ロックンローラーの青春2010/02/16 21:44

 Cool Dry Placeに、「カントム」のチャプター1、dreamville の後半をアップした。最初のバンド、サンダウナーズからエピックス、マッドクラッチ、マイクやベンモントとの出会い、そしてデモを作ってLAを目指すまで。
 まさに青春真っ最中。

 文章の中に(笑)という表記を使って、「語り手はここで笑った」もしくは、「ここは笑うべきです」という事を示唆するようになったのは、最近20年ほどの傾向なのだろうか。便利な機能だが、文章が軽くなるところが難点で、状況を選ぶ。
 カントムはよくできた自叙伝だが、形式はインタビューであるため、この(笑)[Laugh] が頻繁に登場する。トムが笑った箇所に現れるのだが、その笑いのツボがよく分からないケースもある。
 今回アップした箇所では、「最初のマイクロフォン」の下り。「エレクトロ・ヴォイスの664」でやたらと笑うのだが、どこがツボだったのだろう?
 このマイクが悪名高きオモチャだったのか?その割には、同じものをもう一つ購入しているし、ググってみると、まともなメーカーだ。ちゃんとしたアンプに繋いでいないところがおかしいのか・・・
 まさか、マイクロフォンの略称である「マイク」と、人名の「マイク」が同じ発音ということで、「ぼくにとっての最初のマイク(マイク・キャンベルじゃないよ!笑えよ!)」・・・というオヤジ・ギャグだったらどうしよう・・・(実際、このダジャレは存在するらしい)

 15にして既に相当の働き者ロッカーのトムさん。ビートルズみたいないで立ちで、ゴキゲンになる気持ち、共感する。
 ビートルズっぽいユニフォームを揃えたは良いけど、ジャケットの色がピンク・・・?!春日か?!南部男子がそれで良いのか?しかも、ヒダ付き(つまりフリル)シャツ・・・キンクスってそんな格好だろうか。キンキスは好きだが、ビジュアルはあまりピンとこない。
 エピックスに入って、年上連中のオトナ(?)な生活に目を丸くするのがかわいい。ビートルズ・ハンブルグ時代の、ジョージを彷彿とさせる。本当に見ていただけか?
 マッドクラッチの始まりと、マイクとの出会いの後に、17歳の時にタンパに行く話をするが、これは順番が前後しているだろう。

 ゲインズビルでトップに上り詰めるマッドクラッチは輝いているのと同時に、その地における限界を見極めているあたりが、クレバーなところ。
 南部に蔓延する「似非オールマン・ブラザーズ」のことを、はっきりと「嫌いだ」と断じるところが良い。
 マイクが彼自身のインタビューでまったく同じようなコメントをしているが、これはトムのコメントの影響を受けているのか、二人の考えが完全に一致していたのか ー 恐らく両方だろう。  マッドクラッチ・ファームでビールを飲みながら、二人で「あんなの最悪だよな」と話していたのかもしれない(それでも、トムさんが寝る場所は無い)。

 マイクといえば、私のお気に入りは、トムが「広大な野っ原の中で、一人ポツンと座り込み、誰にともなしにギターを弾いているマイク」を目撃した話。ゲインズビル時代の話なのか、LAに出てからの話なのかは判然としないが(「彼の家の裏に」と言っているのかで、LA以後か?)、とにかく・・・おかしい。
 あのさ、トムさん。その時のマイクに何か悩みでもあったんじゃないの?

 マイクついでだが、インタビュアーが「作った曲をマイクに聴かせたか」と尋ねる下りがある。間違いなく、後に定着するソングライティング・パートナーとしての始まりを探った質問だが、トムの返答は「マイクがバンドに居るときは聞かせた」。自分の曲を「教える段階」の話だと思われ、聞かせた相手としては、ジム・レナハンを強調している。
 さらに言えばこのコメントからは、出会ってからマイクがバンドに定着するまでに少し時間があったような臭いがする。
 実際マイクのコメントでも、トムがバンドに入れと熱心に説得する下りがある。説得どころが、勝手に決めつけてしまっているような気もするが。
   その過程をテレビドラマにでもするなら、フロリダ大学の図書館で働いているマイク(これは本当の話)のところに、場違いな金長髪ロック野郎がやってきて、勢い良く「バンドに入れ、金持ちになれるぞ」と言いつのり、マイクが迷惑するシーンになるのだろう。

 ベンモントがマッドクラッチのライブを見に行く下り(ゲインズビルではなく、わざわざレイク・シティまで出かけている。本人は明言していないが、マッドクラッチのファンだったらしい。これまた、クォリーメンのファンだったジョージに似ている)に出てくる、「ワイアット・アープみたいなタイ」。私は西部劇には疎いのだが、こういうものだろうか。



 ともあれ、この後はLAへマッドクラッチを売り込みに行く下りになり、次章に譲られる。
 試みに数えてみたところ、今回でカントム[Part 1 Life] の半分強を翻訳したことになるようだ。我ながら物好きである。
 しかし、カントムの翻訳はしばらくお休み。資格試験を受けなければならない。以前にも同じ事を言っていたような気がするが、その時は上司が(私ではない)申し込みを忘れて、機会を逃したのである。迷惑な話だ。