The New Mendicants / Into the Lime2018/05/24 21:16

 このアーチストは、こういう経緯で知った ―
 ほとんど全ての ― 少なくとも、アルバムを持っているミュージシャンについて、それを知るに至る経緯というのは、自分で分かっている。もともと好きなミュージシャンの関係者、憧れの人、フォロワー、共演者 ― はたまた、同好の士が教えてくれたお勧めアーチスト、映画やテレビなどの媒体を通して ― などなど。

 ところが、このザ・ニュー・メンディカンズ The New Mendicants に関しては、彼らをどういう経緯で知ったのか、まったく思い出せないでいる。そもそも、何人のバンドなのか、どこの国の、どういう世代の人なのかも知らない。今日、ランダムにアルバムを聴いていた iPod から流れて、「これ、なんだっけ?」と思った次第。
 とにかく、この珍妙な名前のバンド ― (新しき物乞い,もしくは托鉢修道士)の唯一のアルバム [Into the Lime] を持っている。2014年。名作だ。



 こういうフォーク・ロックさえ聴かせておけば、たぶん私はある程度の心の平穏を保つに違いない。美声でもないし、弱々しいけど、ジョージや、ロジャー・マッグインのような、儚げでいじらしい、ロックシンガーの声にめっぽう弱いのかも知れない。
 もう一人連想するとしたら、エリオット・スミスだ。もっとも、スミスほどの悲しみと絶望よりも、希望と救いに満ちている。

 とにかく、このバンドをどうして知っているのか、なぜアルバムを持っているのか、皆目分からない。
 Wikipedia によると、三人組で、それぞれにバンド活動をしていていた、いわば「スーパーグループ」なのだと言う。それぞれの活動バンド名を見ても、まったく思い当たらない。

 美しさに聞き惚れつつも、実は甘いだけ、美しいだけの音楽は「垂れ流し」だと思っている。ちょっとした苦さ、悲しみ、ひにくれた感覚 ― そういうものが、ロックンロールファンとしては欲しい。
 そして、ガツンと打ち付けるような ― 決してやわではない、強さの要素も必要だ。ザ・ニュー・メンディカンズはそれらを備えている。

 それにしても本当に、一体どういう経緯で、彼らを知り、アルバムを購入するに至ったのだろう。狐につままれたような気分だ。