ブラジル2008/11/19 22:50

 ボボ・ブラジルの話ではない。引き続き、青春の吹奏楽部である。
 高校の卒業式後、ささやかながら立食パーティが開かれた。我ら吹奏楽部の三年生は、パーティの余興として一曲演奏することにした。

 パーティ開会の挨拶、ジュースで乾杯。さぁ、楽しい会食。それでは、吹奏楽部の演奏でお楽しみください。曲目は、「イパネマの娘」です。

 ピッ … プー…ぶぅ~♪…パパブ… ピー プ…(シーン) ボー ピっ…♪…

 大失敗だった。

 しかも、悲惨な演奏が終わってみると、立食メニューはあとかたも無くなくなっていた。

 敗因は選曲だ。
 そもそも、「イパネマの娘」とは、アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲ボサノヴァ。映画「ブルース・ブラザーズ」で、税金を納めに行くブラザーズが乗っているエレベーターの中で流れている曲と言えば、分かりやすいだろう(分かりやすい?)

 正しい「イパネマの娘」
 

 飽くまでオシャレに、軽く、囁くようにが信条だ。一方、私たちは10人程度の歯抜けな吹奏楽部。大失敗しないはずがない。
 選曲したリーダーの言い訳は、「だってブラジルだからさ。」
 実は学園祭で吹奏楽部は「コパカバーナ」を演奏しており、その元気で明るく、威勢の良い曲調が私たちのお気に入りになっていた。


 「コパカバーナ=ブラジル→ボサノヴァ」と、言う連想で「きっと威勢の良い、明るくて元気な曲に違いない」と勘違いされた「イパネマの娘」が、選曲されてしまったのだ。
 ブラジルだけで両者を一緒にするとは、ランボーな話だ。
 しかも、「コパカバーナ」という曲は、ブラジルのコパカバーナ海岸の名を冠したニューヨークのクラブの名前であり、歌っているのはアメリカ人バリー・マニロウ。要するにブラジルはあまり関係ない。
 青春とは、すっとぼけた無知と、勘違いに満ちている。