This is the New Year2017/06/04 19:43

 [New Year's Eve] という映画を見たのだが、これが全然期待はずれな映画だった。

 [Love Actually] みたいな作品を狙っていたのだろうが、なんだか全然ダメダメ。映画だから色々ご都合が良いのは構わないのだが、行動に一貫性のない人が多くてイライラする。プロ意識もあまり無い。「結局、みんなパーティが好きでしょ?」というオチで全く共感できない。
 なんと言っても一番駄目だったのが、ロックスター役の某歌手。人気のある人だが、私とは、まったく趣味が合わない。重要な役どころなのに、登場するあらゆるシーンが我慢ならない。
 見た翌日がウクレレのレッスンだったのでそのことをぼやいたら、先生は「うわ、NIぶちさん、嫌いそ-!!ぜってー嫌いだわー!」と爆笑していた。

 そんな駄目だった映画の記事なんて書かなければ良いのだが、一つだけ良かったのが、オープニングニングに使われた曲。
 ア・グレイト・ビッグ・ワールドの "This is the New Year"。



 なんて安上がりなビデオ。これは良い曲。好きだ。
 どうせピアノを前面に押し出すなら、これくらいしてくれると気持ちが良い。
 ハートブレイカーズのベンモント・テンチは最高のピアニストだが、彼のソロ・アルバムが消化不良だったのは、その楽器のポテンシャルを生かし切れていない「ピアノ不足」だったのだと、この曲や、トム・オデールなどを聞くと実感するのだ。

 映画について、付け足すが。ある役で[Knockin' on Heaven's Door] のティル・シュヴァイガーが出てきてびっくりした。彼がでてくるたびに、「ティルだよね?!」と画面の前で言っていた。

Sting in Budokan2017/06/09 21:18

 6月6日、日本武道館にスティングのライブを見に行った。

 ちょっと待て、スティングのこと、好きだったか?!

 確かに、別にザ・ポリスもスティングもファンだというわけではない。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのツアーに行けないというストレス発散のために、行くことにしたのだ。
 同行の友人に、ポリスの [Greatest Hits] と [Reggatta de Blanc] しか持っていないと言うと、ポリスとしてはそれで十分だと言われた。スティングのソロは全く持っていない。ロックにジャズを入れ込むのが少し苦手なので、敬遠していた。
 実際のところ、ポリスとスティングのソロが半々くらいの曲目で、私でもけっこう楽しかった。

 スティングという人のことをあまり良く知らなかったのだが、スタイルに自信があるのか、ピチピチのTシャツ姿というのが笑えた。友人曰く、「ちょっとナルシスト」
 恰好はともかく、声は良く出るし、終始楽しそうでこれぞミュージシャン、スターという存在感が素敵だった。

 少し意外だったのが、"Every Breath You Take" の「立ち位置」だった。
 この曲はミドル・テンポの穏やかなラブ・バラードで、私がいかにもポリスと感じる、エッジの利いた曲ではない。トム・ペティで言えば "Free Fallin'" にあたる曲で、コンサートを締める曲ではないと思っていたのだ。実際、"Free Fallin'" は最も人気のある曲の一つだが、決してコンサートの最後にはこない。
 しかし、"Every Breath You Take" はアンコールの2曲目。通常、コンサートの締めに持って来る最大の盛り上がりどころに、位置しているのだ(実際には本当の最後に1曲、おまけ的にアコースティックなソロがある)。
 意外な選曲でありつつ、それでも武道館は十分に盛り上がっていたので、ちょっと "Every Breath You Take" を見直した。

 前座のザ・ラスト・バンドレロスがなかなか良かった。スティングが推しているというのだが、それはプロモーション的にそういうことになっているのか(ダイアナ・ロスとジャクソン5のような)、それとも本当にスティングが気に入ったのかは良く分からない。
 ともあれ、新譜やツアーでも共演しているとのこと。曲が良かったので、さっそくEPを買ってみた。ただし、事情があって、あまり聞き込めていない。

突如、ニューヨーク遠征2017/06/11 19:58

 明日から、5泊でニューヨークに行く。目的は、6月17日プルデンシャルセンター(NJ)での、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブだ。

 ちょっとまて、お前はハートブレカーズが見られないからと言って、あれやこれやとヤケクソを起こしていたのではないのか?

 そう、私はライブ告知時点で計画されていた、仕事のプロジェクトのために、今回のライブは諦めていたのだ。
 余りにも悔しいので、京都で豪遊したり、スティングのライブに行ったりしたのだ。

 ところが、先月になってプロジェクトが秋に延期になったのだ。秋となると、クラシックのシーズンにかぶる。これではハートブレイカーズの埋め合わせもできないではないか。
 そして、続々と動画サイトにあがるハートブレイカーズのライブ映像。見たい。絶対に見たい!

 ライブ3週間前になって、チケットサイトを確認すると、1枚買いできる。
 私はクリックした。席は…




 きっと、何も見えないに違いない。マイクかトムさんが、時々前に出てくれば、ちょっと見える程度だろう。
 それでも良い。前回のストーンズ来日公演で、バックスクリーン横の、ステージが見えない席を取ったことがあるが、それはそれで楽しかったのだ。
 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブを、同じ会場で「感じる」だけで良い。究極のヤケクソである。私は、それくらい彼らが好きだ。断言できる。本当に、大好きだ。

 3週間前にニューヨークの航空券と、ホテルを手配すると、地獄のような凄まじい金額になった。予約する手がをぶるぶる震えた。
 ミュージカル [Chicago] と[The Phantom of the Opera] も予約。
 3週間前になってニューヨークに付き合ってくれる人なんていないので、ニューヨークで一人旅。美術館三昧で決まり。

 前の会社の同僚で、ニューヨーク好きな友人に行くことを知らせると、なんとびっくり、あちらも同じ時期にマンハッタンに居るという。よし、あっちで会おう!

 さて、5回目のニューヨーク。どうなることやら。ジョー・ウォルシュなんて、まったく予習していない。でも、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのためなら、何でもどうにかしてみせるさ。

The Veteran in a New Field2017/06/14 06:48


 とんでもなく暑いニューヨーク!
 MET の The Veteran in a New Field は、以前よりだいぶマシな展示方式になっていた。

57th 9th2017/06/16 08:02


 スティングのファン向け。ちなみに私は持っていない。

Tom Petty & The Heartbreakers2017/06/17 13:00


 なぜトムさんはあんなにも女優なのか?!(普段はボロボロなのにライブツアーとなると完璧に仕上げてくる)
 なぜマイクはあんなにも格好良いのか?そしてベンモントにゴロニャン・ポーズをとるのか?
 なぜ何もかも最高のバンドなのか?

 それは100%ロックンロールだから!トムさんが自分でそう言っていた!

Tom Petty & The Heartbreakers in Prudential Center 16th June 20172017/06/19 22:02

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのデビュー40周年ツアーを、ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターで見てきた。
 セットリストは以下の通り。

Rockin' Around (With You)
Mary Jane's Last Dance
You Don't Know How It Feels
Forgotten Man
You Got Lucky
I Won't Back Down
Free Fallin'
Walls
Don't Come Around Here No More
It's Good to Be King
Crawling Back to You
Wildflowers
Learning to Fly
Yer So Bad
I Should Have Known It
Refugee
Runnin' Down a Dream
Encore:
You Wreck Me
American Girl

 ステージ左後方の席で、視野はこんな感じ。



 バンドを背後から見ることになるのだが、これが意外と見やすい席だった。ステージが近いので米粒というわけでもないし、アリーナのように前列の人のせいで、視界に苦労することもない。たまにスクリーンも見れば良い。スマホのカメラからこれなので、実際はもう少し近く見えた。これまでに見たTP&HBのなかでは、ベスト3の場所だった。

 印象に残ったことをいくつか。
 デビュー40周年という特別企画的に、冒頭に "Rockin' Around (With You)" が演奏された。いつものとおり、マイクがまずステージに登場し、ハートブレイカーズの最後としてトムさんが現れる。珍しくまずスピーチをして、この曲が最初のアルバムの、最初のトラックであることを紹介した。「とにかく今日は100%ロックンロールだ!」
 実のところ、会場の大観衆は、この曲で盛り上がり切れなかった感はある。私は大好きだが、グレイテスト・ヒッツしか持っていない人も多いはずで(前列のカップルがその好例)、この曲を知らない人もいただろう。しかし、そこは40周年なので、こういう選曲をして、オリジナルアルバムを改めて聞き直してもらう良い機会だ。

 そのような訳で、本当の盛り上がりは "Mary Jane's Last Dance" と "You Don't Know How It Feels" から始まったと言って良いだろう。
 "Forgotten Man" は最新アルバムからの曲だが、そうとは思えないほどノリノリで格好良かった。続く "You Got Lucky" は、トムさんが「1982年の曲だ、みんなわかるだろう?」といって始まる。
 "I Won't Back Down" や "Free Fallin'" など、約2万人が一斉に大合唱するのを聞くと、「いつも同じヒット曲のラインナップ」も致し方が無いと思う。大ヒット曲だけで2時間構成できてしまうのだし、「あの名曲」を合唱せずに帰されるのも悲しい。
 それにしても、"Free Fallin'" が始まる前に、トムさんとマイクは何をあんなに顔を近づけてしばらく…ゴニョゴニョ…やっているのか…何?何なの?!46年以上一緒にやっていて、まだそんな至近距離で、しかもステージ上で、何か話さなきゃ行けないことがあるの?!

 今回のラインナップの中で最も印象的だったのは、"Walls"。エレクトリック・バンド編成だったことがさらに良かった。女性ヴォーカル二人の功績でもある。この大名曲は、もっと知られても良い。
 グレイテスト・ヒッツには入っていないので、前列のカップルも座り込んでいるので、心置きなく楽しめた。

 メンバー紹介はいつ見ても良い。マイクの時の盛り上がりが凄まじく、余りにも盛り上がるので一曲歌い出すのかと思うほどだった。そもそも、紹介のスピーチからして、他の人の倍はある。
 「初めて会ったときは、ひでぇ日本製のギターを持ってて、だめだこりゃと…」
 あらやだ、嬉しい。ひでぇ日本製のギター様々。

 アルバム [Wildflowers] からの3曲連続は、今後の活動を予感させる物で、とても良かった。"It's Good to Be King" などは、それほどみんなのお気に入りでは無いと思うが、だんだんと大迫力に引き込まれ、最後は口を開けて呆然とさせられる。

 たしか "Runnin' Down a Dream" でのピアノ・ソロだと思うのだが、マイクがベンモントのキーボードの上に肘をついて「ゴロニャーン」なポーズを取るのが、心臓に悪い。可愛すぎる!やめて!
 そして膝が痛いのに、ピョンピョン跳ねるベンモント。(ライブの前日にマンハッタンのSteinway & Sons に行ってベンモントがいないかどうかチェックしたことは秘密だ)

 "American Girl" はいつ聴いても名曲。キーはオリジナルと同じDだったと思う。やはり、女性コーラスを入れることによってスコットの負担を減らしたことも功を奏したのだと思う。
 最近までやっていた、むやみに長いエンディングはやめて、スパッと終わらせたと思う。余韻も相まってとても良かった。

 いつもの通り肩を組んで挨拶をして、最後にマイクがステージを後にする。フロント・マンはトム・ペティで、バンドリーダーがマイクなんだなぁと、実感させられた。
 こちらは、今回撮った唯一の動画。



 前座のジョー・ウォルシュ?ごめん、覚えていない!良かったけど、ハートブレイカーズが全てを吹っ飛ばした!

Chicago - the Musical2017/06/25 13:09

 もともとミュージカル好きではない。ただし、ニューヨークのブロードウェイだけは、世界で最高のものが見られるという、ミュージカル好きのお勧めに従い、今回も2作品見た。
 まずは、「シカゴ」。1975年以来の人気定番演目であり、2002年の映画化で、さらにメジャー化した。1920年代のシカゴのショービズネス界と、犯罪者のセレブ化を風刺したストーリー、セクシーでクールな俳優たちの歌とダンスが見所となっている。



 劇場は、49丁目のアンバサダー劇場。



 先に映画を見ていたので戸惑ったのだが、いつから「ロキシー=カールしたブロンド=キュート」,「ヴェルマ=ストレートのブルネット=クール」というイメージが定着していたのだろうか。2002年の映画からなのか、それ以前からなのか。
 私が見た舞台では、ロキシーがブルネットの引っ詰め髪で、ヴェルマがプラチナ金髪のショートカット。ヴェルマはともかく、ロキシーはちょっとイメージが合致しづらい感じだった。

 通常バンドはオーケストラピットに入る物だが、ここでは舞台上にバンドがあがり、指揮者も一部演技に参加する。
 出演者たちは黒のセクシーな衣装で様々な役を演じ分けるのだが、この演出がこの作品の重要なところだろう。ただし、豪華衣装の展開で圧倒するという醍醐味は無い。

 衣装はセクシーだが、踊る女性たちはセクシーというよりは、マッチョ。強くでしなやかな筋肉の表現力を遺憾なく発揮する。
 音楽はヴォードヴィル調。ここで困るのが、私があまりその手の音楽のファンではないということ。楽しいけど、音楽的にはそれほど入れ込めないのは残念だった。ここは純粋に、ダンスを楽しむべきだろう。

 先に映画を見ていたのだが、やはり映画俳優が「頑張って」歌って踊り、編集とカメラワークで盛り上げても、本職のミュージカル俳優が生で演じる迫力には、だいたい及ばない。ただし、派手さという点でいうと、舞台は分が悪い。とくに最後のロキシーとヴェルマのステージは、もっと派手に爆発してくれても良かった。

 さて、もう一度「シカゴ」を見てみたいだろうか?まぁ、それほどではないかな。

The Phantom of the Opera2017/06/30 22:14

 ニューヨーク・ブロードウェイのミュージカル2本目は、[The Phantom of the Opera]「オペラ座の怪人」。
 実は当初、見る予定はなかった。音楽はよくフィギュア・スケートで聞く(私はフィギュアスケートが結構好きだ)し、良いと思う。しかし、どうもストーリーが好きではない。ガストン・ルルーの小説が原作だが、なんだか気持ちの悪いストーカーの話としか思えない。
 しかし、音楽仲間が強力にプッシュしてくる。曰く、「音楽のあまりの素晴らしさに泣いた。」
 そして、今回ニューヨークで落ち合うことになった会社の仲間曰く、「ロンドンで見た時、余りに良かったので、翌日も見た」のだという。
 ここまで言われて見ないというのもどうかということで、マチネーで観賞。劇場は、44丁目のマジェスティック・シアター。



 予習のために、2004年の映画を見たのだが、ファン達曰く、「映画はだめだ!舞台の方が断然良い!」
 それは正しかった。たしかに、「劇場」を舞台とした作品なだけあって、「劇場」で生で見ることに意義がある。
 確かに良いのだが…どうにもしっくり来ないところも多い。

 音楽は総じて素晴らしいのだが、時々ひどく安っぽいサウンドで勝負してくるのが、なんとなく居心地の悪い思いにさせられる。特に大迫力を狙って、PAを駆使しすぎたバス・ドラムや、場違いなエレクトリック・ギターの大活躍。ちょっとついて行けない。まともなオーケストレーションで、さらにPAの力を借りた方が良い。
 「オペラ座」を舞台とし、さらにモーツァルトの有名作品を念頭においているストーリーなだけに、本家クラシック・オペラとの対比に晒されるのも、このミュージカルの弱点だろう。

 歌手としては、まずクリスティーヌは素晴らしかった。はっとするような可憐な声質で、しかも音量がある(もちろんPAもあるのだが)。特に墓地のシーンの歌唱は素晴らしかった。
 ファントムの方は、ベテラン名優の役どころで、上手いとは思うのだが、やや期待はずれ。映画でも同じ事を思ったし、フィギュアスケートを見ていても同じ事を思うので、歌手のせいではない。音域の設定のせいだ。かなりテノール寄りのバリトンのようだが、高音はどうしてもきつい。蚊の鳴くような声で、素晴らしいとは言いがたい。
 テノールはラウルに任せて、バス~バリトンにした方が、役柄的にも合っていると思うのだが。それとも、ミュージカルには、それほどのバス~バリトンの歌手が居ないのだろうか。

 豪華な舞台装置、衣装、仕掛け、それらは素晴らしく、観客の間からたびたびため息や感嘆の声が聞かれた。
 ただし、墓場の中途半端な火気は残念。特にファントムの銃が「パンっ」と鳴ったときは、会場から笑いが起きた。
 シャンデリア落下も、期待したほどの迫力ではなかった。これは映画を見ているせいだろう。

 ファン達が絶賛する理由も分かるし、音楽も良いと思う。さて、もう一回見るか?同行の友人はロンドン公演が素晴らしかったと言っているので、ロンドンに行く機会があったら、検討しよう。