Tosca2016/08/12 20:47

 プッチーニのオペラ「トスカ」を Blu-ray で見た。

 21世紀になってからの新しい画像が良いと思ったのだが、Amazon で検索すると、以外と選択肢が少ないのに驚いた。イタリア語のオペラなので、字幕も必須だ。
 あまり多くない選択肢から選ばれたのが、2006年アレーナ・ディ・ヴェローナ。野外劇場でドカンドカンと大砲を撃ちまくる。この会場は夏期のオペラ公演で有名。マリア・カラスのイタリアでのデビューもこの場所だったそうだ。

 トスカというと、歌姫トスカとその恋人で画家のカヴァラドッシ、トスカに横恋慕するスカルピアの愛憎劇。トスカには気の強さ、激しさが求められ、同時に最初から最後まで金切り声を上げ続ける強靱さが必要。
 カヴァラドッシのアリア「星は光りぬ」とトスカの「歌に生き、愛に生き」が有名。トスカを知らなくても、この曲に聞き覚えのある人は多いだろう。
 「トスカ」の鍵となるのは、スカルピアだと思う。バリトンの悪役。この役どころが弱いと、オペラ全体が締まらない。私自身が、テノールよりバス,バリトンの方が好きなので、この舞台でもルッジェーロ・ライモンディが演じるスカルピアが一番良かった。
 こちらは、第一幕のフィナーレ「テデウム」。マーラーに言われれば「鐘が鳴りっぱなし」の騒々しく、荘厳で、エネルギーに満ちた名場面だった。



 「トスカ」はオペラ上演中のハプニング・エピソードには事欠かない。トスカがスカルピアを殺害するシーンで実際に怪我をさせたとか、ナイフが無くて仕方なく絞め殺したとか、ロウソクの演出が決まりなので、延焼が発生するなどの騒ぎが多い。
 第三幕のフィナーレ,つまりオペラのラストシーンは、トスカがサンタンジェロ城から身投げするのだが、トランポリンで歌手が壁の向こうから何度も跳ね上がったという伝説もあるし、兵隊がトスカに続いて次々飛び降りたとかいう話もある。
 私が見たディスクのトスカは飛び降りるのではなく、サンタンジェロ城先端の天使像の上で十字をかざすというシーンで終わっている。ちょっと中途半端ではないだろうか。演出としては難しいところだろうが、ぜひとも飛び降りて欲しかった。