Wired for sound, A guitar odyssey2010/12/31 22:12

 「ギブソンと名ギタリストたち Wired for sound, A guitar odyssey」,日本でのDVD発売は2009年11月だった。私が入手したのは最近。
 アメリカでの発売は2000年くらいらしい。しかし、映像そのものは1996年付近と思われる。ギブソン・ダヴ(1964年)を抱えたトム・ぺティが、「46にもなって、音楽以外の趣味もないし、暇があればギターを見に行っている。悲しいねぇ」と言っている。そんなわけで、ジョン・リー・フッカー、チェット・アトキンスや、レス・ポール、ジョン・エントウィッスルも御存命で、元気にコメントしている。

 実は、この映像が一体何なのか、よくわからない。察するに、ギブソン・ブランドを中心とした、主に20世紀後半のポップスにおけるギターとベースを語るドキュメンタリー…らしい。もとはテレビ番組だったのだろうか?ギブソンのプロモーションにしてはギブソン宣伝がそれほど強くない。



 ドキュメンタリー構成とうしては、やや不出来。冒頭にギブソン創始者の話題が出てくるのだが、すぐにスラッシュや、トム・ぺティ、ロン・ウッド、ジョー・ペリーたちが、「俺とギター」について語り始める。ひとしきり、彼らが語った後にジョン・リー・フッカーや、B.B.キング、チェット・アトキンス、スコッティ・ムーア、レス・ポールなどが登場する。どうも、時系列的にはうまく配列できていない。
 でも、話そのものは面白い。総勢37名のギタリスト、ベーシストたちがそれぞれの愛器を抱えて音楽とギターを嬉々として語るのは、見ていて楽しい。トム・ぺティは前述の通り46歳。今だったら、彼の隣にマイク・キャンベルがくっついているのだろう。エミルー・ハリス(化粧が完璧すぎて怖い)の後にリズム・ギターの話題になる。そこでトムさんが「リズム・ギターに誇りを持っている」と言うのが良い。「バンドのノリを作るんだ」とは、まさにその通り!リズム・ギターあってのロックンロール。エリック・クラプトンに聞かせてやりたい。
 ジョン・エントウィッスルのコメントが面白い。いかにしてあのベース・プレイが生まれたのか。「うちにはうるさいドラマーがいたから」…だ、そうだ。なるほど。

 元イーグルズのドン・フェルダーも登場する(「働かないから」という理由でクビになったきりなのだろうか?)。故郷フロリダで、スティーヴン・スティルスとバンドを組み、歳をごまかしてクラブで演奏していた話。さらに、地元に「トミー・ペティっていうブロンド頭の小僧がいて、そいつにギターをよく教えてやったものさ」と昔話をする。字幕は少々、端折られているのだが…。

 さて、そのブロンド小僧。素敵なこのDVDの冒頭で、一人とんでもない発言をしでかす。南部出身のシャイボーイのはずが、何を思ったのか、音楽とギターが、「とにかくいい」ということのたとえで、酷いことを言った。許さん。



 そういう事を言うのは、スラッシュでもグレン・ディプトンでも良いじゃないか。どうしてよりによって、トムさんが言うんだ。このDVDではじめてトム・ペティを見た人が、勘違いするじゃないか!
 プリプリ怒っていたら、マイクからお詫びが来た。

 「うちのブロンド馬鹿が無礼をはたらいて、ごめんなさいね。一発グーで殴っておきます。」…だそうです。



 ゴンっ!
 良いお年を。