Jammin' Chord2010/07/01 23:34

 6月29日付で、Cool Dry Placeにカントムをアップした。今回は、Part Tow Songsの、Southern Accents, Pack up the Plantation, Let Me Up の三作品のところ。それぞれ短い章なので、三つ一度にアップできた。

 まず [Southern Accents] で、"Rebels" の話題になるのだが、私もこれは南北戦争の曲だと思っていた。ザ・バンドの曲ほどではないが、示唆に富んでいるではないか。そもそも、あのホーンのアレンジからして、ジョージア州第一騎兵連隊が出てきてもおかしくない。
 トムに言われて、歌詞をつぶさに見れば、確かに南北戦争の曲ではないのだろうが、主人公がそのルーツに言及する時点でやはり無関係とは言えまい。トムとしては、やや「気恥しい」という感情が働くのだろうか。
 "The Best of Everything" のところで、ふと思った。ロビー・ロバートソンってどんな口調だろうか。一人称は何だろう?どうも彼が普通に喋るときは、ハエを捕まえる印象ばかりが強い。トムよりも年上だから偉そうに喋りつつも、可愛げもあるような…トムのことを You と呼ぶ時、その日本語は、「きみ」なのか、「お前」なのか、「あんた」なのか…結局「お前さん」で落ち着いたのだが。
 このアルバムの代表曲である "Don't come around here no more" が登場しない。前半で触れているのだろう。おそらく、デイヴ・スチュアートとの邂逅の流れで。
 ベンモントと、互いにピアノを弾かせようとする下りが微笑ましい。男女でこれをやられたら物を投げたくなるが、どうもベンモントとトムさんという取り合わせが憎めない。そう言えば、マイクもよくリードギターをトムさんに弾かせようとする。

 [Pack up the Plantation] のところで、何故か "It'll all workout" の話になる。この曲は次のアルバム、[Let Me Up] の収録曲なのだが。編集ミスだろうか?
 返す返すも、トムは良い相棒を持った。プライベートな事情で全然仕事が手につかなくても、マイクに渡しておけば最高傑作に仕上げてもらえる。琴を弾いている下りがあるが、Mayuさん,Toshi さんのMeet with Mikeでも言及され、座って弾いたらしいことが判明。「ベント」すると、面白い音がするとのこと…。
 私は近世邦楽に縁がない。雅楽でも龍笛専門だったので、琴(箏)は弾いたことがない。同級生が熱心に琴を習っていたが、「ベント」する左手は、かなりハードな仕事らしい。夏合宿の時は、指を傷めるので、軍手をはめて練習していた。あれは琴奏者の普通なのか、それとも音大生がピアノを弾く事情にあわせてのことだったのだろうか?

 やたらと「アドリブ」が登場する [Let Me Up] 。全体的に曲に対する感想が淡白。「嫌い」の一言で片づけるものすらある。その中にあって、さすがに "Jammin' Me" は良くできている曲の位置づけ。

 和声の話が少し気になった。私は和声が非常に不得意なのでピンと来ないのだが…。"Runaway Train" に登場する、あまり使わないコード,"F#" が話題に出てくる。ギターコードの表現では、これはメジャーコードだと思うのだが…
 Fis(Fのシャープ,嬰ヘ)を基音にした、長三和音…?!つまり、Fis-Ais-Cis (F#-A#-C#)ってことか…。調はH-dur(Bメジャー,ロ長調)で、F#は属和音(V)ということになる(Ges-durの主和音と同じはずだが、それをF#と表現するのはあり得ない)。
 さすがにこの調は変わっている。調子記号が五つ付くので、ベートーヴェン辺りでは使われない調ではなかろうか。(手元にショパンのノクターンがあるので、インデックスを確認すると、そこはさすが12音階の名手ショパン、けっこう調子記号5がある。)
 とにかく、ロックなどポップスでは珍しいのではないだろうか。おそらく、一瞬転調する時に出てくる和声なのだろう。こうなると、譜面で確認したくなる。さすがに持っていない。ネットで "Runaway train" のコードを参照したのだが、どこにもF#が…無い… トムさんとポール・ゾロはいったい何の話をしていたのだろう…。絶対音感がないので(しかも和声聴音!無理!)、皆目見当がつかない。