Time to Move On2013/10/11 22:09

 ディラン様ラジオこと、[Theme Time Radio Hour] 、今回のテーマは "Time"。時間を延長しての放送だった。アーマ・トーマスによる "Time is on my side" など、曲もよかったが、ディランの豆知識語りが楽しかった。
 特に、「ミュージシャンには、45分演奏したら15分の休憩をとる権利がある」という下り。「私のバンドのメンバーには黙っていて下さい(笑)」という笑いどころなのだが、これはディラン様自身にもあてはまることのはず。

 ピーター・バラカンさんの解説に続いて、ディラン自身の曲を流すのが通例なのだが、今回はなんと3曲も流してくれた。"Time" と言えば圧倒的に "The Times they are a-changin'" が有名だが、これは少し前に流したので避けた。流れたのは、"Tomorrow is long time", "Most the Time", "Pledging My Time" の3曲。
 私の好みとしては、先日発売になった "Another Self Portrait" からジョージとのデュエット,"Time Passes Slowly" だと嬉しかったのだが、またそのうち流す機会があるかも知れない。

 "Time"という言葉は、ありとあらゆる曲の詞やタイトルになっている。
 トム・ペティのソロ・アルバム [Wildflowers] には、2曲も "Time" という言葉の入った曲が収録されている。 "Time to Move on" と、"Wake up Time"。私は特に前者が好きだ。今は亡きマイケル・ケイマンのオーケストレーションとそのミックスも控えめで良い。



 ベンモントのピアノと、マイクのスライドギターが、ごくごく控えめなのに、美しくて、トムさんの声を包み込むよう。それでも軟弱さはなく、力強くて前向きな曲調。
 さらにこの曲の場合、歌詞の韻の踏み方が素晴らしい。

It's time to move on, time to get going
What lies ahead, I have no way of knowing
But under my feet, baby, grass is growing
It's time to move on, it's time to get going

Broken skyline, movin' through the airport
She's an honest defector
Conscientious objector
Now her own protector


 韻を踏むことについて、トムさん自身は [Conversations with Tom Petty]のパート2,[You're Gonna Get It! 1978] のところで、こう語っている。

韻を踏むためだからと言って、妥協はしたくなかった。場合によっては、韻を踏んでいないと、良い響きにならないこともあるけどね。とにかく、歌を歌うのにたくさんの韻を意識しなきゃならないなんてことになったら、それこそソングライターとしてはかなりの気苦労だ。つまるところ、言いたいことを歌うのに、さらに韻を踏むとなると、かなり難しいことになってしまう。

 このことに関して、ぼくはとても優秀な脚本家と話したことがある。脚本家っていうは、望むとおりのことを表現するのに、いくつもの段階を踏めるし、場面だって幾つも使える。
 一方ぼくはと言えば、与えられているのはせいぜい3分半。歌で物語を展開しようと思っても、3分半の展開しかない。そんなものだから、たった一つの言葉で、第二場に進んでしまうなんてことすらあるんだ(笑)。だからぼくにはそういう余裕はない。韻だのなんだのと、いろいろな条件を満たすのは、非常に困難だ。うまく韻を踏めれば嬉しいけど。
 とにかく、ぼくが何らかのことを表現したいと思ったら、韻を踏んでいようがいまいが、ぜんぜん気にしないし、言いたいことが表現できれば、それで良いのさ。
 もうちょっとで韻が踏めるなに、なんてときはイライラするな。他の人は、韻のことなんて気にしないんだろうけど。


 うまく韻を踏めれば嬉しいが、韻を優先といことはない…ということらしい。「韻を踏むかどうか気にしない他の人」はともかく、ディラン様などは韻を踏むのが大好きで、ディラン様ラジオでも "Theme Sheme Dream" といつも言っているし、そのバリエーションも様々。
 日本人である私は韻を踏んでいるかどうかは殆ど気にならないが、この "Time to Move on" に関しては、韻も込みで美しいと感じている。

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