Layla2010/03/14 22:07

 "Layla" は間違いなく名曲だ。デレク&ザ・ドミノス,1970年の大傑作。私もかなり大好きな曲である。
 ただし、"Like a Rolling Stone" や、"Isn't it a pity", "American Girl" という頂上に位置する金字塔に比べると、私の中ででは一歩引いた存在になっている。曲の前半は文句なしに最高なのだが、後半がそれほどでもない。
 「"Layla" 後半の良さが分からないなんて、素人臭い」と考え、好きになろうと努力した時期もある(ジョン・レノンの二番目の奥さんを好きになろうと努力した時期があったように)。
 しかし、結局私の感性は前半のロックで絶望的なあのノリにしか反応しないことが分かり、諦めることにした。たぶん私の言葉でいえば後半は「軟弱」なのだろう…。

 とにかく、"Layla" は名曲だ。あのイントロの7音を聞いただけで分かる、超の傑作。あのイントロを作ったのがクラプトンだったのか、デュアン・オールマンだったのかは判然としないと、デュアンの伝記に書いてあった。
 この曲はなんと言っても、オリジナルの録音が良い。先に挙げた私にとっての頂上三曲は、「ライブもまた最高!」と言えるバージョンがあるが、どうも "Layla" にはそれがない。おそらく、この曲が持つ絶望感とか、死に接近した精神状態と、それが表れた熱量を再現できないからだろう。結局、愛する人を手に入れ、しかも親友も失わずに済んだのだから、録音時に戻れと言う方が、クラプトンには酷だ。

 そんな中で、これは良いなと思うライブは、これ。1983年の「アームズ・コンサート」。いちいち顔ぶれを紹介するのも面倒くさいのだが。クラプトンと、ジミー・ペイジが…細い…。そして、今とあまり変わらないジェフ・ベックがちょっと怖い。



 どうして "Layla" の話をはじめたのかと言うと、某CMで日本のアーチストがカバーしているのを見たからだ。
 楽曲は最高だし、カバーしたアーチストだって悪くない。でも、とてもあの "Layla" とは思えないほどの閑寂感。クラプトン自身でさえ、あの録音の熱気をライブで再現することはできないのだから、無茶と言えば無茶。
 やはり、"Layla" はオリジナルに限るな…と思っていたら、面白いカバーを見つけた。なんと、ロカビリー・バージョン。



 Jailbirdsは、90年代結成のドイツのロカビリー・バンド。このノリが素敵。ブルース・ブラザーズ的というか、レニングラード・カウボーイズ的と言うか。こういうふっ切れ方は清々しくさえもある。