The Lost 1986 TP / MC Interview2015/07/13 20:56

 Something ELSE という音楽情報サイトに、1986年のトム・ペティと、マイク・キャンベルのインタビューが掲載された。
 なんでも、ビル・デヤングという人が1986年7月16日にニューヨークのトムさんの部屋でインタビューしたもので、部分的に引用した以外は、お蔵入りしていたとのこと。このたび、靴箱にしまっていたのを引っ張り出したそうだ。

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが、ボブ・ディランとツアーを始めた頃であり、ニュー・アルバムの準備もしていたという。その新譜というのは、後に [Let Me Up (I've Had Enough)] となる。

What About Bob Dylan?: The Lost 1986 Tom Petty / Mike Campbell Interview

 詳しくは読んでいただくとして…やっぱり一番印象的なのはこの写真!



 何か…飲んでるね?
 この二人の、こういうショットは意外に少ない。まぁ…比較対象にするミックとキースがベタベタし過ぎなんだけど。まぁいいや。35,36歳のトムさんとマイク。可愛い。

 インタビューでは、当初、新譜はダブル・アルバムになるほどの曲数があったとのこと。
 ディラン様との共作である "Got My Mind Made Up" にも言及している。
 マイクが「リビアの下りは、ボブが書いたんだ」というと、すかさずトムさんが
 「リビアは俺が書いたんだよ。」
 「そうだったの?」
 うふふふ。

 インタビュアーが「ボブ・ディランだって、あなただって、不出来な曲を作るころもあるだろう」と水を向けると、マイクがすかさず「ぼくはまずい曲なんて書いたことないね!」とひとこと。
 トムさんがこう続ける。「まぁ、誰になって不出来なことはあるものさ。ルートヴィッヒ・ヴァンにだって調子っぱずれな曲だってあるし、レノンだってしかりだ。」
 ここでちょっと考えてしまった。レノンはもちろん、ジョン・レノン。「ルートヴィッヒ・ヴァン」にはすぐ思い当たる人がいるが、まさかそうではあるまいと思って、検索したのだが…どうやら本当にベートーヴェンのことらしい。このベートーヴェンのことを、「ルートヴィッヒ・ヴァン」というのは、アメリカではポピュラーなのだろうか?

 インタビューの最後の方では、ボブ・ディランからの影響について質問されている。
 曰く、「ディランの slash-and-burn 的なアプローチ ― 『やれ、やってみよう』という手法は、影響していますか?」
 この "slash-and-burn" というのは「焼き畑農業」の事で、「あとは野となれ山となれ」という意味合いもあるらしい。ここでは、ディランの唐突な思いつき,もしくは気まぐれを、いきなり形にしてみる音楽手法のことを表現している。

 それにトムさんが答えている。
 「判断を下すには早すぎるな。1年もすればわかると思うよ。ボブと1年一緒に回る予定だからね。ぼくはむしろ、彼がぼくらに影響するよりも、ぼくらが彼に影響を与えていると思うな。たとえ思いつきでも、やってみたら上手く行くのだから。本当にすごいバンドなんだ。ずっと良くなり続けている。(以下略)」
 トムさんがハートブレイカーズのすごさを熱く語ると、マイクがつけたす。
   「ボブのために弁護すると、それ(ハートブレイカーズのすごさ)も、ぼくらがボブから学んだ結果だよ。」

 基本的に、トムさんが長々と語り、マイクが一言付け加える感じ。
 最近は二人とも単独インタビューばかりで、こういう二人同席のインタビューが見られない。マイクが一人でたくさん語ってくれるのも面白いが、最高のパートナーである今のふたりが同席して、コメントするのも見てみたいものだ。