爬虫類と戦う2010/01/30 00:19

 Cool Dry Placeに、カントムのチャプター1、前半を翻訳してアップした。チャプター1は、他の章の平均に対して、4倍くらいの長さがあるので、分割することにした。
 翻訳していて、楽しかった(前回のノロケ大爆発とは、大違いだ!)。トムさんのご先祖様の話から、子供時代、家庭、音楽との出合い、ビートルズにノックアウトされ、バンドを組むまで。

 何といっても、一番のヒットは、トムさんのパパだろう。もう、この人がすべてをかっさらって行った。かなり単純なようで、複雑なようで、理解するのは難しそうな人。トムさんは父親を基本的に嫌いつつ、でも憎めず、一方で愛情もあったりして、なかなか複雑。ただ、私はクリエイティブでアートな職業の人が、まるで自慢話であるかのように、「自分は親に愛されなかった。その満たされない心がナントカカントカ…」と語りだすのがあまり好きではないので、この程度の微妙さで良かったとも思っている。
 パパのキャラがすごい。とにかくワイルド!パパがワニやガラガラヘビと戦い始めたときは、どうしようかと思った。この本の中で一番笑えるシーンではないだろうか。それを目撃してしまい、ドン引きするトムさん。小さくて、痩せていて、顔色の悪い金髪の繊細なこのコにとって、ガラガラヘビと戦う父親はショッキング過ぎる。
 トムさんには、おとなしくて優しいタイプの男の方が、合うんだろうな。マイクやベンモントなんて、まさにそのタイプ。
 魚や野鳥を食べる話にも笑ってしまった。ハトって食べる?さてね、私は食べたことがないや。でも、料理のしかたの問題もあるんじゃない?

 父方の祖母の話には、考えさせられる。ネイティブ・アメリカンに関する、現在のある意味明るい考え方 ― ネイティブ・アメリカンたちは、かつて白人たちの侵略に苦しめられたが、今も自分たちのアイデンティティに誇りを持ち、気高く生きる人々だ - とい言った具合には、行かない現実を、トムさんは祖母を通して実感している。
 そうは単純ではない、自らのアイディンティティを肯定的に考えることさえ困難になるほどの迫害 ― これは想像を絶する。しかし、厳然とした事実だったのだろう。

 有名な、エルヴィスを目撃するエピソード。そのあと、エルヴィスを知ろうとして必死になる姿が可愛い。トムさんがエルヴィス世代より、少し若いというところも、重要。12歳の時にビートルズにはまった私も、似たような経験をしている。友達の両親が、ビートルズの切り抜きをくれたりしたなぁ…。
 そして、ビートルズ登場。その衝撃の具合が半端じゃない。左手の親指をネックの前に出す人と言えば、ジョージもその一人だろう。
 この頃は本当に、ビートルズなんて雲の向こうに光輝く星であって、将来、大親友になってしまうなんて、想像だにしなかっただろう。

 叔父である、アール・ジェーニガン(ジンクスになっている名前が、アール…。トムさんのミドルネームもアール)。彼の家にあった、「大アマゾンの半魚人」の着ぐるみっていったい…?!これ↓らしい。(ちなみに、映画のタイトルに "The Return Of" とついているのは、トムさんの記憶違いだろう)



 わー!なんだこりゃー!モンティ・パイソンに出てくる何かのパロディっぽいけど、大真面目なんだよね。こいつの着ぐるみかぁ…要らないな…。