The Rutles in Tokyo 20142014/06/06 21:52

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの新譜から、早速1曲聴けるようになっているのだが、何はともあれ先にラトルズの記事を書かなければならない。ハートブレイカーズはまた次回!

 さて、雨の6月5日,新宿BLAZE。集結したラトルマニアたち。前座のあとに登場した、ナスティとバリー、そしてサポートメンバー。ザ・ラトルズの登場だ。



 チケット販売当日に並んでくれたKさんのおかげで、最前列に陣取ることが出来た。
 いよいよ登場した伝説のラトルズ。リーダーのナスティ(ニール・イネスとも言う)は、白いゆったりした上下に、サンダルのリラックスモード。バリーは音符が赤く刺繍されたシャツが格好良い。

 最初から最後まで、お馴染みのラトルズナンバーの目白押しで、「聴きたかったのに聴けなかった曲」というものが皆無。それはそうだろう。ラトルズは全部で36曲ほどしかないのだから。
 "We've Arrived!" から始まって、"It's Looking Good", "Hold My Hand", "I Must Be in Love" などのイカしたロックンロールでいきなり会場は大盛り上がりの大合唱。
 そして、"Major Happy's Up and Coming Once Upon a Good Time Band" から続く3曲のメドレーを再現する。バンドメンバーは5人だけなのだが、キーボードの大活躍で大満足のボリューム感。
 時々、「スポンサーにもサービスしなきゃね!」というネタで、"Fiasco" を挟んでくる。この曲はラトルズではなく、ボンゾのものだ。



 驚いたのは、バリーの歌が上手なこと。オリジナルの録音よりもずっと上手になっているではないか。どうやらライブを続けて鍛えられたらしい。トークも好調。
 "With a Girl Like You" や、"Doubleback Alley" などのハートウォーミングな優しい演奏もじっくり聴かせてくれる。
 そして、やはりラトルズならではの、"Piggy in the Middle" や、"Shangri-La", "Cheese and Onions" のような壮大な演奏もじっくり味わえる。

 もの凄いと思ったのは、会場に集まったラトルズファンたちのノリの良い事。ほぼ最初から最後までノリノリで歌いまくっていた。この一体感は、去年のポールよりもっと凄い。
 みんな口々に「ナスティ!」や、「バリー!」と呼びかけては、伝説のロックバンド,ラトルズを堪能し、小ネタや、ジョークに大笑いしていた。

 いよいよアンコールとなったとき(面倒なのでいちいちバックステージには引っ込まない)、おもむろにニール・イネスが言った。
 「ラトルズというのは妙なもので…ようするに存在しないわけですよ。」
 でも、そのラトルズを生みだし、こんな素敵なライブで盛り上がることができたのは、ジョージ・ハリスンのおかげでもある。そこで、ジョージに捧げるべく、"All Things Must Pass" を演奏。ニールはウクレレだ。
 もう、ここで私は大号泣。気がつくと他にも泣いている人多数。すすり泣きが聞こえ、かすかに一緒に歌っている…。大袈裟なところのない、丁寧で、穏やかで、温かな名演奏だった。こればかりは、CFGのよりも良かった。

 ひとしきり感動すると、最後は "Let's Be Natural" と、"Back in '64" でしみじみとお別れをし、ラトルズのライブは終了した。
 はっきり言えば、去年の11月の東京でのポール、ロンドンでのディラン、今年の東京でのストーンズ,ディラン、それらのどれよりも、ラトルズのライブは楽しさも、満足感が上だった。

 ビートルズのファンで、ラトルズのファンではないというのは、損だと思う。
 亡くなったメンバーもあり、「ビートルズのライブ」というものは不可能だし、ポールやリンゴも彼らのソロ・ライブはやっても「ビートルズのライブ」はできない。
 その点、ラトルズはニール・イネスが居れば最初から最後まで、ラトルズの曲目白押しの、ラトルズファンのためのコンサートができる。これがどれほど幸せなことか!
 ビートルズのカバーバンドには到底及ばない「ビートルズ度」が、ラトルズにはある。限りなくビートルズに近く、ビートルズらしさを凝縮しつつも、別の曲を素晴らしく演奏してみせるラトルズ。今からでも遅くない、ビートルズが好きなら、聞いてみると良い。あのオシャレなジョークに波長さえ合えば、ラトルズのお得な楽しみが加わるだろう。

 ぜひ、もう一度来て下さい、ラトルズ!絶対見に行きます!いっそのこと、ハートブレイカーズの前座をやっても良いのだよ!いや、60年代の伝説のバンドだから、ハートブレイカーズが前座になるのか。