John Lennon2012/12/08 23:00

 1980年の12月8日、ジョン・レノンが亡くなった。32年前の出来事で、私はそのニュースを記憶していない。
 12月8日と言っても、ジョンが亡くなったニューヨークが8日、しかもその日が終わろうとしていたタイミングで、世界の多くの地域はすでに9日になっていた。

 ジョン・レノンというミュージシャンは好きだ。何と言っても、ビートルズのメンバーである。彼のソロ活動も、もちろん有名で素晴らしいものだったが、私の中では、断然ビートルズ時代のジョンが魅力的だ。
 強いてジョンのソロ時代の作品で好きな物を挙げるとしたら、[Walls and Bridges]か、[Rock 'n' Roll]。明らかに「いかにも」なジョンのソロワークよりは、ビートルズ時代寄り。

 ビートルズ時代のジョンでは、どれが好きかと言えば、圧倒的に初期となる。あの歌唱力、作曲能力、作詞能力、文句のつけようがない。特に声に関しては、その後、ジョンは死ぬまであれほど素晴らしい歌声を聞かせることは無かったと思っている。
 そういう初期のジョンの歌声として一番有名なのは、"Twist and Shout"、それから「シャウト」という意味では、"Mr. Moonlight" を推したい。この曲は冒頭のジョンのシャウトで、その価値の殆どが定まっているのではないだろうか。



 それから、モータウンのカバーである、"Please Mr. Postman"。ウィキペディアによると、マーヴェレッツによるオリジナルは、モータウン・レーベルにとって初めてのビルボードNo.1 ヒットだったそうだ。それは縁起が良い。
 ちなみに、この曲の収録アルバムは、私が今のところ持っているマーヴェレッツ唯一のアルバムである。



 ビートルズがこの曲をカバーするに至ったのは、「EMIが、モータウンの英国内販売権を獲得したから」という、マーケティング的な事情もあったようだが、おそらくメンバーたちも好きな曲だったのだろう。
 パワフルでロックなのに、どこか切なくて胸が苦しくなるようなジョンの歌声に、寄り添うようなポールとジョージ、そして飽くまでもロックなビートルズ。これも名曲だと思う。



 中期ビートルズでは、"She Said, She Said" が好きだ。ビートルズで好きな曲を一つだけ挙げろと言われたら、この曲を挙げることにしている。
 イントロから全般にわたるギターの格好良さ、ジョンの声は言うに及ばず、息のぴったり合ったコーラス、複雑なのにキャッチーで美しい曲の構成。ドラムがまさにこだまするようで、ロックの持つ熱が圧縮されている。この曲の評価がいまいち高くないのは、私にとって大きな謎だ。
 どうやら、この曲の録音には、ポールが加わっていないらしい。その辺り、ポールファンの耳には響かないせいだろうか。初期ジョン・レノンの良さを残しつつ、中期ビートルズのカラフルで挑戦的で、格好良いところが上手く融合しているだけに、ポールの不在は残念だ。