Jimmy Kimmel Live2014/08/02 21:48

 いよいよトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのツアーが始まるが、その前にテレビ番組に出演した。
 Jimmy Kimmel Live で、"American Dream Plan B", "Forgotten Man", "U Get Me High" を聞かせてくれた。







 いずれも、アルバム収録とほぼ同じ演奏。
 一番印象的なのは、トムさんの固さ。やっぱりライブで披露するのはほぼ初めてだろうから、固くもなるというものだろう。"American Dream Plan B" のサビはもっと開放的に、はじけても良いはず。ツアーが始まれば、どんどんこなれて行くことだろう。
  "U Get Me High" の最初のギターソロが、トムさんとは知らなかった。もっとたっぷり弾いても良いのではないだろうか。

 バンドワークは相変わらずの安定感。マイクには固くなるという言葉があるのだろうか?すっかりこなれたもので、ぐんぐん引っぱってくれる。
 スコットのプレイでは、やはり "Forgatton Man" でのアコースティック・ギター・ワークでの貢献が特筆されるだろう。

 そして大事な、ルックスチェック!要するにトムさんとマイクのチェックなのだが…

 トムさん、今回はその髪型で行くのか。うーん。そうね… [The Last DJ] の時ほどはまずくないけど… [MOJO] の時の方が断然良いなぁ。多分、耳の下、耳より前にかかる髪が長すぎる。あそこは段を入れて軽くした方が良いと思う。髪型の下半分が重くなってしまうのよね。
 レイバンのサングラスをかけたままだったのは、残念。あの魅惑のブルーグレーの瞳が見えないではないか!ライブの時はいつも外しているので、そちらに期待している。
 あのミリタリーっぽいジャケット?シャツ?で、ダメージデニム…そうねぇ。ちょっとカジュアル過ぎるかなぁ。スコットやベンモントみたいにスーツの方が良いと思うけど。変な柄のストールもイマイチ。
 うーん、スーツに帽子とか、ベンモントに倣う方が良いと思う。

 マイク…その変なシャツは…初めて見るかも。大抵のシャツは変だけど、今回のコレは輪を掛けて変。どこで売っているわけ?赤に…アニマル柄なの?
 サングラスを下げてかけて格好つけているけど、すぐに押し上げちゃったり。あのドレッドヘアももう10年以上か。今回は長めで行く模様。

 演奏以外にも、ジミー・キメルとのトークもある。



 LPを取り出した時、手を添えるトムさん可愛い。サイド3までしかないので、サイド4には、"Side 4 is etched with artwork inspired by the album cover" なるものがデザインされているそうだが…
 「自分でやったの?」と訊かれて、「いや」との返事。何か面白いこと言えば良いのに。
 「自分はプレイするだけ」そうだね。

 新譜も出た、テレビにも出た。さぁ、いよいよツアー開始。素晴らしいツアーを期待している。

Tom Petty & Steve Winwood Kick Off Their Summer 2014 Tour2014/08/05 21:38

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのツアーが日曜日のサンディエゴからスタートした。セットリストは以下の通り。

So You Want to Be a Rock 'n' Roll Star
Mary Jane's Last Dance
American Dream Plan B
Into the Great Wide Open
Forgotten Man
I Won't Back Down
Free Fallin'
Spike
Tweeter and the Monkey Man
U Get Me High
Rebels
To Find a Friend
Willin'
Learning to Fly
Shadow People
I Should Have Known It
Refugee
Runnin' Down a Dream
You Wreck Me
American Girl

 最後の2曲はアンコール。
 おおよそ、去年のツアーでのセットリストに、新譜からの4曲を入れ込んだ感じだろうか。私は去年のライブを見ていないので、この傾向は嬉しい。定番のお馴染み曲もほぼ網羅しているし、素敵なカバー曲もある。個人的には、"I Should Have Known It" があるのが嬉しい。
 トムさんはインタビューで、ライブごとに数曲入れ替えたいと言っていたが、さてどうなるだろうか。

 一方、前座を務めるスティーヴ・ウィンウッドのセットリストはこちら。

I'm a Man
Fly
Can't Find My Way Home
Medicated Goo
Empty Pages
Low Spark of High Heeled Boys
Higher Love
Dear Mr. Fantasy
Gimme Some Lovin'

 どうやら、ハートブレイカーズとの共演はなかった模様。どうも、次のライブが遠方だとハートブレイカーズとの共演を待たずに荷造りして、ウィンウッドご一行様は先発する…というウワサを聞いたような、聞かないような…確かに、2008年のツアーでも、ニューヨークでは共演し、ニュージャージーでは共演しなかった。
 今回のツアーではどうだろうか。ぜひとも共演してほしいのだが。

 さて、トムさんのお召し物は?



 これ、何色なんだろう?ピンク?紫?新調したのだろうか?以前にも着ていただろうか?意外に悪くない。…マイクも、そういう形でグレーの一張羅持っていなかったっけ?
 マイクのジャケットは縞模様が変。こういうアメフラシ(ウミウシ?)いなかったっけ?
 ちなみに、ウィンウッドはもみあげニール・ヤング化が進んでいる。
 ほかの写真はこちらのサイトで見られる。

Tom Petty & Steve Winwood Kick Off Their Summer 2014 Tour

 いよいよ始まった夏のツアー。体調に気をつけて、最後まで頑張ってほしい。

Tom Petty Scores First No. 1 Album On Billboard 2002014/08/08 21:56

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの新譜 [Hypnotic Eye] が、8月9日付けのアメリカおよびカナダのビルボードで初登場1位を記録した。
 ハートブレイカーズの、そしてトム・ペティのソロも含めて、1位というのは、初めてだそうだ。おめでとう!



 とは言え、これが「快挙」という感じはあまりしない。1位になっても不思議ではない、むしろ当然であり、今まで何度でも1位になっていないのが不思議なくらいのバンドだからだ。
 彼らは一時の爆発的な売り上げよりも、長い期間で愛されるロック・バンドであり、チャートがどうこういう感覚を、私が持っていない。
 今回の場合、この夏のライブツアーチケットを購入した人にはアルバムダウンロードの特典があり、これらも売り上げとしてカウントされているそうだ。これは影響が大きいだろう。

 我ながらびっくりなのは、私がビルボードで1位を取ったアルバムを、発売初日に入手していることが、初めてだということ。しかも、一緒に購入した、J.J.ケールのトリビュート・アルバムも2位に入っている。ビルボードの1位,2位を揃って発売と同時に購入するだなんて、二度とないだろう。もっとも、ケール・トリビュートはまだ聞いていないのだが…。発売以来、ディラン様ラジオを覗いては、[Hypnotic Eye] しか聞いていない…
 トム・ペティとしては、ビルボード1位,2位両方に関わっており、こんなことも今後あるだろうか。



 トムさんが初めて1位を記録するということを報じたビルボードのニュースには、ビルボードに初登場してから37年たっての1位獲得は、その年数において一番長いわけではないという話が出ていた。
 初登場からもっとも時間がかかって1位を獲得してのは、トニー・ベネット。2011年に [Duets II] で、初登場から54年目にして初めて1位を獲得したそうだ。

 ハートブレイカーズにしろ、トニー・ベネットにしろ、息が長く、多くの人に愛されているからこその記録だろう。それと同時に、新たなファン獲得にもつながる。そう言う意味では、やはり今回の1位獲得は喜ぶべきことだ。
 これを機会に、ハートブレイカーズを好きなる人がたくさんできると良いし、友達に勧めてみるのも良いだろう。

Hector the Hero / Laird of Drumblaire2014/08/11 21:51

 いつもお世話になっている、日本におけるトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ・ファンのコミュニティ,ハートブレイカーズ・ジャパン・パーティが、昨日新譜 [Hypnotic Eye] のリスニング・パーティを開催した。
 新旧とりどりの楽しい仲間との集いには出席するのが常だが、昨日はどうしても都合が悪く、二次会からの参加となった。

 その都合というのは、半年に一度のアイリッシュ・パブにおけるセッション。今回は、私のリクエストであり、ソロも吹く曲があったため、どうしても外せなかったのだ。

 今回の挑戦曲は、いつものようにアイリッシュ・トラッド・バンドの雄ザ・ボシー・バンドの曲。"Hector the Hero" と、"Laird of Drumblaire"。
 前半はスロー・テンポのエアーで、2分30秒くらいからダンスのセットになる。ダンスに入ってからリズムとテンポがガラリとかわるところが格好良い。



 前半の "Hector the Hero" のへクターとは、19世紀後半に活躍した実在の将軍ヘクター・マクドナルドのこと。アフリカやボーア戦争などで活躍したいわば「英雄」だったのだが、当時市民権を得ていなかった同性愛者であるとの評判が立った末に自殺した、いわば悲劇の主である。
 作曲者のジェイムズ・スコット・スキナーはフィドラーであり、マクドナルドの友人でもあったという。

 一方、後半のダンス "Laird of Drumblaire" は、「Drumblaireの地主」程度の意味だ。もともとはスコットランドのダンス、ストラスペイ Strathspey で、アイルランドのホーンパイプよりも、さらに長閑な雰囲気。8分の6拍子でお気楽に流れる。
 ボシー・バンドの演奏の優れているところは、この長閑なストラスペイをそのまま4分の4拍子の早いダンス・リールにしたところだ。4分4秒のところが、その境目だ。しかも、最後の繰り返しではストラスペイで聞かれた三連符をリールのテンポに当てはめている。
 あまりにも格好良いのでやってみたくなり、私が吹くティン・ホイッスル用にD-durにした。実のところ、この曲もフィドル向きで、指使いはホイッスル向きではなく、べらぼうに難しい。

 ともあれ、どうせ私の曲なので、一緒に演奏して下さるフィドラーさんたちには、「ゆっくりめで」とお願いしたのだが…
 実際には、この世のものとは思えない、凄まじい、吹っ飛びそうな、しまいには空でも飛びそうな超高速で演奏することになった。

 死ぬかと思った…

 しかも、雰囲気的に、最後の1回ではウルトラ超高速三連符をプレイしないわけにはいかない!という凄いことになって、曲が終わったときはもう大爆笑だった。絶対に、ボシー・バンドよりも早かった!
 録音していたのであとで聞いてみたのだが…まぁ、我ながらよく吹いていると思った。自分の演奏でそんな風にはあまり思わないものだが、今回はさすがによくついて行っていると思った。
 やはりケルティックのダンス・チューンは、格好良いテンポで格好良く演奏するからこそ、格好良いのだ。これに懲りず、また何か格好良さそうなものを見繕って吹くことにしよう。

Hard Rain2014/08/14 07:00

 先日の、[Hypnotic Eye] リスニング・パーティー(二次会)で、ディラン好きな参加者さんと色々話した。このハートブレイカーズ・ファン・コミュニティの良いところは、ハートブレイカーズ以外の好きな音楽についても(音楽でくても)気軽に、楽しく話せる仲間が集うところだ。

 話題の中に、何度か [Hard Rain] が出てきた。曲名ではなく、1976年のライブアルバムの方。
 先月の発売来、[Hypnotic Eye] しか聞いて居らず、そろそろ何か別のものを聞こうと思うのだが、何を聞けば良いのかと考えていたところで、これは良いきっかけだとばかりに、[Hard Rain] を聞いている。



 ディランのライブ・アルバムの中でも、とりわけ好きなのが、この[Hard Rain]。
 今は2002年に発売されたブートレグシリーズ Vol.5:Rolling Thunder Revue があるので、ちょっと微妙な立場に立たされているアルバムだが、私にとっては、Vol.5 では補えない良さが詰まっている。
 もちろん収録曲目が違うというのもあるが、[Hard Rain] の短さ、コンパクトさ、熱を押し込めた感じが、Vol.5 の方にはない。ライブ・アルバムという体裁において、曲目が多ければ良い、ライブを完全収録すれば良いというわけではないと、この [Hard Rain] は実感させられる。

 録音媒体として売るとき、録音媒体としての作品とするとき、大事なのは完全な網羅性なのか?曲数の多さなのか?私にはそうは思えない。ライブというものは、やはりライブ会場その場にいることにまず価値がある。ライブ・アルバムはライブの再現も一つの目的ではあるが、それとはまた別の作品としての出来の良さ、形もある程度追求しても良いのではないだろうか。
 クラシックの世界では、「伝説の演奏会」の「完全収録」と称して、指揮者が入場する足音、観客のくしゃみ、咳ばらいなどなど、そういうものも有り難く収録していることを謳っているものもあるが、これは私の理解を超えている。
 おそらく、私のこの意見は少数派だろう。私が多少なりとも演奏する機会のある人間であり、常にその演奏に対して失望しているということも影響しているかも知れない。

 ともあれ、[Hard Rain] は最初から最後まで大好き。
 あのバタバタした、それでいて勢いがあって、ぶっきらぼうで、情熱的なアレンジが、どの曲にもよく合っている。原曲の雰囲気から遠く離れてはいても、このライブバージョンの方が好きだという曲も多い。
 冒頭の "Maggie's Farm" からもう完全にやられたという感じだし、"One Too Many Morning" はこのハードなバージョンが一番好きだったりする。"Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again" の格好良さは言うに及ばないだろう。あのドラムの威勢の良さ、テンションの高さ、ロックの生き生きとした疾走感 ― 大好きな、ロックのディラン。

 これからディランを聞こうという方は、ブートレグシリーズのVol.5 も良いが、ぜひとも [Hard Rain] も欠かさずに観賞して欲しいものだ。

Gone Troppo2014/08/17 19:47

 高原の町に行っており、今日かえってきた。最近は高原の町も暑くなってきた。それでも首都圏よりは当然涼しい。
 子供の頃から、夏の休みには涼しいところに行くことがほとんどで、暑いところ、海のレジャーには縁がないし、行きたいという気持ちもあまりない。ウクレレは弾くが、ハワイアンには興味がない。

 ジョージ・ハリスンはハワイに別荘を持っており、よく滞在していた。トム・ペティが言うには、クリスマスにイングランドからLAに来ると、家族でトムさんの家に滞在し、やがてハワイへ行くのだという。
 フライヤー・パークの自宅に暴漢が侵入し、ジョージが負傷し、その暴漢はオリヴィアに退治されたのは、大晦日だった。あのときはイングランドに居たということになる。

 ともあれ、ジョージとハワイ。音楽となると。もちろん、登場するのは "Gone Troppo"。



 何と言っても、パーカッションの巧みさが際立つ。マリンバのカラフルで晴れやかなサウンドが、軽やかな曲をさらに鮮やかにしている。ドラムスチールは使っているのだろうか?そこは定かではない。
 ドラムスにアクセントをつける、「缶」を叩くような音は、何だろう。パーカッションに強くはないので、これの音が分からない。
 ギター・ソロになると少しテンポがアップする感じの思い切りが良い。

 楽器の使い方もさることながら、ジョージのヴォーカルも絶好調。いかにもワーナー時代というジョージの軽やかで、それでいて力強い。エンディングで "Hoo hoo !" と弾けるところが最高。

 アルバム [Gone troppo] は当時の評判が悪く、売り上げも芳しくなかったそうだが、私は最初に聞いたときから大好きなアルバムだ。そもそも、私はワーナー時代のジョージが大好きなのだ。
 きたるジョージの "Apple" アルバムも楽しみではあるが、これをきっかけにワーナー時代のジョージが多くの人の手に取られると嬉しい。

The Breeze: An Appreciation of JJ Cale2014/08/20 20:31

 すっかり聞く機会を逸していたが、やっと [The Breeze: An Appreciation of JJ Cale] を聞いた。

 ええと。
 イマイチ。
 すいません。イマイチ。

 去年、JJケールが亡くなったときの記事で、私は「特に彼のファンという訳ではないが、彼のカバーや、彼の影響を大きく受けた音楽も聴いている。(中略)彼の存在のおかげで、ロックの表現力はさらに広がったと言えるだろう。」と書いている。
 要するに、私はケールのファンではない。技術的、表現力的には凄いと思うが、私の愛好するポップス,ロックの人ではない。上手すぎるというか、繊細でジャジー過ぎるというか。
 ケールのファンではないし、さらに最近のクラプトンが好きではない。…上手いのだが、強さがない、インパクトがない、フラットでなんとなくつまらない。

 ではどうして買ったのかと言えば、もちろんトム・ペティがヴォーカルで参加しているから。
 そのトムさんがイマイチ。
 トムさんの評価として私が「イマイチ」というのは非常に珍しいだろう。でも、本当にイマイチ。"Rock and Roll Records" でクラプトンと一緒に歌っているはずだが、どこに居るのか皆目分からない。あの凄い声のはずが存在感薄いという、こはいかに。
 "I Got the Same Old Blues" でも状況は同じ。一応、ヴァースでヴォーカルを入れ替わっているのだが、いつもの存在感たっぷりのトムさんが行方不明。
 さらに、"The Old Man and Me" はトムさんひとりで歌っているのだが…借りてきた猫。モソモソ囁いているのは、本当にトムさんか?!

 トムさんファンとしては、これぞまさに肩すかし。別に買わなくても良いのではないかとさえ思う。
 結論。やっぱりトム・ペティはハートブレイカーズの一員なのだ。
 もちろんソロ・アルバムもあるが、マイク・キャンベルとは決して離れない。マイクさえ居ればトムさんはトムさんであり続けるようだが、マイク不在だとこうなる…らしい。
 どうしてマイクも一緒に参加しなかったのだろうか。マイクも入ると、このアルバムの中では良くも悪くも突出したサウンドになるからだろうか。

 もの凄く消化不良なので、1999年ハートブレイカーズの "Call Me the Breeze"。



 これが良すぎるのだ。ご両人のシャツは変だが、これが良すぎる。
 ハウイのヴォーカルがずっとトムさんに寄り添っているのがまず最高だし。マイクも控えめながら切れがある。何と言ってもベンモントのピアノ・ソロが凄い。とどめに、コーダでトムさんとマイクが息ぴったりソロを入れるのだから、もうにやけるしかない。
 たしかに、あのクラプトンのアルバムにこのバンドが入っても、浮くだけだろうな。

Broadway Musical2014/08/23 20:16

 基本的に、ミュージカルというものに興味がない。
 オペラは好きなものもあるのに、どうしてミュージカルとなると興味が湧かないのかはよくわからないが ― 
 たぶん、ストレート・プレイに異常なテンションの高さを練り込んだところに、一種の気恥ずかしさを感じるのだと思う。オペラは、最初から大仰なクラシック音楽の枠内だし、テンションもそれほど高くないとおもっている。

 前回、ミュージカルに詳しいKさんとニューヨークに行ったとき、彼女に勧められてブロードウェイ・ミュージカルを見ることにした。Kさん曰く、どんなジャンルでも、世界一のレベルの作品には説得力があるとのこと。
 確かにそれはそうだと思い、王道ミュージカルとでも言うべき、[Mary Poppins] を見た。



 Kさんの言うことは本当だった。世界一レベルのミュージカルは、私にも楽しめた。歌と踊りの上手さは、半端なく、圧倒的。
 曲の出来の良さも重要だ。元になったディスニー映画からして、名曲の多い作品なので、そこは保証済み。
 Kさんが言うには、これが世界で最高レベルのパフォーマンスであり、東京など、他の都市では見ることが出来ないから、そのつもりでとのこと。だから、ニューヨーク以外では相変わらず、ミュージカル門外漢でいる。

 さて、来月。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのライブを見るために、ニューヨークへ行く。ライブは1回だけの観戦なので、他にもエンターテインメント系の計画を立て、ミュージカルを見ることにした。
 演目は完全に私の趣味で即決。[Motown: the Musical] これしかない!



 モータウン・レーベルの創始者であり、レーベルを大成功に導いたベリー・ゴーティの自画自賛物語。現実はそれほど脳天気なものでもなさそうだが、これはお芝居なので、作り事の世界を楽しまなければ損だろう。
 もちろん、若い頃の本物のモータウン・スター達にはかなうまいが、そこはブロードウェイのこと。かなりクオリティの高いパフォーマンスで楽しませてくれそうだ。

 ラント・フォンテーン劇場で公演が始まったのは2013年4月。この年のトニー賞でもパフォーマンスを披露している。これはテンションが上がる!どうせならダイアナ・ロスの人にも歌って欲しかったなぁ。



I'm a Man2014/08/26 23:00

 今回、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズを見に行くとなると、もれなく、素晴らしいかな前座でスティーヴ・ウィンウッドを見ることができる。
 「スペシャル・ゲスト」とは言え、要するに前座なのだが、それでこのロック・レジェンドを拝めるのだから有り難い。私がウィンウッドを見るのは、2008年同じくハートブレイカーズの前座として、そして2012年ロンドンはロイヤル・アルバート・ホールで、これこそ本当に「スペシャル・ゲスト」として、ハートブレイカーズと共演したとき以来だ。

 セットリストを見たとき、最初に "I'm a Man" があった。ウィンウッドをよく知っているわけではないが、彼のソロと所属していたバンドのCDはいくつか持っている。その中で一番くらいに好きなのが、 "I'm a Man"。スペンサー・デイヴィス・グループだったときの曲だ。1966と言うから、ウィンウッド19歳。



 当時のライブ映像などもあるのだが、どれもなんだかイマイチ。このスタジオ録音版がやはり最高。
 まず曲の出来が良い。熱にうかされたような、前のめりで、すこし不思議なコードに、パーカッションの多用が利いている。
 もちろん、ウィンウッドの飛び抜けた歌唱力が一番凄い。もっとも、彼を表現するときに時々使われる「黒人のように歌う」というのは、私にはよく分からない。非常にソウルフルで上手くはあるが…
 たとえば60年代華やかなりしころのモータウンのシンガーたちに比べると、力強く、華やかに突き抜ける感じはしない。どこか「上」に蓋があって、そこに叩きつけるような声質と歌い方。ミック・ジャガーとも、そこが共通していると思う。もっとも、この「ぶち当たる感じ」も決して悪い意味ではなく、それはそれでブリティッシュ・ロックっぽさがあってとても好きだ。

 ここ最近のウィンウッドによるライブ演奏の動画なども良く上がっているが、正直言ってあまり好きな編曲ではない。イントロが非常に長く、ジャズっぽい仕上がりになっている。
 ロックンロールが大好きな私は、あの短さ、短い時間に熱を凝縮する感じ、そして迸るように放出する音楽がが好きなので、あまりジャジーに流されるとだれてしまう。ハートブレイカーズの前座となると時間に制限があるだろうが、どういうアレンジなのだろうか。たしか、2008年はそれほど長々とした編曲ではなかったと思うのだが。

 むしろ、この1997年の方が私は好きだ。埋め込みコードがないので、リンクでどうぞ。

Steve Winwood - I'm a Man & Gimme Some Lovin'

 こちらはゴージャズなファンク調の仕上がり。ウィンウッドの声もさすがに力強い。オルガンを弾きながらしきりと後ろになにか訴えているが、あれはどうしたのだろう?
 続いて例の "Gimme Some Lovin'" が続く。こちらもファンキーで良い。

Day Tripper2014/08/29 23:29

 目下、ウクレレの課題曲は、"Day Tripper"。トム・ペティの "Alright for Now" の後、特に曲を決めていなかったのだが、なんとなく先生が "Day Tripper" の話題を出したので、やってみようということになった。

 例によって、編曲から自分でやってみた。これだけの有名曲なら、幾らでもウクレレ向けの編曲譜がありそうなものだが、だいたい Low G 指定で、私の楽器には合わない。こうなったら意地でも Low G は張らないと心に決めている。
 それに、編曲から自分でやった方が、自分に向いた仕上がりになるし、覚えやすい。ギター譜などを参照して調を決め、コードを確認し、適当にリフを作って、メロディを乗せる。分からないところを片っ端から先生に教えてもらい、なんとか形にはなった。
 作ってみると、これがかなり難しい曲に仕上がった。まず、何と言ってもある程度のテンポを保たないと様にならない。そして、あの印象的なリフを格好良く、まんべんなく弾かないと、間抜けなことになる。
 作ったは良いが、難しくて自分で弾けないという、どこかのクラシック作曲家のようなアリサマになっている。

 "Day Tripper" は、言うまでもなく1965年ビートルズのシングルである。まさに、名曲中の名曲。ジョンとポールの合作で、ヴォーカルも分け合っている。



 踊りまくるお姉さんたちに続いて登場するマッシュルームなビートルズ。もっとジョージを撮せ!…と思っていたら、最後の方に映った。最後のお辞儀が、ややいい加減なジョージ。"Ah..." のコーラスで立つジョージの声も良い。
 この記事を書くに当たって確認して、初めて知ったのが、ギターソロはジョンなのだそうだ。この動画の当てぶりでは、ジョージがやっているようだが。確かに、ジョージはこの曲の命であるリフ専念しているのだから、ジョンがソロで当然なのだろう。

 これだけの名曲となると、当然カバーも多い。ジミ・ヘンドリックスや、ELOなどもあって、それなりに格好良いが…。
 やはりヴォーカルが曲のパワーについて行っていない。ビートルズ最高の強みは、ヴォーカルとコーラスに説得力があるところだろう。
 ELOのイントロになぜチェロとヴァイオリンのアンサンブルがつくのか…あまり存在意義を感じないのだが。しかも、エレキの音が入るなり、この三人の音が恐ろしくいい加減になる。

 下手にいじくるよりも、チープ・トリックのように、ストレートに、爆発的にやってしまう方が、この曲は良いと思う。
 コーダで、"She Loves You" を一瞬さし込むところに、ビートルズへの愛情が感じられて凄く良い。

 それにしても、この曲はやはりテンポが命だと、色々なバージョンを聞いて思い知らされる。私のユークも、編曲だけして満足せずに、イン・テンポで弾けるようになると良いのだが。