一つだ。
 詞は、リヴァプールからアメリカへ旅立つ男の心情を歌っている。もちろん、アイルランドからの移民がイングランドのリヴァプールからさらに旅立つということ。その先にはアメリカがあり、アイルランドから持ち込まれた音楽が、やがてカントリーやロックへと発展してゆく。
 曲名は、私が覚えている "Farewell to Liverpool" よりも、"Leaving of Liverpool" の方がメジャーなようだ。

 私はテンポはゆっくり気味で、しっとり歌わせる演奏が好きなのだが、それに近い演奏というと、なかなか動画では見つからない。やっとみつけたのが、この謎の(?)ハーパーの演奏。別に上手くもないが、とても味わいがあって、好きだ。



 むしろ主流なのは、このダブリナーズのような、威勢の良い演奏らしい。私はアイリッシュ好きのくせに、カントリーがやや苦手なので、もうすこし哀愁を強めてほしいけど…まぁ、これも悪くない。



 ロック界では、ザ・ポーグズが歌っているが、こちらも威勢が良い。



 誰かしっとり系でやっていないかしら…と思ったら、意外な人があがった。ほかでもない、ボブ・ディラン様である。
 [The Bootleg Series Vol.9 The Witmark Demos 1962-1964] の中に、"Farewell" という曲があるが、実は曲が、アイリッシュ・トラディショナルである "Farewell to Liverpool" なのだ。歌詞はずいぶん変わっていて、Liverpoolも登場しない。ただ、故郷を離れ、恋人と別れる旅立ちの歌には違いない。
 このアルバムをお持ちの方は、ぜひ確認してほしい。