If I Needed Someone2011/10/16 21:58

 最近、ゴールデン・スモッグのアルバムを買ったので聴いている。こういうアコースティックの心地よさがロックにうまく溶け込んでいる格好良さを、再認識した。
 この手の格好良さは、ロックという音楽の成立過程を思えば当然だし、一方で60年代にロックが最高の隆盛を誇ったときに、フォークやブルース、カントリーというルーツの要素を強調した動きがあったことも、貢献している。
 その点において、ザ・バーズに代表される「フォーク・ロック」と呼ばれるジャンルは非常に重要なのだが、それをトップのトップに君臨するビートルズもまた、楽しくやってくれたことは、大きかった。
 中でも、ジョージの "If I Needed Someone" の存在は、その光彩と言っても良いだろう。



この曲は非常にビートルズ的。リッケンバッカーのキラキラしたサウンドに、美しいコーラス。簡潔な演奏だけど、一分の隙もない。

 カバーの一組目は、ホリーズ。



 このカバーはビートルズが公式に発表したすぐ後だそうだ。私はホリーズに詳しくないのだが、グレアム・ナッシュ在籍時なのだろうか?
 コーラスの精密さはさすが。ギッコンバッタンしたドラミングも、なかなか味があっていい。そうでないと、ただの綺麗なだけの演奏になってしまいかねない。

 "If I Needed Someone" の作曲過程で有名なのは、ジョージがザ・バーズの影響で作ったという話で、そうなると当然、ロジャー・マッグインのカバーが登場する。

br>
 コーラスという面で言うと、さすがに多少劣る。そもそも、ビートルズが、リードのジョージのバックに、ジョン・レノンとポール・マッカートニーというロック界でも最高のボーカリストが固めているのだから、敵うはずがない。
 一方で、ギターリフはさすが。こちらの方に力点が置かれているのだろう。

 最後に、CFGでの演奏。私は、歌ったのがクラプトンだったというのが、まず意外だった。やっぱりこの人は、ジョージの全てが好きだったんだな。



 意外とオリジナルに近い演奏。この曲が持っている、幸せな脱力感、気持ちよさがうまく表現できている。ステージ上のメンバーの面々の表情も緊張より楽しさが勝っている。格好良いロックを演奏しつつも、ほのぼの感がただよう。
 どうして誰もリッケンバッカーの12弦を弾かないのかと不思議だったが、舞台上リッケンバッカー12弦大事に据えられていた ― つまり、あのギターはジョージの象徴として一緒に居る。きっとどこかで、ジョージが楽しく弾いてくれているんだろうな。