Memory Motel2022/07/13 20:45

 ランダムにアルバムを聴いていたら、ザ・ローリング・ストーンズの "Black and Blue" (1976) になった。
 改めて思うに、このアルバムの白眉は "Memory Motel" だろう。



 この曲の最大の特徴は、ミックとキースが、リード・ヴォーカルを分け合うところである。キースがリード・ヴォーカルを取る曲は、まるまる一曲を歌うのが普通なので、こういう「ウィルベリーズ・スタイル」は非常に希だと思う。他に何か思い当たる方は、教えて欲しい。
 サウンド的には、やはり鍵盤の重層的な使われ方が印象的だ。どうやらミック、キースの二人とも鍵盤を弾いているらしくし、しかもビリー・プレストンも参加しているのだ。良くならないはずがない。

 ストーンズの何がストーンズをストーンズたらしめているのか。無論、典型的なロックンロールのエッジと躍動感のある曲想はもちろんなのだが、私は個人的にこういう典型的なロックンロール・バンドが作る、堂々たるスロー・バラードの大曲というのも、大好きなのだ。特にストーンズには名曲も多い。"Out of Tears" , "Streets of Love" などもその例だ。
 攻撃的なほど元気な曲との対比もあるし、誰の心にもある、切なさや悲しみに対する共感がにじみ出て、それをいい歳したベテラン・ロックンローラーに歌い上げられると、胸が締め付けられるような気持ちになる。
 人生は常にポジティブというわけにはいかないし、苦しみや悲しみにも耐えて生きなければいけない。せめてそれらを美しい、力強い楽曲に託してくれれば、少しは報われる時も来るよう気がするのだ。

 ライブ映像は1998年。若いなぁ。