There are places I remember2017/10/14 20:00

There are places I remember
All my life though some have changed
想い出の場所がある 人生の中で変わってしまったものもあるけれど
( In My Life: The Beatles )


 母校の音大には、邦楽演奏用の和室があった。畳に座り込み、仲間や先生ともども、お茶を飲んだり、お菓子を食べたりしてくつろいでいた。
 私は好きになったばかりの、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのことを、しゃべり倒していた。すると、同級生の一人が言った。

 「俺、テレビでトム・ペティのビデオ見て、ぜってーこいつ、人形か何かだと思ったわ。すっげーでっかい帽子かぶってる、あやつり人形みたいでさ。」

 学生時代、人からトムさんの話を聞いた、ほぼ唯一の機会だった。

 今はドイツに住んでいる彼に、そんなことを想い出したとメールしたら、返事がきた。無論、トム・ペティのニュースは知っている。

「もちろん、NIぶちの事を思い出していました。月並みな言葉だけど、音楽の中では生き続けるのだね。間違いなく後世に残るものを作ったと思うし。」

 ありがとう、Mくん。その通りだよ。



 2006年、私はちょっとレイザーライトが好きだった。コメディ,The Mighty Boosh がきっかけて知ったバンドだが、クールな若いUKバンドだった。
 単独来日公演が渋谷クアトロであり、私はひとりノコノコ出かけていった。ライブの開始を待つ間、何か音楽がかかっているのはいつものことだ。
 やがて、客席のライトが落ちて、真っ暗になった。さぁ、ライブが始まる。そのとき、真っ暗な会場に、大音響で聞き慣れたイントロが流れた。

American Girl .... !!

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのオリジナル録音が流れたのだ。私は声を出さずに絶叫していた。
 最初から最後まで、暗闇で、大音響で、フルで流れた "American Girl" 。これが何を意味するのか、クアトロに集った観衆のうち、どれだけの人に分かったのだろうか。
 レイザーライトが憧れ、目指しているにはほかでもない、TP&HBであり、"American Girl" なのだ。その後のライブのことは、あまり良く覚えていない。"American Girl" が強烈すぎた。

 レイザーライトはその後どうなったのか知らなかったので確認してみると、当時のメンバーはリーダーのジョニー・ボレルしか残っておらず、彼のバンドとして続いていた。
 今年9月10日に行われたデイヴ・スチュワートのライブに、ジョニー・ボレルがゲスト出演し、"Don't Come Around Here No More" を演奏した。TP&HB自身のパフォーマンスに似て、イカしている。
 そして一番のツッコミどころは、スチュワートのギターだろう。デューセンバーグのマイク・キャンベル・モデルだ。



 トム・ペティのことをどう記事にすれば良いのか、今はまだ分かっていない。何となく、想い出を重ねて、私にとってのトム・ペティへの思いが形になっている。