King of the Hill2019/02/04 22:13

 トム・ペティの [An American Tresure] は聞き応えのある素晴らしいボックス。まったく未公開だった楽曲も良いが、これまでに発表されたものの別バージョンなども、すごく楽しい。

 "King of the Hill" ―― ロジャー・マッグインとのデュエットが美しい。そしてきらびやかなギターサウンドに、ベンモントの特徴的なピアノ!どれをとっても素敵。



 ついでにロジャー・マッグインのライブ映像も見よう!1991年、発表当時。



 このリードギターの人は、ジョン・ジョーゲンソンという有名なお方だそうな。うーん、どうだろう。ハートブレイカーズの演奏に慣れているので、ちょっとうるさいかな・・・
 マイク・キャンベル的な控えめで、気恥ずかしそうなたたずまい、ああいうのが良いのよ。

 この動画見てて、最初から思っていたのだが、ドラムの人、スタン・リンチに似てる。1991年のスタンによく似てる。
 などと思っていたら、本当にスタンだった!ちゃんと人にも確認したのだが、スタンだった!
 スタン・リンチ、さすがのハートブレイカーズ。良いお仕事でした。

Crestfallen2019/02/09 20:39

 どうしてこのアルバムを持っているのか分からない。でも、すごく良いアルバムだったというのが、ザ・ニュー・メンディカンツの [Into the Lime]。
 このバンドが何者なのか、皆目分からないと、このブログの記事にしたら、親切な方が「パーニス・ブラザーズの人のユニットだ」と教えてくださった。

 そのようなわけで、パーニス・ブラザーズのアルバムをいろいろ買ったわけだが、デビューアルバムの一曲目でガツンとやられてしまう。



 イントロのギター、さらにベースを聞いただけで、大好きになってしまう。さらにあの声。特に美声でもないのに、ひどく心に染み入る。なにか、親友のおばあちゃんが亡くなった数ヶ月後に、そのことを話題にしたときの会話のような ―― 普通なんだけど、どかか遠くで、奥深くで、泣きたくなるような ―― そういう密やかな感情のにじむ声だ。
 曲が短いのも良い。美しくて素晴らしいものを見いだして、それをいたずらに引き延ばすのではない、儚くて刹那的な音楽。まともにヴォーカルが入っているのは2分半ほどだが、アウトロのインストロメンタルはいらないのではないかと思うほど、素晴らしい曲だ。

 なんだか、すこし悔しくもある。
 お前なんぞには、こういうギターサウンドの、こういうシンプルで、あきらかにトム・ペティのフォロワーだと分かる曲さえ聴かせておけば、簡単に感動するのだろう ―― そう、看破されているようで、悔しいやら、気恥ずかしいやら。
 でも、実際そうなのだ。事実であるだけに、否定もできず、そうなのだと開き直るしかない。

 アルバムはやや一本調子で、もっとパンチの効いた感じだったら、さらに評価は高いのかもしれない。でも、この冒頭の "Crestfallen" ―― 「意気消沈」というタイトルも良い ―― この曲があるだけで、十分名作の資格があると思うのだ。

 ザ・ニュー・メンディカンツは、パーニース・ブラザーズのほかに、ティーンエイジ・ファンクラブというバンドの人とのスーパーグループとのこと。後者の方は、これから聞くことにする。
 こうして、机上の放置CDが増えてゆく。

Shenandoah2019/02/14 21:40

 最初に "Shenandoah" という曲を知ったのは、ボブ・ディランのバージョンだ。アルバム [Down in the Groove] に収録されている。かなり長い間、このディランのバージョンしか知らなかった。
 ロジャー・マッグインのアルバム [Limited Edition] で、また "Shenandoah" を聞いて、どうやらこちらの方がオリジナルに近いと言うことを知った。

 オリジナルと言っても、"Shenandoah" をだれが作ったのかは、はっきりしていない。アメリカの民謡という位置づけで、19世紀前半にはすでに歌われていたようだ。
 古くから広く流布し、愛されてきた。ヴァージニア州の州歌 "Our Great Virginia" は、"Shenandoah" のメロディを使っている。

 動画でもいろいろなバージョンがあるのだが、どれも何となく大げさで、いまいち。このステイトラー・ブラザーズのバージョンなどは、まだ素朴な方かもしれない。



 ロジャー・マッグインのバージョンは、すっかりザ・バーズだと思い込むほど、バーズ調。倍音の美しいギターに、マッグイン特有のちょっと頼りないようで、でも美しい声が映える。

 一方でディランの方は、かなりクセの強いアレンジをしている。クレジットも、「トラディショナルで、かつディランのアレンジ」としている。Aメロはほぼオリジナルなのだが、展開するとすっかりディラン節。
 ディランは、ノーベル文学賞なんぞ贈られるほどなので、その詩人としての価値を非常に評価されているが、私はまずミュージシャンとして素晴らしいと思う。この "Shenandoah" などは、カバーであり、アレンジを加えているだけに、その音楽的才能がよく発揮できているのではないだろうか。

 どうして "Shenandoah" の話になったかというと、自分で演奏したからだ。
 アイルランド音楽のティン・ホイッスルを習っているが、そこで演奏した。
 ただし、この曲はアイルランド発祥ということではない。ケルト発祥の音楽かどうかも不明。ただ、その美しさ、素朴さが、アイルランド音楽に通じるものがあるのだろう。ティン・ホイッスルで演奏しても、とても良い曲だった。

For Real2019/02/17 19:40

 トム・ペティの未発表曲、"For Real" が公開された。3月に発売される [The Best of Everythihg] からの曲だろう。
 さぁ、さっそく聴こう!



 最初は、トムさん後期によくあるひっそりとした曲調。なんとなくデモっぽくて、未完成なのかな?と思っていたら ―― 素晴らしいサビの盛り上がり!トムさんのコーラスも丁寧に重ねられて、作り上げられている。

 こういう曲に弱い。サビが鳴り響くと、思わず頭を抱えてしまいたくなるような、切なさがあふれ出す。
 しかし、意外とこういうサビで一気に盛り上げる曲というのは、トム・ペティには少なかったような気もする。発表しなかったということも思うと、ちょっとした実験だったのかも知れない。

 生前に発表されたアルバムには含まれず、[An American Tresure] にも収録されなかった。一体、トム・ペティの未発表曲はどれくらいあるのだろうか。
 仕事をするときは、しっかり準備して、ダラダラやらなかった彼のこと。それほどたくさんの未発表曲があるとは思えないのだが・・・

 マイクに会えたとして、訊きにくいけれど、訊きたいこと。トムさんの未発表曲の録音は、どれほどあるの?
 マイクはニコニコして、さぁね、と言うかも知れない。
 マイクは部屋の整理整頓が苦手で、スタジオもぐちゃぐちゃ。捜し出すにはいろいろ時間がかかりそう。なんだったら、片付けのお手伝いをしても良い。

CRT & レココレ presents ジョージまつり 20192019/02/21 22:46

 毎年恒例の、CRTジョージまつりに参加してきた。いつものように、本秀康さんの熱いジョージ語りで楽しんだ。
 今回は、ホワイト・アルバムの50周年記念版を中心に、話が展開した。

 CRTジョージまつりに参加すると、いつも本さんは「どうしてもっとジョージがメジャーにならないのか?」と嘆くのが恒例である。そして周囲が慰める展開。
 私にとっては、ジョージは十分メジャーなのだが ―― とはいえ、もっと上を目指したいのだとしたら、私たちファンは、どうすれば良いのだろうか。それをちょっと考えてみた。
 そこで、「ジョージをさらにメジャーにする三箇条」を提案したい。私が考えた。たった今、考えた。

1. 「修行」と称して聴きたくもないものを聴くのをやめる
 簡単に言えば、「電子音楽の世界」「不思議の壁」「アップル・ジャム」を聴く必要は無いと言うこと。
 前者ふたつはともかく、「アップル・ジャム」を聴かないというのは叱られそうだが、そもそもジョージのファンが、長々と続くジャムが好きだとは思えない。好きなジョージを聴くのに、ファン自身が耐えることはない。
 公式のジョージのボックスに「電子音楽の世界」と「不思議の壁」が入っているのがまずいとは思うが・・・そこは早世したジョージのこと、大目に見てほしい。

2. 誰がギターソロを弾いていても動じない
 "Taxman" のギターソロがポールでも、"While My Guitar Gently Weeps" がクラプトンでも、嘆くには及ばない。どうして悔しがる必要があるだろうか。
 ジョージは、彼らに、ありがたくも、活躍の場を与えてやっているのである!感謝されるべきであり、どうしてジョージ・ファンが嘆かなければならないのか!
 ジョージの良さは、素晴らしい人がいれば全力で愛情を注ぎ、素晴らしい音楽があれば、それを人の耳に届けるために真摯に振る舞う。それがジョージだ!

3.ポップでスィートなジョージを受け入れる
 今回のCRTで意外だったのが、"If You Believe" をみんなで聴いた後、本さんが残念そうに、「こういうポップでスィートなのを受け入れない人もいるんですよね」と言ったことだ。
 そんなことって、あるだろうか。ジョージ・ハリスンというミュージシャンこそ、ポップでスィートであることを喜ぶべきだと思う。その親しみやすさと、彼の崇高な精神性がうまく融合して、名作の数々が生まれている。
 そして彼のポップなテイストは、ディラン様からジェフ・リンまで、あらゆる友人たちを包み込んだ。ウィルベリーズなどは、ポップでスィートなジョージがいたからこそ、生まれた音楽だろう。

 以上、三つを実行し、ジョージ・ファン自ら、ジョージを楽に愛せば、きっと同じように楽な気持ちのファンたちも増えるに違いない。メジャーになるということは、気楽なファンも増えると言うことなのだ。ジョージ・ファン自身が、ファンであることを苦行のように言っているうちは、まだまだだろう。

 何度も言うが、私にとって、ジョージは十分メジャーだ。
 本さんがイベントの最後に流したのにならって、ここも "If You Believe" を聴いてみる。私もDJ大会で流したことがある、超お気に入りの一曲だ。

Bohemian Rhapsody2019/02/25 19:05

 タイのチェンマイに来ている。
 仕事なので疲労困憊なのだが(まだ序盤)、ただマンゴーは食べ放題である。

 直行便がないのでバンコクでのトランジット。これがきつい。つくづく、旅には向いていないと思う。
 ともあれ、まずはバンコク行きの飛行機でできるだけ映画を見ることにした。
 ローワン・アトキンソンの「ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲」。前作の方が面白かったけど、こっちも楽しかった。エマ・トンプソン、大好き。
 「天才小説家の妻」。まぁ、想定内かなぁ。脇役で気になる人がいて、どこかで絶対見たことがある、と思っていたら、クリスチャン・スレイターだった。プライベートでは色々問題があるようだが、改めて良い役者だと思った。

 そして、「ボヘミアン・ラプソディ」。私の周囲でも「もう見たか?」と話題だった。映画館に足を運ぶほどクイーンのファンというわけではないので、飛行機で見られてラッキー。
 映画作品としてはけっこう普通で、若者が夢を抱いてバンドを結成し、大スターへと成長し、傑作を作り、危機を迎え、再起して父の理解を得て、集大成を作り上げるという、想定の範囲内だった。
 この映画の肝心なところは、おそらく壮大な「再現ドラマ」にあるのだろう。特にクイーンの四人は、ファンが抱いているイメージ、そして明らかにされた実像、双方を融合した最終的なクイーンの姿を、見事に再現して、再体験させてくれるところこそ、重要だったのだと思う。

 大きな話題となった、フレディ・マーキュリーを演じるラミ・マレック。ひげを生やすまで、どうもこの人が、ミック・ジャガーに見えて仕方がなかった。それこそミックを演じたら面白いだろう。
 ほかの三人は最初、似ていないような気がしたのだが、終盤になると慣れてきたのか、クイーンに見えてきたから面白い。
 すでに二回見たという友人によると、「ボブ・ゲルドフが笑えるほど似てる」とのことだったが、私はゲルドフに関してはオン・タイムで知っているわけでも、ファンでもなかったので、ちょっとインパクトは薄かった。

 壮大な再現ドラマは、まじめで偉大なるそっくりさん大会ともいえる。
 本物ではなく、再現だとしても、音楽はクイーン自身だし、大画面に大音響で鑑賞すると、ファンにはたまらなく、それこそ複数回見るというのも理解できる。好きなバンドを永遠に失ってしまったという喪失感は、よくわかる。ある意味、クイーンのファンが羨ましくもある。

 私が好きな曲の中で、話題にこそ出たが実際には流れなかったのが、"You're my best friend"。ちょっと割を食った感じ。
 ジョン・ディーコン贔屓としては、ぜひとも上手く使ってほしかった。