Holding the Keys2015/01/04 21:47

 Rolling Stone Magazine のトム・ペティ・スペシャル・コレクターズ・エディション、お次はベンモント・テンチのインタビュー。これまた2014年になってからのインタビューとお見受けする。



 いつものことながら、初めてトム・ペティと出会った時の事を訊かれている。

 たしか、ぼくが12歳の頃だったと思う。ゲインズビルの地元楽器店に行ったとき、15歳くらいの少年たちがたむろしていた。いわゆる問題児たちだけど、その中の一人が、金髪だった。それがトムだった。

 やっぱり金髪は印象的らしい。トムさんの方は、そのときベンモントに声を掛けて、その Benmont という変わった名前を記憶している。
 その後、ニューイングランドのお坊っちゃま学校,ニューオーリンズの大学へと進んだベンモントは、帰省するたびにトムさんやマイクのバンド、マッドクラッチと共演するようになる。

 ある晩、ぼくは悪あがきとでも言うべきか、ライブ終わりのバーで午前2時、勉強をしていた。するとトムがぼくを呼びつけた。「何やってるんだ?」だから答えた。「経済学最終試験の詰め込み。」すると、トムが言った。「ばかじゃねぇの?」結局、学期終わりにはもう、学校には戻らなかった。
(あなたの決断に関して、ご両親はどうお考えでしたか?)
 ぼくが思い切って打ち明ける前に、察知していたよ。父はぼくを居間に立たせ、母もすごく心配していた。トムが父に言ったんだ。「いいですか、ベンモントにチャンスを下さい。ぼくらはここでは上手くいっているのだから。もし、上手く行かなくなったら、大学に戻ることだって出来る。」
 父はとても好意的だった。父はごまかしが利くような人ではないんだ。判事だったから、とても頭が良く、真面目な人だった。トムが父を説得しおおせたのは、大したもんだよ。


 この後、早いうちからトムさんの作曲能力に気付いていたことや、ハウイが加わってまた良くなったことが語られる。そして、MTVの登場については…

 半分くらいの人は、これぞ1980年代って思うだろう。ぼくは、「なんだよこれ、参ったな」って感じだった。ちょっと一線引いていて、当惑もした。でもまぁ、楽しくもあったかな。カメラの前に立ってしっくりきたことは無い。「ぼくはピアノ・プレイヤーなんだけどな」って思っていた。「テープを回せ」って声がすると、ぼくは緊張して、それを自覚していた。ビデオは音楽の売り上げに大きく影響した。でも、ビデオ制作のプロセスを楽しめなかったのはまずかったな。

 カメラの前での演技が苦手とのことだが、どうしてどうして、中々の名優ぶりだと思うのだが。"You Got Lucky" とか。

次に、お決まりの質問。トムさんがソロ作品を作ることになったとき、どう思ったかについては、こう答えている。

 頭に来たし、同時に傷つきもした。トムがバンドを解散させてしまうのではないかとも心配したよ。当時、バンド内でいろいろ衝突があったからね。誰かが駄目にしてしまうという訳じゃなかったけど、トムとスタンには意見の相違があった。スタンはバンドをやめるか、クビになるかしそうだったけど、1週間以内には戻ってきた。スタンはいつもトムがソロになっちゃうんじゃないかと気にしていた。もしくは、マイクとだけ一緒にどうかするんじゃないかって。だから実際そうなったときの気持ちは言わずもがなさ。
 あのとき、結局ぼくも同じような気持ちだった。最初、ハートブレイカーズのレコードを作るのだと思っていたんだよ。だから録音が始まる1週間くらい前の見当をつけて、クルーのリーダーに電話して、いつ加われば良いか尋ねたんだ。するとクルーは、「えーあー…その…」と、さんざん言いにくそうにためらった挙げ句、実はソロなんだと言った。誰も知らなかったんだよ。
 まぁ、これは状況の一面でしかない。一方で、ぼくはすっかりコカインとアルコールにはまってしまっていた。すっかりハイで、ドラッグとアルコール問題にもはまり込んでいたんだ。だからジェフ・リンには感謝だな。[Full Moon Fever] でやることは無かったから、リハビリに行くことが出来た。それで命が助かったようなものだ。第一さ、ぼくだってずっとセッション活動をしていたんだ。トムがそれをやって楽しんじゃいけないなんてこと、あるはずないよね。


 スタンにしろ、ベンモントにしろ、とにかくハートブレイカーズというバンドにこだわりがあったのだということが良く分かる。そしてハートブレイカーズの特徴だと思うが、トムさんが一人きりで行ってしまうということは、あまり想像していないらしい。何がどうであれ、マイクは一緒だろうということ。
 普通、バンドが解散という騒ぎというと、バンドのメインとなる二人が仲違いするとか、方向性が合わなくなるとか、そういうケースが多いと思うのだが、ハートブレイカーズは違う。トムさんはマイクとは絶対離れない。逆に言うと、この二人が一緒である以上、ハートブレイカーズが解散する理由もないわけ。
 今となっては、もう誰も心配しないのだろう。

 この後は、スタンが離脱し、デイヴ・グロールが参加したときの話、2012年のビーコンでのライブのこと、これからの活動として、マッドクラッチも好きなのでやりたいなどとコメントしている。
 私としては、もっとピアニストとしてのベンモントにフォーカスしてほしかったかな。好きな音楽とか、ピアノと言えばクラシックなどはどうかなとか。一度、バッハやベートーヴェンはどうかと訊いてみたいものだ。特にバッハなんて、グールドのファンなのじゃないかとも思うのだ。

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