Arigato gozaimasu, Suzuka! ― 2022/10/11 20:15
あまり F1 に入れ込みすぎると、心が疲れてしまうし、結果が心苦しかったりすると、精神安定に支障をきたす。そのような訳で、鈴鹿での日本GPだからといってあまり目を血走らせないように、努めて冷静に、ちょっと距離をおいて見たいと思っていた。
しかし、鈴鹿からの中継が始まると、やはり平静を保っては居られなかった。20人全ドライバー分の応援が観客席を彩る中、やはりセバスチャン・ベッテルへの応援が目に付くし、中継陣も「最後の鈴鹿」を連呼する。余り期待しすぎると、あとで辛いからやめてほしい…でも、やっぱり期待してしまう。
その期待にまず予選 Q1で応えるセブ。アウトラップのとき、ズバズバ前を抜いて行き、最後のシケインでだけちょっと減速。本当に鈴鹿を知り尽くし、どうしたら一番早く、そして美しく走れるのかを知っている。
Q2 はさらに鮮やかだった。おそらくエンジニアも、すべてセブに任せていたのだろう。鈴鹿でセブに指示するべき事なんて無いのかも知れない。川井ちゃん曰く、「この人、鈴鹿でトップ10逃したこと無いです」――
そして今年の鈴鹿で、屈指の名場面となった Q3。ソフトの新品は1セットしかないので、一人だけタイミングをずらして、悠々と、美しく、爽快に駆け抜けて見せた。自分でも満足の行く走りだったようだ。まだ後ろで真剣勝負の9台が血眼になっているのに、観客席に手を振り、メッセージを送る…
「ありがとうございます」はこちらの台詞だ。浜島さんは、「サーキットの人が泣いてるでしょうね」と言っていたが、私が号泣していた。
さて、雨の決勝である。セブに何事も起きませんように、どうかトップ10に入れてもらえますように ―― という祈りも虚しく、最初にぶつかって、スピンして、グラベルに突っ込む ―― もう既に心がかなり疲れていたので、「ああ…人生なんて、そんなものだよね…」と、諦めの境地に入る。
だがしかし、本当の鈴鹿の幸運は、セブのものだった。赤旗があけて、やっと始まったスプリント・レース、「誰がまっさきに突っ込んでインターにするかですよ!」と川井ちゃんは言う。要は博打だ。それがセブだった。セブ自身が、セーフティ・カー明けにインターミディエイトにすることを決断したという。
この決断以降、幸運はずっとセブのものだった。あのアロンソに、いったんはタイヤ交換を決断させ、再度追いつかれたのは最終周回であり、フィニッシュ・ラインを通過したとき、セブのほうが何センチか前だった ―― あと1周でもあったら、セブは 7位だっただろう。
結果はあの車で望める最高位であろう、6位、8ポイント獲得。おめでとうセブ!ありがとう、セブ!You are the driver of the day!

セブが心から愛し、一番好きなサーキットである鈴鹿が、素晴らしい結果で本当によかったと思う。日本人のファンとしては、何の心残りもなく、セブに楽しませてもらい、セブも楽しんだことだろう。
F1 なんて、しょせん政治,経済,テクノロジーであって、お金まみれの汚い競技かも知れない。それでもセバスチャンはこうして多くの人に愛され、温かく見送られてゆく。そういうことだって、F1にもあるのだ。これもスポーツであり、人間の良い面を見せてくれるのだ。
パルク・フェルメに車が並んだところでテレビを消してしまったので、チャンピオンが決定したことを知ったのは、数時間後だった。特に感慨は無いのだが…まぁ、去年のような絶望的な悲劇にならなくて良かった。
しかし、鈴鹿からの中継が始まると、やはり平静を保っては居られなかった。20人全ドライバー分の応援が観客席を彩る中、やはりセバスチャン・ベッテルへの応援が目に付くし、中継陣も「最後の鈴鹿」を連呼する。余り期待しすぎると、あとで辛いからやめてほしい…でも、やっぱり期待してしまう。
その期待にまず予選 Q1で応えるセブ。アウトラップのとき、ズバズバ前を抜いて行き、最後のシケインでだけちょっと減速。本当に鈴鹿を知り尽くし、どうしたら一番早く、そして美しく走れるのかを知っている。
Q2 はさらに鮮やかだった。おそらくエンジニアも、すべてセブに任せていたのだろう。鈴鹿でセブに指示するべき事なんて無いのかも知れない。川井ちゃん曰く、「この人、鈴鹿でトップ10逃したこと無いです」――
そして今年の鈴鹿で、屈指の名場面となった Q3。ソフトの新品は1セットしかないので、一人だけタイミングをずらして、悠々と、美しく、爽快に駆け抜けて見せた。自分でも満足の行く走りだったようだ。まだ後ろで真剣勝負の9台が血眼になっているのに、観客席に手を振り、メッセージを送る…
An emotional end to Seb’s final qualifying at Suzuka.
— Aston Martin Aramco Cognizant F1 Team (@AstonMartinF1) October 8, 2022
🎥 @F1 #F1 #JapaneseGP pic.twitter.com/bjbsPbwz0b
「ありがとうございます」はこちらの台詞だ。浜島さんは、「サーキットの人が泣いてるでしょうね」と言っていたが、私が号泣していた。
さて、雨の決勝である。セブに何事も起きませんように、どうかトップ10に入れてもらえますように ―― という祈りも虚しく、最初にぶつかって、スピンして、グラベルに突っ込む ―― もう既に心がかなり疲れていたので、「ああ…人生なんて、そんなものだよね…」と、諦めの境地に入る。
だがしかし、本当の鈴鹿の幸運は、セブのものだった。赤旗があけて、やっと始まったスプリント・レース、「誰がまっさきに突っ込んでインターにするかですよ!」と川井ちゃんは言う。要は博打だ。それがセブだった。セブ自身が、セーフティ・カー明けにインターミディエイトにすることを決断したという。
この決断以降、幸運はずっとセブのものだった。あのアロンソに、いったんはタイヤ交換を決断させ、再度追いつかれたのは最終周回であり、フィニッシュ・ラインを通過したとき、セブのほうが何センチか前だった ―― あと1周でもあったら、セブは 7位だっただろう。
結果はあの車で望める最高位であろう、6位、8ポイント獲得。おめでとうセブ!ありがとう、セブ!You are the driver of the day!

セブが心から愛し、一番好きなサーキットである鈴鹿が、素晴らしい結果で本当によかったと思う。日本人のファンとしては、何の心残りもなく、セブに楽しませてもらい、セブも楽しんだことだろう。
F1 なんて、しょせん政治,経済,テクノロジーであって、お金まみれの汚い競技かも知れない。それでもセバスチャンはこうして多くの人に愛され、温かく見送られてゆく。そういうことだって、F1にもあるのだ。これもスポーツであり、人間の良い面を見せてくれるのだ。
It's not goodbye, it's see you later.
— Aston Martin Aramco Cognizant F1 Team (@AstonMartinF1) October 9, 2022
Arigato gozaimasu, Suzuka.#F1 #JapaneseGP pic.twitter.com/ZYbFEjSE5Q
パルク・フェルメに車が並んだところでテレビを消してしまったので、チャンピオンが決定したことを知ったのは、数時間後だった。特に感慨は無いのだが…まぁ、去年のような絶望的な悲劇にならなくて良かった。
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