Mr. Tambourine Man2012/10/30 21:37

 私にとっての新ジャンル、モータウンのアルバムは、コツコツと買っては、コツコツと聞いている。
 モータウンの中でも、私の重心は主に、60年代から70年代前半のスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ,スティーヴィー・ワンダー,ジャクソン・ファイブ、そしてマーヴィン・ゲイに置かれている。やはり、男声好きには変わりない。

 ロックとの違いとして驚いたのは、同一の曲を同時期に複数のモータウン・アーチストが歌っていること。
 いわゆる「カバー」とはちょっと違う。モータウンは、ソング・ライティングを担当する専門チームがあり(スモーキーや、スティーヴィーはこのチームの一員でもあった)、その作品をいろいろなアーチストが録音するのだ。
 その一方で、本当の意味でのカバーもある。当時、はやったロックなどもカバーしているのだが…さすがに、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの "Hey Jude" はちょっと違う。ロックはアーチスト当人が演奏するという要素の重さがやはり、違うのだろう。
 スティーヴィー・ワンダーの "Blowin' in the wind" も有名だが、私の感想はいまいち。ディランの原曲はまだ「フォーク」というカテゴリーの頃の作品だが、やはりロック寄りの性質があるのではないだろうか。

 そんな中、スティーヴィー・ワンダーの "Mr. Tambourine Man" は、なかなか良かった。タンバリンのリズムカルなイントロが、ストレートで良い。



 ディランの "Mr. Tambourine Man" オリジナルも、もちろん名作だが、やはりザ・バーズの演奏を聞いてしまうと、こちらの格好良さが圧倒的。



 そして、もちろん「ボブ・フェスト」での、ロジャー・マッグイン with TP&HB…最高!スタンや、ハウイの居る、一番好きな時代のハートブレイカーズ。
 イントロがマディソン・スクェア・ガーデンに鳴り響く瞬間は、60年代ロック黄金期から息づき続いた全ての時間が、一瞬に凝縮されたような感動がある。そして、私は特に、2分25秒くらいからが好き。さらに、必殺!トムさんウィンク!ズキューン!



 バーズによる "Mr. Tambourine Man" はとても有名だが、ウィキペディアによると、1965年だけでも、13ものカバーが発表されたそうだ。そういう時代とは言え、これは凄い。
 中には、こんな物もある。(フランキー・ヴァリ &)ザ・フォー・シーズンズ。これは何というか…彼ららしいと言えば、彼ららしいが、かなり脱力系。



 そういう物もあるのかと印象的だったのは、1984年の、ジーン・クラークによるカバー。20年後の元バーズ。全く異なるアプローチだが、とても感動的で良い出来のカバーだ。ちょっとアルバムを買おうかという気持ちにさせられる。