I Need You2015/08/10 21:12

 ロジャー・マッグインによる "If I Needed Someone" を聴いていて、ビートルズ前半期のジョージの曲や、そのカバーも良いものだと、改めて思った。
 [Concert for George] で演奏されたジョージの曲で、もっとも制作年代が古い曲 、ものは、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが演奏した、"I Need You" だった。まずは、ビートルズのオリジナルから。



 そもそも、私が最初にビートルズの四人のなかで一番ジョージが好きだと自覚するきっかけになった曲だ。大学の映像資料室で、映画[Help!]を何回目か見ていたとき。ふとこの曲のシーンで、ジョージが一番格好良い事に気付いたのだ。寒そうな草原の真ん中で、時々空を見上げながら歌うジョージの格好良さにすっかり魅了されてしまった。
 なんでも、イントロから出てくる、特徴的なギター・サウンドはヴァイオリン奏法と言うそうだ。弦に触れる一瞬 ― アタック音をペダルで消し、音をフワッと置くような効果をもたらしている。
 ソング・ライティング的には、まだジョージ独特の ― コード進行や、ディラン風の歌詞と口調、リズム、スライドギターなどの見られない、レノン=マッカートニー的、素直な音楽。これはこれで素朴な美しさがあって、とても好きだ。
 いかにもビートルズの曲らしいのは、軽快なリズムギターと、やり過ぎないけど美しいコーラス、そしてブリッジ最後の部分に登場する " I just can't go on anymore" で、"Just" に独特のアクセントをつけ、最高音をちょっとだけ上ずらせる感じが、なんとも素晴らしい。

 TP&HBが、[Concert for George] で演奏したときの模様がこちら。



 トムさんのお肌の調子と髪型はイケてないが、演奏そのものはとても感動的。
 テンポを少し落とし、淡々としているが、そのシンプルさが曲の美しさを引き立てている。特に歌詞の内容のこともあり、亡きジョージへの愛惜の思いが滲み出ていて、ちょっと涙腺にくる。最後の方で視線を上にやり、演奏後にちょっとうつむくトムさんの表情も胸にせまる物がある。
 ビートルズのオリジナルはギター,ドラム,ベースにヴォーカルというシンプルな編成だが、TP&HBはそこにベンモントのピアノが入る。あまり目立つ演奏ではないが、絶妙に鳴り響くピアノがキラキラと輝いている。

 他のカバーでは、ザ・ウェッブ・シスターズのバージョンが良い。



 美しいコーラスが、明るく、突き抜けた展開に持っていく。切ないけど、ひたすらみずみずサウンドが心地よい。オリジナルの良さを非常に深く理解した上で作りあげられた、素晴らしい作品だ。

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