Good as I Been to You / World Gone Wrong2016/06/07 21:25

 先日、テレビでNHK交響楽団を見ていたら、フランク・シナトラが出てきた。「シナトラは好きじゃない!」などと暴言を吐いた手前、ビクっとした。
 指揮のレナード・ストラッキンの両親はシナトラの友人だったとのことで、子供のころシナトラ「おじさん」と呼び、よく子守歌を歌ってもらったとのこと。

 ディラン様はディラン様自作の曲を歌ってこそのディラン様だ!などと言ったら、自己矛盾に陥った。全てカバー曲であるアルバム,[Good as I Been to You] と [World Gone Wrong] はどうなのかという問題だ。
 1992年,1993年に発表された両アルバムは、トラディショナル・フォーク,ブルースなどのカバーアルバムで、ディランのオリジナル楽曲は収録されていない。
 あらためてこの二作を聞いてみた。

 結論は、大好きなディランのアルバムだということ。
 どの曲もディランの身体のような一体感で、自然に耳に入り、染み渡ってくる。
 簡単な話で、そもそもレコード・デビューした頃のディランが、このトラディショナル・ソングのスタイルだったので、デビュー当時のアルバムが好きなら、[Good as I Been to You] と [World Gone Wrong] も好きだと言うのが自然なのだろう。
 もう一つはっきりしているのが、ディラン様がカバーをするのは好きだが、シナトラは好きでは無いという事らしい。

 この二作品は、私がディラン・ファンになる前に発表されているアルバムだ。長いディランのキャリアの一部として捉えており、全く違和感なく受け入れていた。
 それ以前からのディランのファンたちは、この二作品をどう受け取ったのだろうか。今、シナトラにうんざりしている私のように、「カバーなんて」とうんざりしていたのだろうか。
 ともあれ、1990年代初頭のディランの「カバー・ブーム」は、二作品で終わった。今回の「シナトラ・ブーム」も二作品で終わるだろうか。

  [World Gone Wrong] 収録の "Blood in My Eyes" にはミュージック・ビデオがある。かなり好き。



 要するに、トップハットを被っているのが好きなんじゃないかと言われると、否定できない。