Beethoven Sonata No.8 (Pathetique)2023/02/21 21:15

 私の家でピアノを弾いた高校一年生男子、巨大な手の持ち主。一応「幻想即興曲」を弾いたが、ちょっと色々と言いたいこともある ―― が、ここはぐっと我慢。べつに音大に行くわけでもないからね。
 それで、次に何を弾きたいかと尋ねると、「悲愴の第二楽章」という。

 「悲愴」は第一楽章と第三楽章があるから「悲愴」なのだ!第二楽章はおまけだ!

  …と、思わず一刀両断にしたのだが、その後彼はどうしたのだろうか。あれだけの巨大な手を持っていたら、ベートーヴェンも弾き甲斐があるだろうに。

通称「悲愴」はベートーヴェンが三十歳になる前、彼がピアニストとしても名声を得ていたころの作品だ。
 ダニエル・バレンボエムで聞いてみる。



 冒頭のグラーヴェを過ぎると、かなり軽やかな印象で、奏者自身がそれをとても強調しているように思える。ベートーヴェンもまだ若く、モーツァルトのような華やかで軽やかな作風もまだ残っているようだ。
 第二楽章については私が特にかたることもない。第三楽章は、ピアノの試験で散々お世話になった記憶と共に、楽譜に書き込みがたくさんある。学生としてピアノに接していた、青春の思い出のメロディだ。